2007年02月23日 17:00 [Edit]

日本発のソフトが少ないのは日本がアメリカではないから

With all due respect, I disagree. So would Bill Gates.

On Off and Beyond: 日本発のソフトが少ないのは日本人が英語が苦手だから
日本のソフトウエアは自動車同様、ほとんど保護を受けなかった産業の一つだが、そのグローバル競争力は地を這っている。

フラット化する世界」を読めば、Bill Gatesがいかに日本人のソフトウェア開発力を高く評価しているかがわかる。実際ゲームソフトの世界では、世界を支配しているのは合州国ではなく日本である。

また、合州国ブランド出ているソフトウェアにも、日本で開発されたコードがかなり入っている。今時のOSは英語以外の言語もきちんと扱えるようになっているが、これは日本人なしにはありえなかった。WindowsでもOS XでもLinuxでも英語以外(日本語とは限らない)が扱えるのは、そこに英語が不得意であるにも関わらず、世界第二の市場である日本があったからだ。

違うのだ。元の設問にしてから違うのだ。そもそも、米国籍以外のソフトウェア企業が世界を席巻していることの方が稀なのだ。日本はまだゲームとRubyがあるだけましだ。欧州を見てみればそれがわかる。目立つところではドイツのSAPぐらいではないか。

合州国の強さ。それは自国でオリジナルのものを開発する力ではない。事実LinuxもPythonも、そしてRubyも合州国発ではない。合州国の強さ、それは他国籍のものを自国籍にしてしまうことだ。他がチェスのルールを強いられている中にあって、一人合州国は将棋のルール、すなわち取った駒を自分の駒にするというルールで戦えているのである。はじめからマトモな勝負ではないのだ。

それを可能にしているのが、世界最大の経済と、そして英語。世界で勝負するには、英語でリリースしなければならない。しかし英語でリリースした途端、今度は合州国から声がかかるのだ。Linuxの作者もPythonの作者も、今は合州国在住だ。そしてなぜそれが可能かと言えば、彼ら自身のみならず彼らの周りの人々も英語で生活ができるからだ。Linus Torvaldsはフィンランドの、そしてGuido van Rossumはオランダの出身。欧州の小国の人々は、皆英語を母国語のように操るが、そうしないとやっていけないからそうなっているのだ。

英語を操れないと世界デビューはままならず、そして世界デビューした途端に合州国から声がかかる。このジレンマをどう解決していくか。

ネットは、その解決法の一つだろう。これのおかげで、世界レベルのハッカーも自国にいながらにして世界に打って出ることができる。Matzさんもその例外ではない。東京出張や海外出張は欠かせないが、今のところ松江でなんとかなっている。これは頂点(summit)の話だが、裾野レベルではインドがその波にのっている。

確かに、今もって「ソフトウェアの世界ブランド」は米国籍のものが圧倒的だ。しかしその中身を見ると、すでに他国籍になって久しい。あとはブランドをどうしていくかだろう。なぜブランドが大切かといえば、それこそが金を生み出すものだからだ。すでにソフトウェア開発力だけ見れば、合州国が圧倒的優位に立っているようにはとても見えない。しかしブランドを抑えているが故に、いちばんおいしいところが合州国に落ちるようになっている。

この構図を変えない限り、英語力を向上させるのは、「日本発のソフトを増やす」どころか、「日本発のソフトがいつの魔に米国籍になっていることを増やす」ことにしかならない。それだけは確かだ。

Dan the Nullingual


この記事へのトラックバックURL

この記事へのトラックバック
日本から訪れたジャーナリストが「最近日本ではアメリカの人気は落ちており、関心の...
日本からの関心度低下が際立つアメリカ【専門家や海外ジャーナリストのブログネットワーク【MediaSabor メディアサボール 】】at 2008年02月11日 10:08
年度末に向かってヒマ気味だった仕事も急に忙しくなり、なのにここ2日「アジアオンラインゲームコンファレンス」なんかに出たのでますますヒマがない。 そこで読んだアルファブロガー間でネタを回しているようなエントリ。 日本発のソフトが少ないのは日本人が英語が苦手...
英語ができれば日本のソフトがもっと世界を席巻する?No Way!【ミーム吉田のネットニュースクリッパー】at 2007年02月25日 03:39
最近、ブログのイジメ屋といわれている池田ですが、また小姑モードで・・・ 小飼弾さん経由で、渡辺千香さんのブログの記事を読んだ。「日本の自動車産業が世界に冠たるものになったのは、日本政府が自動車産業を守らなかったから」というのは定説といってよいが、「日本の...
日本のソフトウェアはなぜだめなのか【池田信夫 blog】at 2007年02月23日 22:03
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50771181.html http://www.chikawatanabe.com/blog/2007/02/post_11.html 日本発のソフトが少ないのは〜〜 という不毛な論争を見たので、根本的におかしい気がする部分に突っ込んでみる。ちなみにdankogai氏には、表題以上につっ
[IT][言及]日本発のソフトは少ないのはなんら問題ではない【莫迦正直中毒者の自爆日記】at 2007年02月23日 20:02
404 Blog Not Found: 日本発のソフトが少ないのは日本がアメリカではないから これに関しては、昔から色々
日本発のソフトが少ないのは【HepCat Dev and Test】at 2007年02月23日 19:23
この記事へのコメント
大きな市場に販売できるチャネルとして合衆国が便利だから使うだけの話です。制作者にしてみれば販売元がどこであれたくさん売れればいいです。

「私が作ったんだ!」と主張したい(ブランド戦略)のであれば、著作者人格権を尊重する形で販売してもらえるように販売元と交渉すればいいだけどのことです。ゲームや映像ソフトでは著作者人格権を尊重する文化ができあがってるのでスタッフロールがついてます。

日本のソフトウェア企業はゼネコンのヒエラルキに組み込まれてることが多いのでブランド戦略なしでも受注できます。だから必要性がないんでしょうね。そのような企業でも今後国際的な競争にさらされることになるとブランド戦略が必要になってくると思います。ときがくれば、日本企業に実力があれば日本ブランドが目に付くようになると思います。
Posted by メル at 2007年02月25日 05:56
世界的には昔ほど日本のゲームメーカのゲームソフトは売れてません。
Posted by ぼかな at 2007年02月24日 14:08
「日本発のソフトがいつの“魔”に米国籍になっていることを増やす」
typoなのかと思いましたが、これはこれではまっているような気もします。
Posted by さんだぁ at 2007年02月24日 11:25
こんにちは〜
渡辺千賀です。

>取った駒を自分の駒にするというルール
ルールは作ったモン勝ちですね。

私としては、日本とシリコンバレーと中国とインドを行ったり来たりするようなアントレプレナーが「日本発」でたくさん出てくるといいなぁ、と思います。

ちなみに、最近、Lufthansaのサンフランシスコ⇔バンガロール便は、「Bangalore Express」といわれ、ハイテク系のビジネスマンで一杯だそうで、中でネットワーキングをしようと虎視眈々としてる人が多く、
「コレに乗るときは名刺を一杯持っていく」
なんていうインタビュー入りの記事が出ていました。
http://www.mercurynews.com/mld/mercurynews/business/16641211.htm
神の見えざる手万歳。
Posted by chika at 2007年02月24日 10:42
ニホンの致命的欠陥は、
ニホン人がニホン人を認めないことだ。

アメリカの恐ろしいところは、
ニホン人を認めて、
徹底的に、ニホン人に叩かせることだ。
Posted by えっとな at 2007年02月23日 19:46
任天堂六四 ←全部日本語
Posted by うは at 2007年02月23日 19:23
そう考えるとNINTENDOはすごいなぁ。
宮本茂さんは神。
Posted by ワロス at 2007年02月23日 18:56