2007年02月13日 23:30 [Edit]

在中国喝一杯珈琲要多少銭?

いいえ、40人民元です。

池田信夫 blog 生産性をめぐる誤解と真の問題
では、なぜ1杯のコーヒーが日本では400円なのに、中国では40円なのだろうか?

少なくとも、2000年の上海浦東空港ではそうでした。日本より高いのです。

そして不味い。中国で惨めな思いをしたければ、葡萄酒か珈琲を頼むに限るといえば言い過ぎでしょうか。ちなみにこの上海浦東空港の珈琲、私が注文したのではなく、同席していた中国の偉い人が注文してくださったものです。自腹を切るには私の心はあまりに貧しかったのです。過去形かどうかは読者の判断に任せます。

この一杯の珈琲の値段、大連の空港で27元。北京首都空港の近くのスタバで20元。20元というと、肯德基でおなかいっぱいになる予算でこれはハレの日の食事。私の昼食は5元でした。

中国ではなんでもかんでも日本の1/10の値段だと思うと、実に痛い目にあいます。衣食住といったものに関しては、いわゆる購買力平価という奴が結構あてになるのですが、なくても生きていけるものの値段は日本と変わらないのです。日本で買うより高いものだって少なくない。中国人にとってはメチャ高。

先進国であればあるほど、生活必需品は高いが「不要不急品」は安い。この経験則は、今のところ中国に限らず私が行ったどの国でも成り立っていました。そして「生活必需品」となった品数は、先進国であるほど多い。ネットは本来不要不急品ですが、OECD加盟国でそう見なす人は少数派でしょう。子供を旅行に連れて行く親にとっては、ニンテンドーDSもそうかも知れません。アレがないのとあるのとでは親の疲労度が全然違いますから。

ここで、

404 Blog Not Found:生産性より消費性
賃金水準は、生産性で決まるんじゃない。社会の消費性で決まるんだ。

の「消費性」という言葉をもう一度取り上げます。「=需要」とした方は半分正解。今から私が言うのは、その残り半分。なぜ私は「需要(demand)」という言葉を使わず、あえて「消費性(consumability)」という言葉を使ったか。

この二つには、一つ決定的な違いが存在します。

需要は、元々そこにあったもの。供給されねば困るもの。英語で"demanding"といえば、「物欲が激しい」ことではありません。「品質に厳しい」ことです。これに関しては語りたいこともまだあるのですが、本entryは「学校では教えないグッドラッパー英語」ないので以上に留めておくことにします。Needsと言い直してもいいかも知れません。

それに対して、消費性は、社会の「発展」によって作り出されたもの。供給されなくても実はなんとかなるもの。中国において、珈琲の「需要」はありません。しかし「消費性」ならあって、あるが故に手に入り、しかし40元払う羽目になる。Wantsというわけです。

茶だって元々そうですが、すでにこちらは需要化して久しい。アヘン戦争も、イギリスにおける茶の消費性が「需要化」して起きたという見方もできるでしょう。

中国の茶に対して、イギリスは何をしたか。そうです。アヘンをぶつけてきました。アヘンのすごいところは、社会の「発展」を待たずいきなり「需要化」することです。こうなると中国してはたまったものではないのでそれを取り締まったところ、イギリスは今度は大砲の弾(「だん」じゃありませんよ:)をぶつけてきたわけです。かくしてイギリスと自由貿易は勝利を収めました。

中国人にアヘンを売りつけたイギリス人と、庶民に消費者ローンをぶつけるシステムとの本質的な違いというのは何なのでしょう?もし需要と消費性に差がないとしたら、私にはアヘンを売ったイギリス人とサラ金のCMを流すTV局の差がわかりません。

どなたか私のような経済学オンチにも教えていただきたいものです。あ、経済オンチではありませんよ。経済力なら人一倍あるようなので。もっとも経済学と戯れていると、経済力が落ちて、「遊んでないで仕事しろ」という声がどこからか聞こえてくるような気もするのですが....

Dan the Man Who Knows some Economy and No Economics


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この記事へのコメント
空港は立地等の「制約・規制」によって競争が働かないから需要と供給のバランスが崩れて価格が高くなっているのであって、生産性とは関係ないですね。
つまり弾氏のお話は池田説を補強しても山形説をサポートはしないと思います。
と、言っても蛙の面か…。
Posted by 通りすがり at 2007年02月15日 23:28
>typoの指摘で悦に浸る名無しの読者
そんな人いませんよ。仮想の敵を作り出して悦に入らないように。
Posted by ファン at 2007年02月15日 03:07
バーガーノミクスに言及しないのは、こちらも同類だと(r
Posted by ファン at 2007年02月15日 03:06
弾さんのファンなのですが、この件については池田さんのほうがはるかに説得力があると感じてしまいました。

弾さんはなんだか無理やりたてついてるだけに見えてしまいますよ。。。しかも、中国のスタバの例をだされても。。。本当に経済を知ってるんですか、と思わず突っ込んでしまいたくなります。
Posted by d'or at 2007年02月15日 00:37
×消費性(consumability)
○消耗品的性質(consumability)かな。
Posted by 佐藤秀 at 2007年02月14日 21:31
こんにちは。賃金話に記事を書いて池田氏にTBしましたが、ご不満だったらしく削除されてしまいました。こちらにもTBしましたが、届きません〜泣
なので、こちらにコメントを書かせて頂いて宜しいでしょうか。だって、物価水準の話なんてしていないのに、中身をデフレだの物価水準と価格は違うだのすり替えるようなことを言っているので。池田氏はちょっつズルイんじゃないかと思います。
Posted by まさくに at 2007年02月14日 14:33
何をおバカな。国際空港は国際価格+お金持ち価格。
中国の地方の空港だとコーヒーショップすらあるか怪しい。
Posted by 佐藤秀 at 2007年02月14日 08:54
弾さん おはようございます。
手厳しいかもしれませんが・・・弾さんご指摘の話は、既にいろいろなところで本流や亜流が語り継いでいることであます。それほど珍しい話でもないです。
インプリケーたーとして基本の基本の一部をブログで記されるのは 弾さんの自由です。ただ 間違えてフライングした場合は(人間だったら誰しもあることです)、もう一度考え直して意地を張らないってのも 若者(30代)の特権だとも思います。
Posted by 貞子ちゃん at 2007年02月14日 08:39
経済的にも経済学的にもオンチな僕にしてみれば双方の主張に何となく頷いてしまい、正直どちらが正しいのか分かりかねますが、もう一つだけ指摘をさせてください。

本エントリでは、弾さんが実経験をもとに中国のコーヒーの値段を具体的に提示することで、一見見事に池田さんの元エントリの論拠を折ったかのように読めてしまいます。
しかし、そもそも元エントリでコーヒーの値段を引き合いに出したのは単なる物価の例示としてであって、ウーロン茶でも饅頭でもなんでも良かったはずです。
反例として挙げるのに適切ではないと思います。

弾さんのtypoを指摘するのが容易いのは、ケアしていない部分に対する指摘だからです。
守っていないところを攻めているのですから、必勝でしょう。
typoの指摘で悦に浸る名無しの読者も多い貴ブログだからこそ、弾さんにだけはそれをやって欲しくないですね。

これは一読者としてのお願いです。
Posted by Youth at 2007年02月14日 03:15
Youthさん、
げ、ほんとだ。
http://dic.livedoor.com/search?kind=2&key=%A4%CE%A4%BF%A4%DE%A4%A6&type=0
また一つおりこうになったかも。
読者aさん、
すごく自然な表現になりましたねえ。もっとも元程度のそれでも何とか生活は出来ました。
が、かの国では英語はまず通じません。私より妻が驚いてました。
それにしても、中国語まで添削してもらえるとは。謝謝合作!
Dan the Typo Generator
Posted by at 2007年02月14日 01:30
いつも楽しく読んでいます。
多少銭一杯珈琲在中国? ⇒ 在中国喝一杯珈琲要多少銭?
※中国語は英語と語順が違います。
Posted by 読者a at 2007年02月14日 01:18
非常に些細なことでありますが、「のたまう」の主語が「私」とあり、必然的に自敬表現となっています。

文脈的におどけているようにも見えませんので、訂正した方が良いと思われます。
Posted by Youth at 2007年02月14日 01:14
これはもう本当にすごいの一言。
池田も山形も弾さんに謝るしかないでしょうな。
どちらも半分正解。
Posted by 本当の天才を見た at 2007年02月14日 00:49
黙ってろ……いえばいうだけおまえの恥になる…
オレはバカだと宣伝してまわるのと一緒だ……
Posted by 赤木 at 2007年02月14日 00:46
要するに珈琲は嗜好財だということと、ガルブレイスが提唱したが経済学界ではほぼ無視された依存効果はもっと評価されるべきだということをおっしゃっています?
http://ja.wikipedia.org/wiki/財
http://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・ケネス・ガルブレイス
Posted by 暇人 at 2007年02月14日 00:35