2007年02月08日 19:00 [Edit]

少子化の三つの対策

これを国内だけで解決しようとするから苦しい。

大石英司の代替空港: 人口が減るということ
口減の問題で、江戸時代並みの人口に落ち着くのであれば……、みたいな意見が当然あるわけですが、これは根本的に違うのは、江戸時代とは人口の構成比率がまるで違うことです。

結局のところ、この問題の解決策としては、以下の三つの選択肢しか存在しない。

  1. 国内で解決(domestic; do it ourselves = D)
  2. 国内の余剰高齢者を国外に移民(emigrate the old = EO)
  3. 国外の余剰若年者を国内に移民(immigrate the young = IY)

Plan D

まずはPlan Dを見てみよう。この場合の解決策は結局のところ「産めよ殖せよ」以外の何ものでもない。しかし先進国の全てが民主主義を標榜している以上、出産を強制することは出来ない。出産は国民の義務ではなく権利である以上、「その権利を行使した場合にこういうインセンティブがあります」という、手間も暇もかかる政策しか取れない。フランスの例が成功例として取り上げられているが、この方法は一度はじめたら「手を抜く」ことも難しく、一度「手を抜い」たらスウェーデンのように出生率が再び下がってしまう公算もきい。

失言に対する失言ではないが、このやり方の費用対効果は決して高くないのだ。

Plan EO

国外まで視野に入れれば、解決法がもう二つ見えてくる。EOとIYだ。

前者は個人単位では動きがある。「年金生活は生活費が安い海外」というわけで、いくつかの国は積極的に年金移民を受け入れているようだが、これはあくまで「好きな方はどうぞ」に留めておくべきだと私は考えている。

第一の理由は、過去の事例。日本もかつては積極的に海外移民を推し進めていた時代があった。彼らの多くは想像を絶する苦労の末、移民先で一定の地位を得るに至ったが、その一方で日系人というのは日本に対して最も厳しいスタンスを取る人々でもある。移民者の彼らにとってはさておき、「国益」の観点から見ると成功だったとは言いづらい。

第二の理由は、空洞化。年齢構成だけ見れば確かにEOは解決策となりうるが、社会を維持するためにはある程度の絶対人口も欠かせない。同じ年齢構成でも、100人の島と100万人の都市はまるで別物なのである。そして100万人の都市に120万人を詰め込むのは以外と容易だが、120万人の都市から20万人を平和に「間引く抜く」のはかなり難しい。今までの都市の人口減少は合州国の"Rust Belt"に見られるような、ゆっくりかつ自発的な人口減少のみで、急激かつ政策的にそれを行った例というのは、ダム建設に伴う散発的な事例ぐらいしかない。大規模な例としては中国の三峡ダムの事例があるが、あれは中国だからこそ出来ることで、今の日本ではどう見ても無理である。

そして第三の理由は、絶対国力の減少。いくら一人当たりの生産性が高いといっても、市場全体が小さくなれば、当然その市場は後回しにされる。EUがなぜ設立されたかといえば、それを避けたかったからだ。国家の独立より優先させねばならないほど、この力は大きかったのだ。今欧州の小国が「うまくやっている」のはこの事も大きい。特にアイルランドはそうだろう。クリティカルマスというのは確かにあるのだ。そしてクリティカルマスの点から見れば、今の日本でも小さすぎるという観かたもあるのだ。

Plan IY

そうなると結局のところ、残るのはIY、若年者の受け入れしかないことになる。現代の日本では最も人気のないオプションだが、私はこれしか残っていないと思っている。そしてこのオプションを使うのであれば、早ければ早いほどいいと思っている。

このオプションがなぜ人気がないかというと、彼ら移民に日本を乗っ取られるのではないかという不安に集約されると思う。職場を奪われるのではないか。文化を壊されるのではないか。「美しい国」はどこへいってしまうのだ、というわけである。

個人的にはそれも一興だと思うのだが、それがいやなら、方法が一つある。

子供だけ移民させて、はじめから日本人として育てるのである。政策的な里子政策である。

やり方はこんな感じだ。まず、里子とすべき子供の数を定める。これはさまざまな決め方があるが、「現在の日本の人口の維持に必要な人数」あたりが落としどころだと思われる。年間100万人を超えることはないだろう。次に、それを元に条件を定める。この条件はいろいろ考えられるが、少なくとも第三子以降とすべきだろう。あとはその条件に合致する里子を公募して、公募が多ければ抽選する。

重要なのは、ここにおける条件に「成績これ以上」とか「健康状態あれ以上」など「優秀な子だけ選別する」条件は付帯しないこと。それであれば、「即戦力」の移民を募集した方がずっといいし、そんなことをすれば日本は「子供さらい」というそしりは免れない。あくまでも「育てきれない」子供を引き取るというスタンスで行くべきだ。

それで、誰にこの子たちの里親になってもらうか、ということだが、そこで高齢者たちの出番が出てくる。彼らにもう一回ご活躍いただくのだ。

一口に高齢者といっても、やっと還暦を迎えた人々から「もうすぐお迎え」という人々までさまざまだが、個々で主な対象は「高齢者なりたて」の人々だろう。「折角子離れしたのにうんざり」という人も少なくないだろうが、「娘や息子で得た教訓をもう一度活かしたい」という人も実は少なくない。子育てに飽きていない人々というのは一定数いるのだ。彼らに「子育て2.0」を実行してもらうのだ。

「元親」は合法的かつ人道的に(機械的な言葉であることを承知で言うと)「口減らし」が出来、里親たちは新たな生き甲斐とある程度の手当を得ることが出来、そして「日本生まれの若者」は引き続き「自分の人生は自分で決めることが出来」、そして政府は今よりずっと将来に対する計画を立てやすくなる。

いいことづくめに思えるのだが。

Dan the Japanese by Accident


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2.0好きのdankogai氏である。今回は「子育て2.0」。人口減少を食い止める手段として(1)国内でまかなう(2)高齢者を海外に移住させる(3)移民を受け入れる。 で、おもしろいのは(3)の方法。まぁ、(1)と(2)は結局国力の低下は免れないから(3)に落ち着くん....
[子育て2.0] 人口減少をくいとめるために【森蔵オフィシャルブログ】at 2007年02月08日 23:51
この記事へのコメント
人口問題を調べてて、このエントリに辿り着いたんで少しだけ。
エントリの内容に激しく同意したんですが、「量」の視点が不足
していると思ったんですが。。。

今年の前後5年の日本
「110万人生まれ、110万人死ぬ」

20年後(無策のPlan D)
「70万人生まれ、150万人死ぬ、80万人減る」

Plan IY:
「70万人生まれ、70万人死ぬ、80万人IY」

Plan EO:
「70万人生まれ、150万人死ぬ、80万人EO」
Posted by メモ at 2007年09月09日 02:42
男性にもっと甲斐性があれば、結婚率も出産率も伸びると思いますが・・・。と女性は言いますが、それはイコール、他の国から今よりもまだ安く材料を買って来て製品を製造し、他の国へ今より更に高く売れと言う意味ですよ。
 地球に66億の人間が住んでいますが、資源が殆どない日本、何処の国から今以上安く材料を買えというのですか?相手は極貧状態ですよ。
 ちょっとした女性の我がままが、今日まで国と国との間の戦争を起こした歴史があり、出陣するのはいつも男性です。
 そして、何時も史実では男性が戦争を起こしたことになっている。
 生きるか死ぬかの選択をする場所に、好き好んで行きたい者がいるか!この阿呆が!
 女性の浅知恵!簡単に発言するな!いい加減にせい!男女同権の時代だ!今度はお前が行け!
Posted by 甲斐性とは! at 2007年02月20日 00:19
海外からの移民を大量に受け入れるようになるのも時間の問題だと思います。ただ、これまでのこの国の政治からすると、ギリギリまで先送りにするんだろうなぁ、と。問題の核心は年金ではなく、今後ますます深刻になるであろう労働者の不足だと思います。
Posted by ztaro at 2007年02月10日 20:53
>中国の存在を忘れてもらっては困る。

だから
現状だと、移民や里子を解禁してしまうと中韓朝系のが津波のようにおしよせてきて余計に国防や経済や治安が悪化するんでっすっよー

まともな移民は日本なんかまたいでアメリカに行くんだろうし
Posted by 玉Oh! at 2007年02月10日 02:27
まず弾さん5人ほどアジアンの子供引き取ってよ。話はそれから。
Posted by かどな at 2007年02月09日 21:21
もし日本が欧州に存在してるなら国力が落ちてもEU全体で国際影響力を維持してNATOに国防を頼ればいいが、日本はどうか?

中国の存在を忘れてもらっては困る。
Posted by ワロス at 2007年02月09日 20:14
>年金の問題を除外すれば、経済的には困らないのですがね。
困ります。今の日本は一人当たりGDPに関しては下降線をたどっていると同時に、工業社会のスタイルから抜け出せていません。工業社会では基本的に人口がものを言います。したがって、人口が減ると国力は低下する方向です。

じゃあ、一人当たりの生産力を上げるという方向にシフトすれば良いのではないかとなりますが、この10年でこの国はその方針を捨てたんじゃないんですか。

今の移民忌避論者は人口減に対して移民は入れるなと言う一方で工業社会のまま国力は維持せよという現実を無視したむちゃくちゃな要求をしているとしか思えません。

この記事は工業社会を維持することを前提とした提案ですよ。移民を受け入れないなら、それに変わる産業構造のビジョン、もしくは国を混乱させずに自給自足を実現する案を出したらどうでしょう。
Posted by 凌海 at 2007年02月09日 15:21
s/以外と容易/意外と容易/
Posted by harle at 2007年02月09日 12:47
年金問題のために移民や里親制度を導入するのは本末転倒すぎる
日本の人口は一億人でも多すぎるくらいだろうに
食糧自給率や居住環境から逆算するのならば

Posted by 玉Oh! at 2007年02月09日 12:38
人口へったらあかんのかわからん。
今の老人はしかたないとして、
国はさっさと「子供に依存する年金制度」から「同世代で積み立て・運用する年金制度」に移行すればいい。

最初は痛みがあるだろうけど、しょうがなくなくなくない?
Posted by なんで at 2007年02月09日 11:42
移民によって破滅した国は、ローマをはじめ、多いですよ。ドイツやフランスにしたって、移民問題をまったく解決できていない。
子供だけ輸入するといっても、彼らには生みの親がいるわけで、親に会わせないことはできないでしょうし、日本まで会いに来られたらどうします。

人口が減って困るのは、国民年金が「ねずみ講」方式だったからであり、年金のの問題を除外すれば、経済的には困らないのですがね。
Posted by 移民は怖い at 2007年02月09日 11:34
はじめまして。素晴らしい名案だと思いますが、日本人には里親は無理かも知れませんよ? 「子どもは家庭で育つ権利がある」という国際児童憲章の理念を無視して児童養護施設などというおためごかしの名がついた孤児院が繁盛するのを放置し、人間の子どもを差し置いて犬猫の「里親」になりたがる倒錯的な自己欺瞞に浸って喜んでいる人間がこれだけ多いのですから…。しかも彼らはそれが欺瞞だと気づいてすらいません! そういう、同国人の里親になることにすら思いの及ばない人間が、得体の知れない(?)外国人の里子を引き受けるのはまず無理というものではないでしょうか。まずは国内での<脱施設化>から始まる話だと確信します(それがひいては日本全体が<脱施設化>することに繋がるという意味で)。ご参考:http://prayermaria.blog74.fc2.com/http://escapeorgoodfight.blog85.fc2.com
Posted by グルヌイユ at 2007年02月09日 06:52
経済的問題から生みたくても生めない若者を
何とかして欲しい.派遣社員なんか出産どころか
結婚もままならない.

援助無しには子供も生めないような
手間も暇もかかるやつらは滅びればよいって
いうのも一興なのだろうか.
Posted by のり at 2007年02月09日 02:21
健康状態の悪い子供ばかり集まりそうな悪寒
Posted by あは at 2007年02月09日 01:19
特亜が勝手に押し寄せてきて権利を主張するだけになるんじゃね?
Posted by 通りすがり at 2007年02月08日 23:16
日本は人口削減政策によるCO2排出削減を世界に誇るべし
Posted by 挧 at 2007年02月08日 22:38
「子育て2.0」言いたかっただけちゃうんかとw

s/間引く抜く/間引き抜く/
s/個々(で主な対象は)/ここ$1/
Posted by T.MURACHI at 2007年02月08日 22:00
人間が介入しても余計に事態が悪化したり他のところで悪い事が起きたりしそうだな。
自然に任せるしかないと思う。
Posted by ky at 2007年02月08日 20:44
人間が介入しても余計に事態が悪化したり他のところで悪い事が起きたりしそうだな。
自然に任せるしかないと思う。
Posted by ky at 2007年02月08日 20:40
そもそも日本は移民の国。
かつて大陸から様々な民族が渡ってきた記録が残ってる。

日本文化もごちゃ混ぜ文化。アラブから中国からインドからの文化が融合された文化。

移民を入れれば何か新しい日本が生まれるかもしれない。いい意味でも悪い意味でも。少なくとも停滞しているよりははるかによい。

Posted by ワロス at 2007年02月08日 20:32
道楽としての子育て?

《「娘や息子で得た教訓をもう一度活かしたい」という人も実は少なくない。》

これって根拠あるの?「実は」っていうくらいだからあるんだろうけど.
Posted by anon at 2007年02月08日 19:42
道楽としての子育て?

《「娘や息子で得た教訓をもう一度活かしたい」という人も実は少なくない。》

これって根拠あるの?「実は」っていうくらいだからあるんだろうけど.
Posted by anon at 2007年02月08日 19:40