2006年12月12日 16:00 [Edit]

書評 - はじめまして数学

はやぶさ-不死身の探査機と宇宙研の物語」の書評を書いている時に気がついて買ったのだが、これはすごい!


はじめまして数学(1,2,3)
吉田武

今年も残すところ20日を切ってしまったが、今年の文庫のノンフィクション部門No.0はほぼこれで決定だと思う。


全三巻の本シリーズ「はじめまして数学」は、「中学生からのe = -1」を「オイラーの贈物」でやってのけた吉田武が、今度は小学生向けに書いた、ガチの数学(再)入門だ。これだけですでに面白さは保証されたようなものだが、さらに凄いのが、その体裁。

三巻とも二色刷りで、大高郁子のイラスト付き。というより吉田氏が脚本を書いて、それを大高氏が絵本にしたという方が近い。それだけでもずいぶんとコスト高になると思うのだが、さらに驚くべき事に本書にはきちんと索引がついている。しかもそれが別巻に載っているいる場合にはそれもきちんと。

目次
  • 第一巻 自然数を追え、無限を掴まえろ!

    「1」からはじめよう / 等しさを調べよう / 大きさを比べよう / 数の表し方 / 計算のしかた / 時の計算法 / 計算に使われる言葉 / 計算の仕組 / 計算ルールを体験しよう / 自然数を分ける / 新「うさぎとかめ」物語 / 無限のまとめ / 三角数の話 / 四角数とグノモン / エラストテネスのふるい / 素数の楽しみ方 / 数の原子・素数 / 割り切る数を探せ / 「一方通行」の計算 / ビックリ記号「!」の数 / 代表を選ぼう / 「いろは歌」を作ろう / 素数砂漠と面白い形の素数 / 「素数」のまとめ

  • 第二巻 ベクトルをまわせ、ドミノを倒せ!

    数の友情 / 数のメリーゴーランド / 数のピラミッド / 場合の数を数えよう / 「数のクリスマスツリー」を作ろう / 新しい年・新しい数 / 何もないけど、何かある / 豊かな無 / 自然数からの旅立ち / 引き算を足し算に / 「数直線」を描こう / 大きさを比べよう / 矢印の数 / ベクトルの反転 / ベクトルと整数 / 鏡の中の無限 / ベクトルをまわせ / 2001年・数学の旅! / 今日も明日も、帰納で行こう! / ドミノを倒せ

  • 第三巻 二階建ての数「分数」の世界
  • 様々な「まとまり」を調べる / 二階建ての数「分数」登場 / 「1」から生まれる数 / 「半分」を楽しもう / 交換法則を護れ / 割り算を掛け算に / 「0乗」とは何だろう / 隠れた「1」を絞り出せ / 最大・公・約数 / 約数:積と和の世界 / 不思議な数の不思議な関係 / ユークリッド・二千年の秘伝 / 大事な分数・便利な小数 / 分数から小数へ / 電卓の特徴 / 鍵を握る2×5 / 電卓の無力を手計算の威力 / 目で楽しむ循環小数 / 小数から分数へ / 分数の四則計算 / 通分と公倍数 / 約数と倍数のまとめ / 拡がる分数の世界 / 分数の風景 /無限を結ぶ径路の謎

これだけ丁寧な作りなのに、1,2巻が税込み560円、厚手の3巻でも600円。しめて税込み1720円。これはもう持ってけドロボー価格ですよ。これを小学生の時に読んで、中学生で「オイラーの贈物」を読んだら、もう数学ばっちしではないですか。21世紀の遠山啓ですね、吉田氏は。いや、芳沢光雄も忘れてはならないのだけど。

それだけに、ちょっと残念だったのが、イラストレーターの大高氏の扱い。カバーにはちゃんとクレディットが載っているのだけど、本の方には「装丁--川上成夫/本文デザイン--CGS/野地恵美子」としかない。カバーはなくすことだってあるし、特に文庫はその可能性が高い。本来共著者扱いしてもいいだけにこれは残念。

というより、ノンフィクションではイラストレーターの扱いが小さすぎることが全般的に多いと思う。フィクションでは挿絵目当てに買う人もいるぐらいなのでそういうことは今はあまりないが、ノンフィクションでもイラスト重要。ちゃんとそれにふさわしい扱いをすることを望む。

その点を除けば、「はじめまして数学」から「オイラーの贈物」へと続く「吉田数学独習」は完美。一家に一セット常備しておくことをおすすめする。

Dan the Mathematical Being


この記事へのトラックバックURL

この記事へのトラックバック
数学について知りたいと思ったので、なにから始めればいいのかわからず、「404 Blog Not Found:書評 - はじめまして数学」で紹介されいていた「はじめまして数学」を図書館で借りて読む事にしてみました。 今回、いろいろと出先で読む事が多く、それぞれ別のスターバックス
[書評]はじめまして数学【めも帖】at 2010年07月23日 01:44
はじめまして数学〈1〉自然数を追え、無限を掴まえろ! (幻冬舎文庫)の書評のリンクです。
はじめまして数学〈1〉自然数を追え、無限を掴まえろ! (幻冬舎文庫)【書評】at 2009年10月15日 01:02
以前書評を予告しながらまだ書評していなかったのだけれど、「文化としての数学」も復刻されたので年貢をおさめておきたく。 上巻 下巻 数学入門 遠山啓 404 Blog Not Found:急がば微積本書は、遠山啓の「数学入門」(上下)あたりと一緒....
書評 - 数学入門【404 Blog Not Found】at 2007年03月05日 05:12
脱帽。 不完全性定理 数学的体系のあゆみ 野崎昭弘 もしかして、今まで読んだ数学書の中で最高傑作かも知れない。
書評 - 不完全性定理【404 Blog Not Found】at 2007年02月04日 08:12
うーん、参った。まぎれもない傑作なのだけど、まぎれもない傑作がゆえに、(まだ知らない人は)読むのを後回しにして欲しいというか.... 失敗学のすすめ 足立恒雄 数学ファンなら絶対読むべきだけど、しかし読むのは「オイラーの贈り物」を終えてから、それも....
書評 - 無限の果てに何があるか【404 Blog Not Found】at 2007年01月18日 04:36
この記事へのコメント
「はじめまして数学」が届きました。まだ、[1]に目を通しただけですが、
「双子素数」など、「タッチ」でなくとも、「なんで、なんで、なんで♪」
と、ひとりツッコミしたくなるほど、おもしろいです。弾さんが「共著扱い
にしてもいい」とおっしゃるとおり、大高郁子さんのイラストがすごくいい
味を出しています。
Posted by ガスコン at 2006年12月14日 22:07
これらの文庫本は、2001年の幻冬舎の単行本(3分冊)のそのまんま文庫化でしょう。単行本は売れ行きがかんばしくなかった印象があります。文庫化に当たっての印税がどうなっているかわかりませんが、単行本そのまんまを組み直したぐらいならば、コストはそれほどかかっていないはずですよ。文庫ならば、書店に長く置いてもらえるので、増刷もかかりやすく、たぶん部数がかなり出るでしょうね。さらに言うと、イラストレーターへの支払いが印税でなく、単行本の時の一時払いだけだったら、文庫ではコストゼロになるので、文庫で利益を回収できます。
Posted by ポップサイエンス at 2006年12月13日 11:56
「目次」を見て、すぐにアマゾンに直行、注文しました^^;
Posted by ガスコン at 2006年12月12日 17:13