2007年05月02日 00:00 [Edit]
書評 - ウェブがわかる本
初掲載2007.05.01
先ほど到着。早速読了。
清澄日記5.0 - 「ウェブがわかる本」難産の末、はじめての著書が発売されました。とにかく書ききったのが収穫。おもしろいのかおもしろくないのかはまだ自分には判断できませんが、見かけたら手に取ってみていただけると幸いです。
これからウェブをはじめる人よりも、むしろ一通りウェブサイトを巡回してみて、「情報大杉。おなかいっぱい」と食傷した人にすすめる格好の胃薬といった感じの良著。
本書「ウェブがわかる本」は、RSSリーダーグルコースの中の人が、「ジュニア」向けに現在のウェブに関して語ったもの。「Web 2.0本」ではあるが、Web 2.0という言葉は一カ所も出て来ない。位置づけとしては、 中村正三郎の「 インターネットを使いこなそう 」の後継といったおもむき。
目次 - ジュニア新書編集部より抜粋、編集- 1章 ウェブって何だろう?
- ウェブのある風景
- もしもウェブがなかったら
- ウェブの形,ウェブのしくみ
- 2章 ウェブはどのように変化してきたのか
- 情報を保存し,伝える
- 大量の情報をあつかう時代
- ウェブの時代
- 情報検索の時代
- 新しいウェブの時代
- 3章 ウェブを形づくるしくみ
- ブログ
- SNS
- 集合知
- 検索
- 4章 ウェブを使ってレポートを書こう
- テーマを決める
- 情報収集をする
- レポートを書いて,公開する
- 5章 ウェブとつきあうために
- コミュニケーションの問題
- 共有の問題
- ウェブとつきあうためのスキル
書かれている内容は、本blogの読者にとってはおなじみのものが多いだろう。そもそも本blogの読者であるというのは、その時点で「ウェブがある程度わかっている」ことの証しでもある。すでに良著も多いこの分野、なぜ今さら本書を読む必要があるかと思われるかも知れない。
しかし、新書を読み慣れている人には、本書の編集力のすごさに舌を巻かずにはいられないだろう。岩波書店の編集力には定評がある。本blogでも何度もそのことに触れているし、前述の「インターネットを使いこなそう」の著者である正三郎さんも、校正のレベルからして別格だとおっしゃっていた。そう。本書は実に丁寧に作り込まれているのである。この作り込み具合だけみても、本書は買いである。
この点に関しては、岩波ジュニア新書は、それが岩波ジュニア新書という時点ですでに品質保証がなされたも同様なのだが、本書では他の岩波ジュニア新書にはない画期的な試みがなされている。
フルカラーの採用である。
さすがに全ページとは行かないのであるが、第4章の図版はすべてフルカラー。これがきれいなのなんのって。だって新書の紙幅に、XGAの横幅のblogのキャプチャーを載せて、本文が潰れずに読めるんですよ!?もう出るのはためいきばかりというか。
本書を読めば、それが見た目のためではなく、必然性があってそうしているというのがおわかりいただけるはず。Web 2.0的なウェブページの雰囲気をきちんと伝えるためには、モノクロじゃ足りない。これは他の章のモノクロページと比較すれば一目瞭然。フルカラーの、それもドットが一つ一つ見える位の高精細で印刷して、はじめて「こんな感じ」ではなく「こう」と言える。岩波書店の英断に脱帽。
値段は、940円。これは他のジュニア新書に比べれば高いのだけど、この印刷レベルを考えたら、よくこの値段に抑えたなというのが正直な感想。こういう値段と品質と内容のバランスまで含めて、作り込みと言っているわけです。
それだけに、岩波書店の売り込みの弱さはorz。Amazonを見ても、表紙画像すらない(ここでは清澄日記5.0の画像をホットリンク)。これは本書に限らず岩波の本に共通した問題のようにも思える。いいものを作ればおのずと売れるというのは嘘ではないけれど、100%真実でもない。もう少し販売戦略に力を入れてくれてもいいと思わざるを得ない。本へのリンク一つとっても、未だにフレーム表示、しかもページのタイトルは「ジュニア新書編集部」というのは不親切にもほどがある。同じ老舗でも、この点に関してはちくまの方が一枚も二枚も上手。
冒頭に、「食傷した人に」と書いたが、これはむしろジュニア新書のターゲットである、「物心ついたときからウェブがあった層」にこそ言えると思う。ウェブにどっぷり浸かっているのと、ウェブがわかるのとは違う。あえてパソコンから離れて本書に目を通すのは非常に有益だろう。海外旅行に出て改めて日本がわかるのに似て。
Dan the Bookworm
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目先の利益にとらわれないで良い、老舗ならではの商法ですね。
