2006年06月07日 15:45 [Edit]
「アフォーダンス」のアフォーダンス
「アフォーダンス(affordance)」という言葉は一見とてもわかりづらいが、一旦「アフォーダンス」がアフォードしているものを受け入れてしまえば、実に簡単な言葉だ。
内田樹の研究室: 代々木ゼミナールにてジェームス・ギブソンに「アフォーダンス」という概念がある。
周囲の環境が、行為の可能性についてあらかじめ「下絵を描いている」のであって、動物は主観的には自由に動いているつもりでいても、環境の示す動線に沿って行動するように誘われている、という考え方のことである。
そう。これくらい簡単な概念なのだ。
おそらく「アフォーダンス」がなかなか理解できないのは、この言葉に関しては日本における事実上の教科書である↑の「アフォーダンス-新しい認知の理論」がそれほど簡単ではないからだろう。この本、なんと「アフォーダンス」の用語説明が出てくるのは60ページ目だ。論文としてはOKかも知れないが、一般書としてこれはどうよ?という感じだ。この辺は佐々木先生は内田先生ぐらいアフォーダンスを下げてもらいたい。
そう、ここで「アフォーダンスを下げる」という言葉が出て来た。内田先生は、「アフォーダンス」の量に関して、明らかに「認知される選択肢が少ないほど高アフォーダンス」の意味で使っているが、私が「アフォーダンス」からアフォードされた意味はこれとは逆で、これはaffordの意味からもわかる。
最もよく目にするaffordは、こんな感じで使う。
I'd love to buy a Mac but I can't afford it. I'll settle for a Dell.
そう、「買う余裕」、もう少し拡張すると「手に入れる余裕がある」というのが、本来のaffordの意味なのである。よってhigh affordanceというのは「余裕が大きい」ことを意味する。
とはいえ、内田先生が反対に使った理由というのも、わかる。なぜなら、「よいアフォーダンス」というのは、「誤解の余地が少なく」、それでいて「受け入れやすい」ものであるからだ。そして「よい」が「高い」や「多い」を「低い」や「少ない」より強くアフォードする以上、「高アフォーダンス」を「低アフォーダンス」といい間違えてしまうのは、まさにアフォーダンス理論で説明できてしまうのだ。
これ、確かに取り違えやすいので、反語が欲しいところだ。電子工学に触れた人なら、抵抗率(resistance)に対して伝導率(conductance)があり、互いに逆数になっていることを覚えているだろう。そんな感じの反語が欲しい。実はimpedanceというのも結構いいのだが、これはすでに電子工学を強くアフォードする言葉として使われているし、ネガティブな印象も拭えない。「余地が少なく」、かつそれが「よい」というニュアンスの言葉はなんだろう....
エレガンス?
Dan the Overaffording Man
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アフォーダンスに関しては去年ちょっと勉強したのですけど、ギブソン自身の著作では、「高いアフォーダンス」とか、「強いアフォーダンス」とかいう使い方はできないことばであったように思います。(確か、ですけど)
ど忘れしてしまって、はっきりしたことはいえないので、ちゃんとしたまとめができましたらまた改めてTB打たせていただこうと思います。(ちょっと先になってしまいますけど)
蛇足ですが、wikipediaのアフォーダンスの説明は最近編集されて凄く良くなっていますけど、はてなのアフォーダンスの説明は明らかにギブソンの説明ではなくドナルド・ノーマンの説明に基づいています。(ただ、こちらの説明のほうが一般的に有名だと思います。)皆様お気をつけください。
アフォーダンスは何かを検証するための理論ではありません。アフォーダンスとは、「身体が見出す風景」のことです。日本人には、「間」の概念があるので、ちょっと落ち着くとすぐにわかると思います。
アフォーダンスという概念は、行動経済学的な言葉を使うと「決定麻痺回避性」ということかなと思っています。「アフォーダンスがよい」ということは「決定する余裕がある」ということで、すなわち「決定麻痺が起こりにくい」ということなのかな、と思うところです。
>「余地が少なく」、かつそれが「よい」というニュアンスの言葉はなんだろう....
例えば、決定可能性(decidance)というのはどうでしょう?
で、その反語は、決定麻痺性(paralytance?)とか?
