2006年06月20日 00:45 [Edit]
農業とかけて売春ととく - 書評 - 売春論
そのこころは、趣味と兼業が増えている。
少なくとも、本書によるとそのようである。
それにしてもなんたるsynchronicityだろうか。この本が到着したとたん、このページがはてブのホッテントリに登場するとは。
売春は、女性(いや、今や男性も)にとって、「最後の手段」だと考えられている。社会的な差別や蔑視がきつい分、収益も大きい、とされるからだ。
しかしその前提が根底から崩れていると著者は言う。
あまりに多くの女性が、マーケットに参加するようになったからだ。かつては「腹をくくらないと」入れなかったこの世界に、片や援助交際という名前で素人が参加し、片や「定職」を持ちながらパートタイムで春をひさぐものが増えているのだそうだ。「趣味」化と「兼業」化の結果、単価はだいぶ下がっているとのことである。
元売春婦である著者による取材と考察には充分な説得力があるものの、著者はある意味現場に「近すぎて」、ミクロな事例はとてもよくわかるのだがマクロなデータが少ないのが本書の一番の不満ではあった。だが、はてブのおかげでこんなページを見つけることが出来た。
高収入/トゥルースグループ/採用情報トゥルースグループは、過去6年間売り上げ高を更新し、 平成16年は年商46億円を達成しました。(平成17年1月更新)
また、不況をものともせず 毎年新規店舗をOPENし、現在では約540名のコンパニオンと約130名のスタッフが働くようになりました。
そう。私が欲しかったのは、こういうデータだ。これで一人当たりの売り上げを割り出すことができる。同グループでは、「コンパニオン」一人当たりの平均売り上げは、850万円、ということになる。「所得」ではない、「売上げ」である。ここから店の経費を引いた者が「手取り」ということになるが、経費を渋めに見て3割としても600万円弱、4割としたら500万円。
これは同書の記述ともだいたい一致する。現在の彼女達日当は、同書によるとうんとがんばっても10万円、2万円程度にしかならないことも多いようだ。間をとって一日五万円とすると、実働100日(100人、ではない)。これではまるで「フツーの職業」と変わらない。少なくとも「いやでも仕方なく」やるには安すぎるのではないか?
さらに追い打ちをかけるように、ここでもパレートの法則が追い打ちをかける。確かに年商一億にとどく「スタープレイヤー」はいるようなのだが、だとすると当然多くの「コンパニオン」たちは平均よりずっと下の収入しか手にしていないことになる。
これはもう女郎哀史、ではないか。悪花が良花を駆逐しているわけである。
客単価の低下の他にも、著者が懸念しているのが、ノウハウの継承の欠如、である。著者はこう嘆息する。
pp.150風俗業界の崩壊。それは「お姉さん」という財産を失ってから始まった。
素人とパートタイマーの増加は、性病、暴力的な客、そして暴力団といった、かつては業界が担保してくれたさまざまなリスクを、客が直接負うことにもつながっている。
以前にも指摘したことだが、日本では売春そのものは禁止していない。禁止しているのは管理売春である。
404 Blog Not Found:一人上手道[売春防止法]性を売買することそのものを罰したいのではなく、性を搾取する行為を罰したいわけです。実際同法にある刑事罰は、売春婦ではなく斡旋者(ヒモ:pimp)にのみ適用されるものばかりで(第二章)、売春婦に対しては「補導処分」(第三章)という形で保護しようとしています。
著者はこう訴えている。
pp.142管理されたいのに、管理側がこんな現状では自分でやった方がマシです。素人売春が激増しているのは、風俗業界にも一因があると言っていいかもしれません。
しかし、売春防止法を見てわかるとおり、その管理行為そのものが禁じられているのだ。そして売春防止法は、本来暴力と搾取の対象となりがちだった、売春婦たちを保護するのが第一の目的のはずである。なんだか法律が裏目に出ているようにも思えるのだが。
著者は最後にこう言い放つ。
あなたはそれでも、売春しようと思いますか?
彼女は売春には賛成の立場だ。いや、同書ではボーボワール的に、婚姻もまた売春の一形態であるとまで言っている。その彼女にここまで言わせるほど、業界事情は厳しいようだ。
あなたはそれでも、売春を無視しますか?
風俗業の規模は全国3兆円だそうだ。これは出版業にも匹敵する。我々が出版業に向けるのと同じ程度の注意を払ってもバチはあたらないように思う。
少なくとも、売買春にこれからたずさわる、あるいはたずさわりたりたいと考えている人は、本書は必ず目を通しておくべきだろう。
Dan the (Pimp|Prostitute) Called Spouse
追記:
On Off and Beyond: シリコンバレーのスーパーエンジニアとソープ店長の給料は一緒日本では売春が非合法であることをうっかり忘れそうになる、素晴しいサイトだ。こういうのを英語で紹介したらバカ受けするんだろうけど、でも、「外国人はお断り」だそうなので、紹介したら怒られそうですね。
これは「客としての外国人」だろうか?それとも「従業員としての外国人」だろうか?前者だとすると、まさか合州国のバーのようにIDの提示でも求められるのだろうか?
これだって立派な観光産業になりうるのだが....
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正しくは、「悪貨が良貨を駆逐する」
誤りではなく狙って書いてるんでしょ
売春婦だから花という字を当ててる
nobodyさんは本気で勘違いしてそうなので
無粋ながら解説させていただきました
筆者の毎度のtypoを見ていると、それが意図的なものなのかどうか、
読んでいて「?}が浮かぶことはありますがな。
は一因があるだと思うのだが、
本の著者がまちがったのか、
ブログの著者がまちがったのか不明
修正しました。誤字の「一員」は、IMにもあるかと。
Dan the Typo Generator
http://blog.goo.ne.jp/crofts/e/4b69a5c246f471546c8b602295a0c73c
>「コンパニオン」一人当たりの平均売り上げは、850万円
ソープの内情を知らないのでなんともいえませんが、在籍してる人でもフル回転で働く人は少ないのでは?また、短期で辞めちゃう人も多いのでは・・という気がしますが、どうでしょうね。
>「客としての外国人」だろうか?それとも「従業員としての外国人」だろうか?
これは、「客としての外国人」です。(そういうページがあったので。「外国人の客は入れないから、働いて安心です」みたいな)
あと、「ホッテントリ」笑いました。もしかしたら世の中では常識なのかもしれませんが、最初URLを見たとき、「ホッテントット?」と頭がはてなマークでいっぱいだったので。あ、だから「はてな」なんだ〜・・・んなわけないか。
お間違えないように。
