2006年11月15日 00:00 [Edit]
書評 - Binary Hacks
[初掲載2006.11.07; 発売開始まで掲載]
うちにも届きました。献本ありがとうございます>高林&O'reilly様
いやなブログ - Binary Hacks が届きました著者向けの見本として、本日、手元に Binary Hacks の実物が届きました。
というわけで、早速書評。
これは、お薦め。自分の得意なプログラミング言語を問わず、そろそろ初心者を脱したという人から、Geek Codeで+が五つ並ぶGuru級の人まで幅広く。
その名のとおり、本書「Binary Hacks」は、日本でも最先端のバイナリアン五人衆が集めた選りすぐりのHackが100個集められている。Hacksシリーズらしく、用語集や参考文献も100個のHackのうちに入っている。
例えば、「俺、LLしか使わないしぃ」という人でも、fileコマンドの使い方一つ知っているだけで違ってくるし、逆に上級者だとvalgrindやsigsafeといった比較的新しいBinary Toolsを知らなかったりもするだろう。本書に取り上げられた100のHacksをすべてソラで知っている人というのはいないだろう--著者たち自身も含めて。本書のHacksのうち、20も知らないHacksがあれば確実に元が取れる。私はsigsafeだけで元を取れた気分になった。
本書に対して一番ありそうな文句は、「Linux x86に特化し過ぎ」というものだろう。しかし私はこのことをむしろ評価する。本書の一番の利点は、本書の内容をそのまま「手に取って」実行できることにある。(想定読者に対して)最もよく使われているOSおよびアーキテクチャーをひいきするのはその点では納得できる妥協だし、しかもHacksのほとんどはわずかな読み替えで他のOSやアーキテクチャーでも実践可能なものばかりだ。たとえばvalgrindはFreeBSDでもPorts一発で入るし、sigsafeもportsやaptこそ使えないものの、本書に書いてあるとおりにすれば簡単に入る(ちなみにbuildに必要なsconsはportsにある)。そしてものによってはLinux x86だけではなくFreeBSDやOS Xもカバーしている。
本書は本書に書いていないことに関しても実に良心的で、本書を締めくくるHack #100は参考文献リストなのだが、これが実にConprehensiveである。それらの書籍のISBNまで載せておいてくれたさらに良心的だとも思うが、ISBNは改版などで変わりうるので、これはこれでいいだろう。
あと、やはりHacksシリーズでうれしいのは、判形がコンパクトなA5であること。O'Reilleyをはじめとする他の「Geek本」は、それよりも一回り大きなものが多く、本棚へのおさまりが非常に悪い。こういう本は「読まれる」ことよりも「使われる」ことが多いのだから、その点も考えた判形にしてほしい。A5であれば、80カラムのソースコードも無理なく収まるし、机におけば片手でたぐることも出来る。
Geekの「薬箱」に常備しておきたい一冊だ。
Dan the Just Another (Occasional) Binary Hacker
