我が家にもつい先ほど届いた。

404 Blog Not Found:読書は勉強に非ず
先生にとっての読書、特にSFというのは、「生きていくため」のものではないか。

それを改めて確認した一冊でもあった。

吾妻先生は、うまくやればアルファブロガーになれるのではないか?

なにしろ、先生の絵日記は年期が入っている。今でこそ「失踪日記」で有名だけれども、それ以前にも「不条理日記」という大傑作がある。その一コマ一コマに先生の読書が凝集されていて、自分が既読のものは読後感が反芻されるし、そしてここが大事なのだが、未読のものはその作品が読みたくてたまらなくなるのだ。

どうだろう。一読1 blog entryというのは。何も先生がそのために芸風を変える必要はない。スキャンしてアップロードするのはアシスタントA(奥さん)でも出版社でも別の人がやればいい、というのか別の人がやるべきだろう。

それにアフィリエイトリンクを張っとくだけで、失踪せずとも奥さんに心配かけずともやっていけるのではないか。本書に書かれていた頃の月収は4-5万とのことだが、これ、私のアフィリエイト収入より少ないのだ。これでなんとかやっていけたというのがすごい。

もちろん、印税に比べたら大した金額にはならないし、先生ご自身のうつが治るかどうかはわからないが、少なくとも奥さんの「ゆううつ」は大いに軽減されるのではないか。自分がうつだと、周りもやはりどうしてもゆううつになり、そしてそれを見て自分はさらにうつになるものだ。

先生の公式ページはすごいサービス精神旺盛なのだけど、よいとは言えない意味で、商売っ気がなさすぎる。「ときめきアリス」の表紙もリンクになっていないし、スケジュールもblogにはなっていない。「カオス日記」を見て、「あーっもったいないっ」と思ったのは私だけだろうか。

この辺は、むしろ周り、すなわち「拾う神々」が考えてあげることなのではないだろうか。

たけくまメモ: 『うつうつひでお日記』で「たけくまメモ」が
『失踪日記』も、あやうくその一冊になりかけたわけですが、捨てる神あらば拾う神ありで、イースト・プレスのKさんの目にとまって無事、出版できたのでした。

その「拾う力」が、今の出版界、いや既存のメディアからはものすごく落ちているような気がしてならない。YouTubeとの関わりかたや、Flash作品の扱いを見ていると、商売する気があるようにはとても思えないのだ。

それなら「既存メディア逝ってよし。これからはIT長者に買ってもらうから」といくかというとそうも行かない。彼らIT長者は地面なんか見ないからだ。目の高さにまで上がってきて、すなわち他者によって彼らの目に見える形になってからはじめて金を出す気になる。これは世界中どこでも変わらない。

「拾う神々」が、やはり必要なのだ。

pp. 199
仕事の依頼が来たことは、うれしいことはうれしいですよ。でも、それまでと比べて作品の内容がそんなに変わったわけじゃないのに、『失踪日記』がウケたことで仕事が増えて、なんかヘンだなあって気持ちがあって......。まあ、依頼をしてきた編集の方がわかってないというのもあるんでしょうけど、だったらなんでその前に仕事くれないんだって、そういうウラミの心もあったりして(笑)

今や神々は、すでに売れたものしか拾ってくれないようだ。しかも神々の間で売れ行き情報を交換した上、拾う前に捨てるそぶりすらするのである。さすれば、やはり自分たち自身が神々となるしかないのではないか。

さてと、またこれで読むべき本が増えた。本書を片手に早速注文することにしよう。

Dan the Fan Thereof