2006年12月14日 00:00 [Edit]

書評 - ウェブ人間論

[2006.12.11掲載;発売開始12.20まで更新]

献本感謝。早速読了。

My Life Between Silicon Valley and Japan - 「ウェブ人間論」(梅田望夫 平野啓一郎共著)の予約販売開始
その予約販売がアマゾン、紀伊国屋BookWebをはじめネット書店でスタートしました。
平野啓一郎公式ブログ
発売日は12月15日ですが、いち早く、11月17日から以下のネット書店でも予約受付が始まりました。

ネットvs.リアルの衝突」とは対極的すぎるぞ。

それはさておき、一足先のレビュー。


本書「ウェブ人間論」は、今や「ウェブ進化論」の著者で通じるようになった梅田望夫と、芥川賞受賞者にして1975年生まれ(これ重要)の平野啓一郎の対談を一冊にまとめたもの。率直に言って、「ウェブ進化論」より格段に面白かった。今年を締めくくるのにふさわしい一冊といってよい。

目次
  • はじめに--平野啓一郎

  • 第一章 ウェブ世界で生きる

    ネットの世界に住んでいる / 検索がすべての中心になる / 「ウェブ2・0」への変化 / ネット世界で日本は孤立する / 自動翻訳の将来性 / ブログで人は成長できる / ピン芸人的ブログ / 情報にハングリーな人たち / ウェブ=人間関係 / リンクされた脳 / 理想の恋人に出会えるか?

  • 第二章 匿名社会のサバイバル術

    / ネットなしではやっていけない / 五種類の言説 / 新しい公的領域 / 匿名氏の人格 / 抑圧されたおしゃべりのゆくえ / 顔なしですませたい / アイデンティティからの逃走 / たかがネット ネット世界の経済 / 平野啓一郎という無名人 / 空いてるスペースを取る / 分身の術 / 『サトラレ』の世界 / パソコンをリビングに

  • 第三章 本、iPod、グーグル、そしてユーチューブ

    / 表現者の著作権問題 / 「立ち読み」の吸引力 / 本は消えるのか? / 紙を捨てて端末に? / スタンドアローンなメディア / ユーチューブの出現 / iPodと狂気 / グーグルは「世界政府」か / 通過儀礼としての『スター・ウォーズ』 / ダークサイドとの対決 / シリコンバレーの共同体意識 / オープンソース思想とは

  • 第四章 人間はどう「進化」するのか

    / ブログで自分を発見する / 「島宇宙」化していく / ネットで居場所が見つかる / 頭はどんどん良くなる / 情報は「流しそうめん」に / ウェブ時代の教養とは / 魅力ある人間とは / テクノロジーが人間に変容を迫る / 一九七五年以降に生まれた人たち / 百年先を変える新しい思想

  • おわりに--梅田望夫

梅田さんは、「論」より「談」が似合う人だと思う。私自身、梅田さんと「Web 2.0 ツールのつかいかた」で対談してそう感じていたのだが、今回その思いを強くした。

もっとも、なぜ梅田さんが談話席を確保したのかといえば、やはりそこには「ウェブ進化論」の存在がある。あの本のおかげで、梅田さんは「『あちら側』と『こちら側』の仲人」という地位を確固たるものにした。「こちら側」の住人には、「梅田に聞けばわかる」という定評を「あちら側」の住人には、「梅田さんなら我々の言いたい事を『こちら側』に伝えてくれる」という定評を一括して確保してあるのだ。この財産は大きい。梅田さん「だけ」のものにしておくにはあまりにも。「ダークサイドに堕ちてますよ!!」(p.147)という言葉は、それに対する警告だと私は思う。この地位は「梅田の、梅田による」ものではあるけれど、「梅田のための」ものではない。釈迦に説法を承知で表明しておく次第である。

対する平野さんは、「あちら側」の住民率が非常に高い1975年生まれながらも、「こちら側」における権威の代表とも言える芥川賞受賞者。「こちら側」から見るとむしろ希有な存在である。しかし「1975年生まれ的」なのは、話題によっては梅田さんが保守に見えるほどラディカルな所。特に本の将来に関しては、梅田さんの方がずっと保守的なのが面白い。

その意味では、「ウェブ人間談」の方がより実情を反映したタイトルなのだが、SEO的には"ウェブ進化論".replace(/進化/,/人間/)の方がよいのだろう。発売一ヶ月前にもう予約可能としたことといい、新潮新書編集部はそのあたりがとてもよくわかっている。

しかし、「ウェブ進化論」と違うのは、文学者との対談だけあって、本書はより言葉の多義性を駆使した作りになっていること。「ウェブ進化論」の方は「ウェブ進化・論」と読むのは難しいが、本書は「ウェブ・人間論」とも「ウェブ人間・論」ともきちんと読める作りになっている(あとがき参照)。

全てのウェブ人間に。

Dan the Web(bed|ber)

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この記事へのコメント
拝敬とおりすがり様、
ますますご懸賞のことと鱒仕上げます。
このたびは娯字の指摘、真琴にありがとうございます。
筒芯で帝政いたしました。痕後ともよろしくご便断つのほどを
お値外孟子上げます。
啓具
Dan the Typo Generator
Posted by at 2006年12月11日 20:56
平野敬一郎→平野啓一郎
Posted by とおりすがり at 2006年12月11日 17:26