2007年02月06日 00:45 [Edit]

掃除夫の不満、職人の不安

理由はもう一つある。

分裂勘違い君劇場 - 生産性の低い人には3つのタイプがあります
だから、ボク以外の大勢の人が、ぼくほどには、駅の掃除のオジサンの仕事の価値を評価しないため、結果として、駅の掃除のオジサンの給料はあまり高くなりません。

松本零士じゃないけど、「駅の掃除なら、誰でもできる」からだ。


もちろん、掃除の上手下手はある(我が家は全員下手なので、週一でプロにお願いしている)。しかしトイレ掃除の技能というのは、多くの人が日頃自宅でやっていることで(これに関しては私もやっている)、わざわざ学校に行ったり師匠の元で修行しなくても出来る。

こういった「誰でもすぐにでもはじめられる」仕事というのは、経済学の需要供給モデルとの相性がいい。掃除夫になろうと思えば大半の人がなれるので、潜在供給力は常に過剰。だから需要が供給を決めることになる。ただし潜在供給力が大きいとはいっても、人々が好まない仕事というのは実供給は過小ぎみになるので、先進国ではこれらの仕事の給与がべらぼうに低いということはない。同じ時間働いたら、初任給どころか平均を上回るのではないか。それでも、これらの仕事で高給取りとなるのは難しい。もしそこまで需要が逼迫しても、その場合供給力もすぐに上がるからだ。

しかし、世の中の仕事の少なからぬ部分は、すぐには就けない仕事だ。何年も学校に通い、その後も何年も現場を踏んではじめて出来るようになる仕事も少なくなく、そしてこうした仕事がますます増えている。医者や弁護士は言うに及ばず、山根一眞が「メタルカラー」と呼ぶ職業はことごとくそうである。

こうした仕事は、需要供給モデルとそりが合わない。不足しているからといって供給がすぐに増えるわけではなく、そして過剰だからといってすぐ他の職に就けるわけでもない。そして困った事に、職業そのものの寿命は短くなる傾向にある。職人として油がのった頃に産業ごとなくなってしまうという例すらあるのだ。「手に職」と言っていた時代が懐かしい。今や「一生もの」の仕事というのはなかなか想像できない。研鑽を積んで得た技能が、一瞬にして不良資産になってしまうことだってあるのだ。

プログラマーなどは、この不安がかなり大きな仕事ではないか。「一生プログラマーでいたい」という人が多い裏には、一生この仕事が続けられるほど自分の専門分野が長続きするのだろうか、という不安がある。かつての花形職業が「コモディティ」になってしまう期間は年々短くなっている。たった10年前には、HTMLを知っているだけでおいしい思いが出来たが、今やそれだけでは掃除夫よりも稼げない。

これに唯一対抗できる手段が、永遠に「生徒」であり続けることだ。自己研鑽をおこたらず、今ある技能で稼ぎながら、常に「次の」技能を学び続ける。なんだかポジティブだが、なんとも疲れる生き方ではある。さらに困った事に、今習っている技能が、「次に来る」かどうかは何の保証もない。OS/2に未来をかけた人々は、今どうしているのだろうか....

だれでも出来る仕事では不満。だれにも出来ない仕事は不安。どちらを選ぶのが賢いのだろうか。少なくとも市場がそれを教えてくれないのは確かだ。

Dan the Codesmith


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この記事へのコメント
医者とか、弁護士とか、公務員のように強力な参入障壁をつくればOK
Posted by 弁護士志願 at 2007年02月07日 01:16
職業としてトイレ掃除の仕事をした経験もないのに、あいまいな知識をもとに抽象化しているという意味では、参照元と同レベルだ。

彼等がどう思っているか、実態はどうなのか、外から決め付けるのではなく、せめてインタビューをすべきではないか。

そうでなければ、机上の空論というものだ。参照先と同じで、自分の語りたいもののために、他人をダシにする、おごりたかぶった子供の言葉だ。

OS/2にしても、実体験か近しい例を知っているのか、定量的データを持っているのでなければ、無責任な書き方だ。

>IBMの社員

うらやましい…。うらやましい。
うらやましい。
Posted by 東方不敗 at 2007年02月06日 20:58
ここの動画サイト面白いよ!http://www.ganzis.jp
Posted by momo at 2007年02月06日 10:18
実際のところは分かりませんが、IBMの社員で OS/2をやってた人(かけてた人?)の場合は単に部署や担当が変わっただけで、人生設計に特に問題無いんじゃないでしょうか。
Posted by yaiyai at 2007年02月06日 07:53