2006年02月07日 00:52 [Edit]

EPIC1973 - 書評 - 声の網

このblogは1000を超えました。
もう書けないので、新しいblogを立ててくださいです。。。

じゃなくて、1001st Entryは、これで決定です。

(ちょっとだけネタバレあり)


実は以前本作品は紹介したこともあるのですが、何と言っても1001回記念ですし、何と言っても復刊ですし、ここで改めて紹介します。口調もいつもと違ってですます調で行きます。

404 Blog Not Found:サンジャポ舞台裏、ちょっとだけ

筒井さんの親友でもあった故・星新一を紹介します。

「おれに関する噂」が現在も価値を失わないどころかむしろ増しているのと同様、こちらも今こそ読んで欲しい本の一つです。星新一といえば、ショートショートの「神様」でもありますが、この声の網は12編のショートショートがあわさって全体で一つの長編になっているという、小説の構成という点でも面白い本です。

ねたバレはいやなので詳しくは言えませんが、ここで登場する小道具を「電話」から「ネット」に変えると臨場感が256倍ぐらいになります。

星新一さんといえば、ショートショート千一編目の記念「オフ」があって、金がなく暇をもてあましていたティーンエイジャーのころ行ったことがあるんです。そこでちょっとしたオークションがあって、「ホシヅル」の落款が出品されて、私がつかさず「千一円!」といって落札したんですよ。

その後私の実家は火事で全焼してしまい、その時にこのホシヅルの落款も行方不明になってしまいました。この火事で得たものは失ったものよりも多く、なんといっても人的被害が出なかったことで恥じるところはなにもない私ですが、この「ホシヅル焼失」は本当に残念です。

今上の娘がたまごっちにはまっているのですが,ホシヅルを想いだしちゃいます。

長いこと廃刊だったようで、中古を手に入れるかパピレスで電子版を手に入れるしかない状況が続いていましたが、復刊ドットコムにも復刊願いが出てました。その願いが通じたのか、角川がやってくれました!

web KADOKAWA 声の網
今こそ最も新しい、電話の秘密。

よ〜くわかっているじゃああぁりませんかぁ〜。角川万歳!

それで角川のWebの解説にあるとおり、文字通り電話網が今のインターネットの役割をしています。人々は電話を使って情報銀行へアクセスし、株価や人生相談や明日の献立をチェックしています。もし電話ではてなを構築するとこんな感じじゃないかな、という世界です。しかし、すでにコンピューターは登場します。それも単体のコンピューターではなくネットワークという形で。これがいつの魔に....

電脳による人類支配というテーマは、I,Robot から The Matrix に至るまで、Sci-Fiではもう忠臣蔵なみに使い古された題目でもあるのですが、やはり星新一がすごいのは、それが「人類の敵」として描かれているのではなく、あくまでも「人類への奉仕」を極めた結果そうなったというもの。電脳による人類支配を「肯定的」とまでは言わずとも「不可避」として描いたものには Asimov のロボット-ファウンデーションシリーズがありますが、陽電子頭脳やテレパシーなど使わずとも、「電話一本」でそれをやってのけた分、私は星新一に軍配をあげたい(でも R. Daneel Olivaw のサーガはそれはそれで面白い)。

コンピューター網による声の網は、The Matrixのように夢を見させておいて肉体を完全支配するというのとは違います。人々はそこでリアルに浮気をしたり、酒に溺れたりする自由すらあります。しかし社会を乱そうとする動きには、電話がそっとささやくのです。

そう。ささやくだけ。必要な物理的作業は、コンピューター網のメンテナンスから危険分子の逮捕まで、電話で依頼された人の仕事なのです。The Matrixのように生物電池にしようなんてがさつでもったいないことはしません。

他の「おっかない」「マザーコンピューター」と違って、なんと優しいのでしょう。雪女に抱かれるのはこんな気持ちなのでしょうか。そこには怒りでも恐れでもない、星新一にしか書けない独特の「網」があります。

この本が書かれたのは1973年。今のWebの世界で第一線の人たちがやっと生まれた頃です。その頃は電話しかなかったのでこうなりましたが、Googlezonが語られるようになった今、もし星新一が生きていたらどんな「網」を書いたでしょう。現代版「声の網」を書きたい誘惑にかられる今日この頃です。

全てのbloggerに自信を持ってお薦めします。

Dan the Voice in the Web

追伸:zoniaさん、spellcheckありがとうございました。


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ハリウッド版「声の網」- 映画評 - Eagle Eye【404 Blog Not Found】at 2008年11月19日 22:30
これで、4000記事。
中国四千年、弾四千記事【404 Blog Not Found】at 2008年07月22日 17:33
主と添い寝もしてられない。 本entryが、本blogの3000th entryとなります。
三千entriesのtypoを殺し【404 Blog Not Found】at 2007年10月12日 22:19
本blog2000個目のEntryにようこそ。
Entry 2.0k【404 Blog Not Found】at 2006年11月08日 12:03
この記事へのコメント
>通りすがりさん、
「魔」は確信犯です。「間」にひそむ「魔」が気になってしょうがないので:-O
あと、他にも確信犯的な用法としては「合州国」があります。
Dan the Japanese (Ab)?user
Posted by at 2006年02月07日 15:32
ここ最近のいくつかのエントリで「間」が「魔」になっているのが気になってしょうがありません。
# と言うか気付いたのが最近というだけかも知れませんが。
Posted by 通りすがり at 2006年02月07日 15:14
「俺に関する噂」の中だと、「怪奇たたみ男」が良かったですね。
気が付くと、自分の肌がい草化していくという経緯が
子供心に恐ろしかったのを覚えています。
Posted by スノーマン at 2006年02月07日 12:10