2007年01月28日 07:00 [Edit]

機械が見た機械論

このニュースをGoogle Newsで追った結果が面白い。

livedoor ニュース - [柳沢厚労相]女性を「出産する機械」とも例える発言
柳沢厚労相は少子化対策に言及する中で「15から50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、機械と言うのは何だけど、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないと思う」などと述べたという。

まず、最初の報道が全国紙ではなく地方紙であることがすぐにわかる。こちらの「北海道新聞の記事が27日21:33。驚くべきことに、「痛いニュース(ノ∀`):【政治】 女性=「産む機械、装置」 柳沢厚生労働大臣が発言…自民・島根県議の決起集会」のタイムスタンプがこれに一致しているが、Livedoor Blogではタイムスタンプは任意に指定できるのでこれは「痛いニュース」が北海道新聞の報道に合わせたのだろう。とはいえ、「痛いニュース」の大元である2chのスレは、27日18:38:47に立ったようだ。

それが全国紙に波及するまで、数時間づつのタイムラグがある。毎日の「柳沢厚労相:女性を「出産する機械」とも例える発言−PHOTOジャーナル:MSN毎日インタラクティブ」が22:32(最終更新が翌00:33)、朝日の「asahi.com: 「女性は子ども産む機械」柳沢厚労相、少子化巡り発言 - 教育」が翌00:33、日経の「NIKKEI NET:政治 ニュース - 女性は「産む機械」、すぐ言い直し謝罪・柳沢厚労相が講演で」が01:01。面白いことに、読売はいまだに報じていない。

次に、各紙の論調を見てみる。

まず、北海道新聞。

北海道新聞 社会
柳沢伯夫厚生労働相は27日、松江市で開かれた自民県議の決起集会で、「産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」と女性を機械に例えて少子化問題を解説した。

「『機械って言ってごめんなさいね』との言葉を挟みながら」が後ろ回しになっているものの、それほど煽った記事ではない。「失言」という言葉も出て来ない。立場を決めかねている感じ。

次に、毎日。

柳沢厚労相:女性を「出産する機械」とも例える発言−PHOTOジャーナル:MSN毎日インタラクティブ
少子化対策にかかわる閣僚による、女性を「出産する機械」とも例える発言だけに、今後批判を強く受けそうだ。

ここで意見が加わる。見ての通り批判的だ。

朝日は、こう。

asahi.com: 「女性は子ども産む機械」柳沢厚労相、少子化巡り発言 - 教育
 会場では発言について異論はなく、主催者からの訂正などもなかったという。

直接的な意見ではないが、ここを強調することにより間接的な批判になっている。

そして日経。

NIKKEI NET:政治 ニュース
 厚労相はその場ですぐに「機械と言ってごめんなさい」などと謝罪。「産む役目の人」と言い直した。

同じニュースながら、朝日の論調とは真逆になっている。

こうして大まかに見ていくと、各紙とも純粋な報道はなく、必ず意見を書き添えていることがわかる。そして第一報が例外であるものの、批判的なものほど早く報じられている。

こうした傾向はこのニュースに限ったものではないし、「リテラシー」が高そうな人は皆心得ているものではないけれど、一紙も新聞を取っていなくても自宅からたちどころに見える、いや機械が見せてくれるというのはやはりすごい。こうなるとニュースを報じる機械たちがニュースをまとめる機械に対してどのように思っているかを知りたくなってくるなあ。

一つ確実そうなのは、Webという機械は失言する機械に対してより厳しいだろうということだが....

Dan the Netsurfer


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はやりの話題に触れてみる。 「女性は子供を産む○○」 恐らく何を入れても政治家の発言としてはNGだろう。デリケート過ぎる。「男は会社の歯車」と発言しても働いている多くの女性の心を傷つけるし、「家庭は国力の源」もかなりヤバイ。「女性は考える葦である」も恐らく...
Web2.0は○○を産む機械【LastOneInch】at 2007年02月12日 02:27
柳沢君の機械発言はすでにblogosphereのあちこちで論議されているので今更私が言う事はないように思ったのだが、一つ気になることがある。 なぜ柳沢君の「生む機械」は駄目で、石原君の「ババア」は通るのか。これを機械、じゃなかった機会に考えてみた。
「機械」がNGで「ババア」がOKなのはなぜか【404 Blog Not Found】at 2007年02月03日 20:58
書き上げてみたら、 今年度の夏学期の人類学の「人間」とはなんぞや、 それはどのようなものとの対比で語られ、 どこまで拡張可能かという話に非常に似通っている気がした。 人間と動物―構造人類学的考察ロイ G・ウィダlicatio
「人間と動物」 去勢・発情・家畜・機械etcについての雑感【John's Notes 〜センザンコウを求めて〜 β版】at 2007年02月01日 20:36
ぱむぽじのつばめさんがPalmOSだろーがとのエントリーでお書きになってました。 諸説いろいろ語られてますが、特にACCESSが悪のように語られるのは好かないかな。  これが私も感じてたことです。どうも最初にACCESSさんを悪役として認定して何をやっても悪くとってるんじゃ
[Palm] ACCESSは悪役なのか【Good News Forever@はてな】at 2007年01月29日 12:03
昨日404 Blog Not Found:機械が見た機械論っていうのを読んでいて「確かにメディアリテラシーっていうのも難しいよねえ」なんて思っていたんだけど、さっきYahoo!ニュースのトップにリンク先でも引用されている毎日新聞の記事が出てました。 柳沢厚労相は少子化対策に言及...
事実と、感情と【あにゃログ】at 2007年01月28日 18:10
Blog Not Found 機械が見た機械論より 弾さんのブログで柳沢厚労相が失言をやってしまったことを知った。 デカルトは"動物はみんな機械"、"人間も半分は機械"という説を唱えている。 だから、"女性が「出産する機械」"という発言は、個人的に、 "そういう見方もあるな" ぐら...
デカルトの機械論【enchanting an air of joyous bliss】at 2007年01月28日 16:54
404 Blog Not Found:機械が見た機械論 新聞が持つ特性が如実に表われていると思ったので、ご紹介。 柳沢厚労相が女性を「出産する機械」と称した問題に関して、2ch、北海道 新聞、livedoorニュース、MSN毎日、アサヒコム、NIKKEI NET と各紙が記事を 出しているのだ....
読んではいけない (1/2)【へ〜たのめも】at 2007年01月28日 13:12
この記事へのコメント
>「15から50歳の女性の数は決まっている」
>ってほうが問題発言じゃない? 「現人口はかわらねーからだろ」って突っ>込まれるのを承知であえて言うなら、まったく意味がわからない。

いや、むしろその点がこの講演のキモだったわけなんですよ。
2030年頃に出産適齢期を迎える女性の人数は、現時点で既に生まれてしまっている(=決まってしまっている)。
だから少子化が問題だ、増やさなきゃとはいうれけど、2030年まではもう勝負が決まってしまっていると。
それでも増やそうというなら一人頭がより多く産むしかない状況ですよ既に、と。
以前役人にそう言われました、と。

>だいたい、そこが決まってるならキャップになって子どもの数も増えようがないじゃん。

まさにその事を機械論的に語ったのが、かえって言葉足らずだったって事なんですね。
彼自身の主張とか男女観とか何とか、そういう話ではなくて、「解説」だったわけなんです。
Posted by MALE at 2007年02月01日 14:38
>「産む役目の人」については発言の修正がありませんでした。
「産む役目の人」という発言ではここまでマスコミを煽れなかったのではないでしょうか?

「機械」というある意味、その手の人々のとって「旨味」がある表現を使ったことが事件の発端だと思います。で、それについては現場で「謝罪」はあったようですね。


>女性を「産む役目の人」と賛同・批判しているのは、
純粋に価値中立的なものなどこの世にはないでしょうが、「産む役目の人」というのは意外と「価値中立的」だと思います。「出産」という側面に焦点を当てて何かを考えるときには、ある程度そういった枠は必要になると思います。まあ、「産む役目の人」と言う用語法が一部の人のご不興を買うあなら、同一の意味で別の表現を探す必要はありますね。
Posted by N at 2007年01月31日 13:08
 「産む役目の人」については発言の修正がありませんでした。

 「産む役目の人と修正した」と報道している各紙は、役目と考えることの是非を読者に問いかけて、リサーチしたいのではないでしょうか?

 女性を「産む役目の人」と賛同・批判しているのは、どのような年齢層か?どのような職業なのか?どのような社会的な地位なのか?どのような地域なのか?

 男女共同参画社会についての意識の一側面も得ることができそうな、格好な出来事だったと思います。
 
Posted by M at 2007年01月30日 09:35
「女は子供を産むための存在」ってのは生命という枠組みで見れば当たり前の話。
そう考えると「男はDNAの多様性を担保するためのストックに過ぎない」という話になるけど。
Posted by bob at 2007年01月28日 21:01
>会場では発言について異論はなく、主催者からの訂正などもなかったという。(朝日)

>厚労相はその場ですぐに「機械と言ってごめんなさい」などと謝罪。「産む役目の人」と言
>い直した。(日経、NIKKEI−NET)

凄いですね。上の日経の記事が事実なら朝日の報道とは明らかに矛盾し
ます。つまり朝日の「捏造」に近いミスリード。

誰が考えても「その場で謝罪」と「主催者からの訂正などもなかった」は矛盾すると思う。


勿論、これを正当化するロジックがあると知れば「本人は主催者側には含めない」という事だろうが
あまりにも苦しい。

Posted by よく読んでみたら at 2007年01月28日 12:17
無理に「機械」という単語を使おうとして意味が分かりづらくなってますよ。皮肉のつもりですか?>>Dan the Netsurfer
Posted by   at 2007年01月28日 11:07
>女は子供を産むための存在だって思ってることそのものが「痛い」わけ
必ずしもそう「思ってる」とは読めませんが。

まあ、「女性は子供を生む能力を持っている」とか言っておけば、表現の末節に突っ込まれる心配はなかったわけで。むざむざ「言葉狩り」の餌食になるのは政治家としては無能のそしりは免れないだろう。


せめて、並列して「男性は種付けをする機械」という表現もしておけばよかったんだよね。

Posted by 政治家として無能 at 2007年01月28日 10:12
それより
「15から50歳の女性の数は決まっている」
ってほうが問題発言じゃない? 「現人口はかわらねーからだろ」って突っ込まれるのを承知であえて言うなら、まったく意味がわからない。日本には
「出産可能年齢の女性人口を調整する姥捨山」
かなんかがあるの? だいたい、そこが決まってるならキャップになって子どもの数も増えようがないじゃん。

「出産したいと思える15から50歳の女性の数」を増やさないから少子化なのに、「ひとりあたまの数」を云々って、アホか。すぐ大臣辞めるべき。
Posted by Bar at 2007年01月28日 10:03
 「産む役目の人」って全然フォローになってないよな。女は子供を産むための存在だって思ってることそのものが「痛い」わけで・・・。こんなのどう書いたって与える印象は同じだよ。
Posted by 寿命 at 2007年01月28日 09:35