2006年11月06日 14:00 [Edit]

生命が「考える」命の値段

結局この問題でなぜ我々が苦しむかと言えば、現代人の考える命の値段と、生命の「考える」命の値段が違うから、ということになるのかも知れない。

partygirlの日記 - さくらちゃんと、途上国の子供の命の値段
では具体的にどうすればいいんだろう?

生命が「考える」命の値段というのは、生命全体としての生存力(survivability)ということだ。個体の生死は問題にすらならない。ここでは「誰かが生き残る」ことが至上命題だ。「誰が」というのは問題ではない。

以前にも書いたが、同じ脊椎動物でも魚類はこの点において「優等生」だ。進化したものほど卵の数は多い。マグロなんて億のオーダーだ。しかも最初の「淘汰」は天敵ではなく共食い。彼らがあずみを見たら、「え、共食いは一回でいいの?」とか「あずみが生き残ったから爺の勝ち」とかという『屈託のない」感想が返ってきそうだ。

実は人間社会でも、こちらの方が長いこと標準的だった。毛沢東にとっては「中国」の方が明らかに「中国人」よりも大事だった。「人民の海に溺れさせる」戦略は、人民を「水分子」扱いできなければとても出てこない発想だ。日本でさえ、戦前は子供が病気になると、「治療費と葬式代とどっちが安い?」という電話相談があったそうだ。英語で歩兵のことをInfantryというが、その語源はinfant。なんで「子供」が「歩兵」の語源かと言えば、「弾よけ」(たまよけ、だんよけにあらず:)に使ったのが子供だったからというが定説の一つのようだ。一般人どころか為政者すらその例外ではない。子供を人質にとった相手に向かってスカートを捲り上げて「ここからいくらでも作れる」とのたまったのはカテリーナ・スフォルツァその人である。

まあ、これくらいにしておこう。

我々が子供を大切にしはじめた、というより「誰かが生き残る」から「誰もが生き残る」を希求しはじめたのは、ごく最近の傾向だということは覚えておいた方がいい。そしてそれが人類(の一部)にとっては崇高な理念でも、「生命」にとっては「地母神をも恐れぬ傲慢」であるかも知れないことも。

それでも、私としては人倫と「生倫」の板挟みで悩む方が、どちらかの倫理で「割り切る」よりましに思えるのはなぜだろう。

Dan the Negligible Part Thereof


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「404 Blog Not Found 生命が「考える」命の値段」 『 我々が子供を大切にしはじめた、というより「誰かが生き残る」から「誰もが生き残る」を希求しはじめたのは、ごく最近の傾向だということは覚えておいた方がい
命の値段と地球の値段【蒼と碧の幻想】at 2006年11月06日 22:22
追記:そもそも結論が必要な問題ではないってことなのかも。 (cf.404 Blog Not Found:生命が「考える」命の値段  “私としては人倫と「生倫」の板挟みで悩む方が、どちらかの倫理で「割り切る」よりましに思えるのはなぜだろう” ■先週Sさんから押しつけられて お借...
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この記事へのコメント
知識と知恵とは別物だということを身をもって示してくれたと
Posted by everything not found at 2006年11月08日 22:20
r-K戦略調べました。勉強にはなったけど「だからなんだ」としか。。。個人の価値より全体の価値、という結論変わらないじゃん。
Posted by 初学者K at 2006年11月08日 15:50
r-K戦略調べました。勉強にはなったけど「だからなんだ」としか。。。個体の価値より全体の価値、という結論変わらないじゃん。
Posted by 初学者K at 2006年11月08日 15:49
魚類の生き残り戦略についてふれていますが,
r-K戦略はご存じないでしょうか?
Posted by ななし at 2006年11月07日 06:40
まあ年とりゃ割り切られる側ですしね。
容貌は衰え知力はおちる。
Posted by は at 2006年11月06日 18:46
日本の神話もそうですね。
一日に千人殺すという言うイザナミに対し、一日千五百の産屋を建てると答えたイザナギ。
殺される千人を守ろうという気はさらさらなし。
生存競争ってのは詰まる所コストの問題なんでしょうね。
Posted by bob at 2006年11月06日 15:44