2006年10月15日 23:00 [Edit]

子会社の賠償責任は親会社に及ぶか?

私自身、法の専門家でないので人にこう言われると少し不安になります。

池田信夫 blog:Google/YouTubeの深いポケット
なお法的リスクについて、GoogleはYouTubeの株主にすぎないので有限責任だという説明があるが、これは誤り。GoogleはYouTubeを完全に買収したので、法的には両者は一体であり、賠償責任はGoogleがすべて負う。

というわけで調べてみました。


カリフォルニア州における会社開設、維持、閉鎖ガイドブック (PDF; HTML by Google)
子会社と支店の違い
子会社支店
損害賠償責任の裁判を起こされた場合の親会社の責任 なし。子会社のみ。 あり。親会社に及ぶ
法人税の対象子会社のみ支店と親会社
維持費を親会社の経費として計上する 原則計上不可能 全額計上可能
親会社の一部情報の開示 なし日本で上場した会社がカリフォルニア州で支店を設立した場合、取締役が受け取る 報酬の内容など本社の一部情報を開示する必要あり
[色付けは私による]

これは日本の会社がカリフォルニア州に子会社を作った場合について書いてあるのですが、州内の会社が別の州内の会社を子会社として保有している場合には別ルールが適用されるのでしょうか?それとも、知らないうちに法が改正されたとか?

ここで、もう一度YouTubeの買収の内容を一次情報から見てみましょう(bold化は私)。

YouTube - Broadcast Yourself.
MOUNTAIN VIEW, Calif., October 9, 2006 - Google Inc. (NASDAQ: GOOG) announced today that it has agreed to acquire YouTube, the consumer media company for people to watch and share original videos through a Web experience, for $1.65 billion in a stock-for-stock transaction. Following the acquisition, YouTube will operate independently to preserve its successful brand and passionate community.

AcquireはされてもMergeしたとはどこにも書いてありません。

もちろん、法は判例あってのことですから、今回のことを通して「社会的影響が大きい場合は親会社に子会社の損害賠償責任を負わせることが可能である」なんて判決が出るかもしれませんが、少なくとも今のところは現行法が用されるのではないでしょうか。もちろんGoogleを別個に訴えることは可能ですが、あくまでその場合はGoogleが被告であってYouTubeを被告にすることで自動的にGoogleのポケットに手が届くと思うのは間違いかと。

なお、当然ですが、Mergeしてしまった場合は話は別ですし、たとえ「単なる子会社」でも、YouTubeのB/SはGoogleのB/Sと連結されされます。YouTubeが損失を出せば、当然それはGoogleのB/Sにも響きます。が、もしYouTubeが損害賠償で債務超過になった場合、破綻させてしまえばGoogleはそれ以上の損害を被らないのではないでしょうか。

このあたり、専門家の意見も欲しいところです。

Dan the Law Illiterate


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GoogleのYouTube買収に関して、Googleが損害賠償訴訟に巻き込まれるリスクについて話題になっている。 http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/1fd52120ffa3dc47a783bfae61c03947 http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50659842.html http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiy
[経済][雑記]企業の社会的責任(2)【酔狂人の異説】at 2006年10月17日 05:16
GoogleによるYouTube買収に関して、YouTubeの抱える訴訟リスク...
有限責任と「親」の責任【ふぉーりん・あとにーの憂鬱】at 2006年10月17日 00:57
----[WSJ] 罰金は数十億ドル? メディア企業が対YouTubeで団結 h
googleとYouTube【* .fridge shell developers blog】at 2006年10月16日 19:34
弾さんのGoogleとYouTubeの話まとめ。 ・404 Blog Not F...
Dan the Watcher【今日のコネタ】at 2006年10月16日 17:38
GoogleのYouTube買収と有限責任性 日経BPさんで連載させてもらってま...
GoogleのYouTube買収と有限責任性【isologue】at 2006年10月16日 15:14
池田信夫 blog:Google/YouTubeの深いポケットの 法的リスクについて、GoogleはYouTubeの株主にすぎないので有限責任だという説明があるが、これは誤り。GoogleはYouTubeを完全に買収したので、法的
GoogleとYoutubeは別の法人でしょ【godzillaoffden 1号】at 2006年10月16日 13:00
※あのあと本当に『有限責任』なのというツッコミ(実際は誤りだと断言している指摘)がはいったのに対して、弾さんが私の知る限りと前置きした上で現地でのルールとそこから導ける結論について順をおって説明しておられました〆 (cf.404 Blog Not Found:子会社の賠償責任は...
『移動祝祭日』 10/16/06〆【【THE FOOL ON THE HILL】】at 2006年10月16日 10:31
この記事へのコメント
弾さんのご指摘は大変鋭いと脱帽しています。
さらに 磯崎氏が深く分析されているので 私が口を挟む余地は全くありません。

godzillaoffden 1号がgodzillaoffden 1号のトラックバックで述べていらっしゃるように 池田さんのブログは 時々読んでいてもやもやします。財政部門でも ひとつひとつ反論すると 消耗しそうな人物ってイメージが池田氏のブログにはあります。ほっておくしかないような。。。

池田さんのブログは 『権威主義的なイメージ』が私の中では先行してしまい払拭できないでいます。(私個人の勝手な思い込みかもしれませんが・・・)
弾さんや磯崎氏が池田氏の権威主義を打破してくださって 胸がすく思いでした。(^^

弾さんと磯崎氏の『わが意を得たりの思考力・気力』に 脱帽・敬服します。



Posted by 貞子ちゃん at 2006年10月17日 21:52
理論的には弾さんのおっしゃる通りだと感じます。しかし、以前の<a href="http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50264973.html">耐震偽装のローン支払い</a>の時みたいに積極的に開示しない条項が有るかもしれません。
http://hannichiann.cocolog-nifty.com/hitokoto/2005/12/post_988e.html
の追加項目にリコース(遡及型)ローンついて少し触れています。

もう一つアメリカは陪審員がいますので、子供が払えないなら親が払えという主張が通る可能性は高いような気がします。だから「連結財務諸表しか作成しない」という事実が意味を持つのかもしれません。
Posted by 半日庵 at 2006年10月16日 19:35
連結されされますか。僕もされされたい。
Posted by 通りすがり at 2006年10月16日 00:31
池田さん曰く「アメリカでは連結財務諸表しか作成しないので、両者は法的にも財務的にも一体である。」らしいですが、(私も法律の専門家ではないですが)とても本当だとは思えないんですが。

財務諸表が連結であることと、法的に一緒であることがどうして同じ扱いになるかが理解できません。

また「ちなみにNapster事件では、RIAAは親会社Bertelsmannに賠償を請求した。YouTubeについても、Googleに対して訴訟が起こされるだろう(起こされるとすれば)。」とも書かれていますが、BertelsmannはNapsterと業務提携していたので、弾さんがおっしゃるように、GoogleがYouTubeを「放って」おけば、これにも該当しないはずです。
Posted by 田中大介 at 2006年10月16日 00:17
彼の言うことを真に受けちゃイケマセン。
Posted by こまつ at 2006年10月15日 23:27