2006年03月24日 02:59 [Edit]

地球村には地に都あらず

ということなのだろうか。

Tech Mom from Silicon Valley - 孤高なるマイノリティ、アジア人、日本人、そしてパラダイス鎖国
だから、パラダイス鎖国して、じっと日本にいるほうが、当たり前という結論になる。でも、ニッポンのためには、それではイケナイ、と思うのだ。イチローがいなかったら、WBCではどうなっていただろう?世界の中で日本がリスペクトされるようになるには、そういう変わり者がもっといないといけないと思う。

さりとて「決戦は Silicon Valley」という言説にもまた失笑を禁じ得ないのだ。

なぜなら、もう"Silicon Valley"は"Venture Capitol"とは言えないからだ。

もちろん東京と比べたら、まだまだ「地の利」はあると思う。しかし、「そこにいないと出来ないこと」「そこにいないと出会えないこと」は格段に減った。東京と遜色ない不動産価格と、東京とは比較にならないほど貧弱な公共交通網、そしてそれによって生まれる渋滞に溢れる今のBay Areaに私はあまり魅力を感じない。

そう。Silicon Valleyですらもはや数ある「パラダイス村」の一つに過ぎないのだ。その郊外に広がる、鍵がなければ家どころか道ににすら入れない要塞団地に至ってはその鎖国度は日本では考えられないほどだ。

もはや、"World Series"や"Superbowl"を真剣勝負でやるための「都」は、地上にはないのかも知れない。。少なくともソフトウェアに関しては。

今や、その「都」はネットにある。そこにいないと最先端に触れられないというのであれば、実はSan Jose(なんでサンノゼいうんか日本の人は。「サンホゼ」だぜ)も松江も変わらない。ノートパソコンと回線さえあれば、そこがすぐ都になるのだから。

実際、Open Sourceの最先端の人間には、実はSilicon Valleyにはあまりいない。それぞれ世界中に好き勝手なところに棲んでいる。「知的労働者には「組織を移る力」がある」というのは、私にはずいぶんと控えめな表現に移る。彼らには国を移る力すらあるのだ。

そんな彼らが集まりたくなるところ、それが「都」なのだが、その意味では合州国は急速に都としての魅力を失いつつある。これは一般人としてニュースを見聞きした所感ではなく、10年あまりOpen Sourceに関わって来たものとしての実感だ。もはや重要なプロジェクトのキーピープルで合州国に未だにいる者は過半を切っている。90年代はまだLinusやGuidoは「都」に惹かれて合州国に来たが、今やそういった人々を惹き付けるには、合州国は鎖国的すぎる。9.11がそこに陰を落としているのは確かだが、多分理由はそれだけではないのだろう。

こうした「最先端」の中に間違いなくいる、いやもしかするとその中のトップかもしれない者にAudrey Tangがいる。彼女は今定住せず、世界中を"Erdősing"しているが、そんな彼女も合州国は避けているのだ。おかげでOSCON2005も欠席で、その不在感はあまりに大きかった。受賞者が欠席したノーベル賞授賞式なみに。

その彼女の次のErdősingは、実は東京なのだ。そう。実はそれだけでも、YAPC::Asia::2006はOSCON2005を凌駕する。1/7の参加者しか招待できないのが残念でならない。

彼女にソデにされたというのがどういうことか、アメリカ村の人々には本当にわかっているのだろうか。

Dan the Prisoner of Paradise

追記:「パラダイス鎖国」という言葉を聞いたらなぜか"Marooned on Eden"を思い浮かべた。この本、初回の"Rocheworld"と違ってまだ邦訳不在だったと思う。「ロシュワールド」が気に入った読者は是非。R.L.Forwardの「アメリカ感」というのもいつか論評してみたいものの一つだ。


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 当たり前かもしれないですけど、アメリカって移民の国なんだなと再確認しました。  ベースボールという国技で、自国に有利にした予選すら  勝ちあがれなかったのですから。。  よく考えてみると、他の分野でも同じなのかもしれません。  今回のことをきっか...
WBCに思う【ひろのきまぐれ日記】at 2006年03月24日 23:02
WBCはめでたくも日本の優勝で終わったが、冷静に見れば、やはりラッキーだったとしか言い様がない。
日本小技野球>米国巨砲主義の嘘【佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン】at 2006年03月24日 15:47
この記事へのコメント
アメリカは神通力を失いつつあるみたいですね。
歴史の生き証人になれそうです。
Posted by ひろ at 2006年03月24日 23:01
YAPC::Asia::2006の7倍規模のカンファレンス開くとなると,ボランティアで実行委員会を作るのは無理になっちゃうでしょうね.なんと言っても,会場費前払いとか言われたら払えない(w

「最先端」な人が"Erdősing"するんでなしに,参加者がネット使って"Erdősing"する方法ってないでしょうかね.IRC?
Posted by k.daiba at 2006年03月24日 10:39
引用いただき、また興味深いコメントをありがとうございます。私もシリコンバレーだけが決戦場とは思っていないです。もうそういう時代ではない・・とくに、無線通信が専門ですから、「なんで、わざわざ苦労してここに住んでなきゃいかんのかなー・・」と自問する日々です。オープンソースはたしかに、米(=MS)ソフトウェア帝国に対抗する誇り高き欧州の戦士たち、みたいな構図になっていますしね。言いたかったのは、苦労してもやっぱり、日本から外の世界に目を向ける人がある程度はいないと困るんでないかなー・・という話でした。いろんな意味で。
Posted by michi at 2006年03月24日 07:48
大阪の弱電メーカーにも云えますね。汐留に松下がある必然性があるのだろう。野中ともよが東京!東京!といっても大阪が商都でも家電都でもいいのに。もっとも産業再生法に手を出したからやっぱり政治とのやり取りも必要か?
"守口に行かないと、どこで何が行われているか分からず、真のグローバル企業とはいえない…" by 野中ともよ
http://square.umin.ac.jp/pb165/nonaka_tomoyo.html
Posted by sionoiri at 2006年03月24日 05:34