2006年11月23日 02:30 [Edit]

直感的な定理の反直感的な帰結

私なんぞが解説しなくても、すでに

FIFTH EDITION: ベイズの定理と3囚人問題、モンティ・ホール問題を言葉だけで納得してもらう方法を募集。
このあたりは、弾さんに聞いてみるのがいいのかな。ちょっとTBしてみよう。

という具合にいくらでもあるのだけれども、「言葉だけで納得」とあるので。


Palさんの意見募集に対して、私はこう答える。

定理は直感的にわかるが、その帰結は直感的とは限らない。

確率の各定理というのは、直感的なものが多い。可能性が有限の場合は、定理を使わずとも実際に事象の数を全事象で割るという「コマ大方式」で充分なことも多い。ベイズの定理もその例外ではない。

いい例題なので、感染者問題

RENAISSANCE GENERATION 2003 program report
ある国に1000人に1人の割合である病気にかかっている人がいます。その感染判定をできる検査薬を使うと、感染している場合には98%陽性反応が、非感染の場合には99%陰性反応が出ます。ある人がこの検査薬で陽性反応が出た場合、この人が本当に感染している確率はどのくらいか。
非感染者 感染者 合計
実際の人数 99,900人 100人 100,000人
陰性反応 非感染かつ陰性
989,01人
感染でも陰性
2人
陰性者合計
98,903人
陽性反応 非感染でも陽性
999人
感染かつ陽性(Nip)
98人
陽性者合計(Np)
1,097人

を例にとる。分かりやすくするために、母数は疫学の統計でよく出てくる「人口10万人あたり」の10万人ということになる。すると右の表が簡単に出来る。この表を作ってしまえば、問題の答えはNip/Np = 98/1097 = 8.93%とこれまた簡単に出てくる。

ちなみに、「感染してても陰性」は偽陰性(False Negative)、「非感染でも陽性」を偽陽性(False Positive)と呼ぶ。この場合、本当に深刻なのは明らかに偽陰性の方だが、直感に逆らう原因となるのはむしろ偽陽性というわけだ。

統計で迷った時は、一度に全部解こうとするするのではなく、こうやって一つ一つの要素をきちんと書き出して計算してみるのが近道。むしろ統計の教訓は

FIFTH EDITION: ベイズの定理と3囚人問題、モンティ・ホール問題を言葉だけで納得してもらう方法を募集。
論理的には正しいが、納得しにくい。

ことではなくて、「慌てる乞食はもらいが少ない」なのかも知れない。むしろ知らない人の方が、一つ一つ丁寧に確認して確実に正解にたどりついたりもする。羽生は著書「決断力」で「直感の七割は正しい」と言ったけど、その直感を二乗しただけで正しさは5割以下になってしまうのである。確率を扱うときに正しい姿勢は、「直感を鍛える」ではなく、「直感は一歩先しか読めないから、一歩進んでは自分の位置を確認する」なのではないだろうか。

最後に問題。妻と私は誕生日が同じなのだが、カップルどおしの集まりにおいて、何組以上のカップルがいれば我々のようなカップルが一組以上含まれるでしょう?

Dan the Man to Err


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先日、ウノウでCTOの尾藤による勉強会が行われた。 テーマは『ベイジアンフィルタ...
ベイズ理論の応用事例【起業家・Webデザイナー・SE→CIOを目指しつつの大学生のアレ】at 2007年02月05日 09:10
この考えがそもそも間違いなのではないか。 元検弁護士のつぶやき: 「有罪率99%」は謎か異常か? 無罪率が増えると言うことは、結果として無実の人が身柄を拘束され起訴されることが増えるということです。  言い換えれば、結果的に不当起訴が増えるということです....
99%有罪は、非合法黙認の温床【404 Blog Not Found】at 2007年01月25日 12:13
palさんの解答待ちだったのですが、みなさん早くもしびれを切らしていらっしゃるようなので。 404 Blog Not Found:直感的な定理の反直感的な帰結最後に問題。妻と私は誕生日が同じなのだが、カップルどおしの集まりにおいて、何組以上のカップルがいれば我々のようなカップ....
誕生日が同じ夫婦問題回答篇【404 Blog Not Found】at 2006年11月25日 02:25
今日は「たけしのコマネチ大学数学科」は休講。代わりに弾さんが11月22日の記事「直感的な定理の反直感的な帰結」で問題を出してくれたので、考えてみよう。 最後に問題。妻と私は誕生日が同じなのだが、カップルどおしの集まりにおいて、何組以上のカップルがいれば我々のよ...
■コマネチ大学数学研究会「誕生日」【ガスコン研究所】at 2006年11月24日 02:43
この記事へのコメント
昔は誕生日が均一でなかったり、うるう年の考慮など仔細なことを無視したとして...
確率50%以上になるのが253組で正しいようでね.
おそらく弾さんの主張は,例えば50%の場合にこの値が365/2以下だという直感を持つ人が多いけど裏切られますよねということでしょうか?(直感と事実間のGapの存在)

おそらく本エントリの主旨は直感を信じすぎるな,ちゃんと検証のプロセスも怠らない方が良いということだと思います.

2点感想です.
1. 直感は一手先(一歩先)しか考えないという仮定は正しいでしょうか?つまり二乗や三乗ある選択肢の中で直感を働かせることもあると思います.
2. 数学や物理はまず直感で考え、それを理論で検証する.直感という先入観は、後で分かった事実とのGapを計ることでその発見の価値を評価することに役立つと思います.
Posted by らき at 2006年11月27日 21:23
いや、事前確率の話なんだから、
「そもそも誕生日は均一に分布していない」
とか
「同じ誕生日だと(そのネタで)話が盛り上がったり、もしかしたらそれで運命の人と勘違いしたりすることもあるから、結婚相手になる確率が上がる」
とかいう答えを望んでいるのではと推測。(笑)
Posted by ・・・ at 2006年11月26日 01:07
ガスコン研究所は、365組じゃないの、って感じでしたね。

でも、どれが正解でも感染者問題みたいにわかりやすくないし、エレガントじゃないように私は感じるなぁ。
Posted by 妻はフィリピーナ at 2006年11月24日 10:38
「我々のようなカップルが一組以上含まれるでしょう?」

可能性ということであれば、答えは1組。
必ずということであれば答えは無限組。
50%以上ということであれば253組...なんでしょうねぇ。
Posted by junichiro at 2006年11月24日 10:23
弾さん、そろそろ回答教えてくれても。。。

でもこれで、まさか無限組や365組が正解だったらコマネチ大学だとboooooingの嵐だと思うけど。
Posted by 妻はフィリピーナ at 2006年11月24日 04:46
統計よりことばの問題ではないでしょうか。

検査薬の信頼性に
1000人に1人の重みを持ち込むのは違うような気がします。
問題文にトリックがあるような・・。
Posted by な at 2006年11月24日 00:52
>最後に問題。妻と私は誕生日が同じなのだが、カップルどおしの集まりにおいて、何組以上のカップルがいれば我々のようなカップルが一組以上含まれるでしょう?

設問を変えて良いですか?

設問:妻と私は誕生日が同じなのだが、カップルどうしの集まりにおいて、何組以上のカップルがいれば我々のようなカップルが一組以上含まれる確率が5割を越えるでしょう?
回答:253組

Posted by 深海魚 at 2006年11月23日 22:47
確かに「必ず」一組含まれるには無限組集める必要がありますね。
Posted by bob at 2006年11月23日 19:04
無限組では・・・?
Posted by えっ? at 2006年11月23日 18:40
ん?さん、
あれ、ほんとだ。直しました。
Dan the Typo Generator
Posted by at 2006年11月23日 12:25
365くみ
Posted by BB at 2006年11月23日 10:24
>この場合、本当に深刻なのは明らかに偽陰性の方だが、直感に逆らう原因となるのはむしろ偽陰性というわけだ



>この場合、本当に深刻なのは明らかに偽陰性の方だが、直感に逆らう原因となるのはむしろ偽陽性というわけだ
Posted by ん? at 2006年11月23日 09:02
カップルどおし → カップルどうし ?
カップルが入れば → カップルがいれば ?
1-(364/365)^N > P
ってことでいいんですかね.
Posted by RET at 2006年11月23日 06:38
http://d.hatena.ne.jp/ryosuke321/
ねぇねぇ、子飼さん。構ってよww
寂しくてww孤独死しそうwww
貴方なら、私が何であるか、分かるだろ?!
Posted by 大勲位鈴木亮佑 at 2006年11月23日 04:42
クラスの中の任意の二人が同じ誕生日とは違いますよねぇ。夫婦二人が同じ誕生日の確立は1/365なんだからやっぱり365組じゃないのかしら?正解教えてください。

コマ大の特番の出演決まりましたか?もしそうなら楽しみにしています。
Posted by 妻はフィリピーナ at 2006年11月23日 04:33
似たような問題を高校でやりました。
50人のクラスで誕生日が同じ人がいる確率はいくらかというものでした。
結構な確率でいるもんなんですよね・・・・。
Posted by bob at 2006年11月23日 02:47