2007年05月08日 00:00 [Edit]

書評 - フューチャリスト宣言

献本頂いて恐縮なのだが、本題に行く前に一言。

献本の添え状より
なお、大変勝手ながら、書店に並ぶのが五月八日(火)頃からになります。ブログなどのメディアでお取り上げくださる場合は、五月八日以降にお願い致します。

あーっわかってないっ。


いくらネットの世界とはいっても、ある発言ががネットを伝播し、botにcrawlされるにはある程度の時間がかかる。はてブなどSBMの利用層に対してそれは24時間を切るが、それが検索エンジンの検索に反映されるには数日、そして別メディアがその発言を再掲載したりするには1週間から数週間の時間がかかる。それを考えれば、本屋に並んでからでは遅すぎるのである。本書が私の手元に到着したのは5月2日だが、おかげで一週間も「すって」しまったことになるではないか。献本していただいた手前添状のリクエストは尊重したが、以後はもう少し考えて欲しい。というか、Amazonに表紙画像がまだ上がっていないというのはどうか。ちなみに上で使わせていただいた画像は梅田さんのページからのホットリンク。

で、本題。

本書「フューチャリスト宣言」は、どちらも片方だけで著者名だけでかなりの売上げを見込める梅田望夫と茂木健一郎の対談集。著者名だけで売上げを見込めるということは、裏を返せば著者名を損ねるような品質には出来ないわけで、その点においては本書は料金分以上は楽しめる作りになっている。

編集も、「ウェブ進化論」の時よりも少しよくなっている。たとえばURIは「ウェブ進化論」は章末にまとめていたが、今回の「フューチャリスト宣言」では発言直後に括弧付けになっている。たとえば「青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)」という具合に。この方がずっと読みやすい。URIはできればこの形式で、少なくとも同じページでの脚註にしてもらいたいものである。

それでもなお、思わずにはいられない。

なぜ、この赤くなるしかない朱のまぜあわせという組み合わせにしたのか。

確かに対談者は互いを多いに楽しんだことだろう。それを見て楽しくなる読者も少なくないだろう。

しかし、それは本当に未来を担う者達を資するのだろうか。

以前、私は以下に対して、

blog.bulkneets.net : [あとで消す] 梅田望夫さんの感動的なお言葉
ところで、お前はてなのコードどんだけ書いたの?

こう答えた。

404 Blog Not Found:君たちの感動的なお言葉

*.hatena.ne.jpのコードなら一行も書いてないだろう。しかお前にとってのコードってそれだけか?ちいせえなあ。

梅田望夫は、株式会社 はてなのコードを書いているんだよ。それがトリビアルな仕事だと思うか?オレは今も両方のコードともチンタラ取り組んでるけど、両方ともガチで取り組むのは2年が限度だったぜ。

あと、ウェブ進化論って本も書いてる。ダーウィンがゾウガメになったりフィンチになったりしてないからってダーウィンが何もやってないことになるか?

こう答えたものの、私もまたbulkneetsのいらだちを共有、いやいらだちに共振している。

p.87
梅田 ...一年前より今の方がグーグルは賢いわけだけど、それに寄与しているということに、僕は一番抵抗感があったんですよ。消費されて、やられている感。
茂木 その段階は、もう越えたのですか?
梅田 超えました。僕がグーグルを賢くしてやるんだよ、と開き直った(笑)。「マトリックス」の電池になってやろうじゃないかと。それが僕の社会貢献の姿なんだとね。

bulkneets(複数形に注意)に、彼らが梅田望夫を賢くしてやるんだよ、と開き直れるほどの価値を、梅田望夫は与えているのだろうかということを、梅田望夫はもっと考える必要がある。少なくとも、the bulkneet(定冠詞に注意)の問いかけにはガチで答える必要がある。

とはいえ、梅田望夫は、まだ自分の役割を分かっている。自分が未来を作る者ではなく、託す者であることであることをよくわかっている。はっきりしないのは、茂木健一郎の態度。自分が作る人なのか託す人なのかはっきりしない。ProphetになりたいのかEvangelistになりたいのかはっきりしない。Prophetになりたいのだと口は言っているが、率直にいって行動が伴っているようには見えない。それが fashionable nonsense だという批判につながっているのだろう。要するにふっきれていない....

....というの意見に対し、梅田望夫が本書のあとがきでそれを先読みした上で反論している。この反論は本書で確認していただきたいのでここには書かないが、しかし私にはその反論はひいきの引き倒しにしか見えなかった。「アインシュタインではなくダーウィンへ」。確かに fashionable だ。しかし私としては、例えばヤリイカを飼うためだけに五年間苦悩し続けた松本元の方こそ本物に思えてならない。少なくとも池谷裕二を読んだ時に感じた、「科学の現場を作る人」という印象を茂木健一郎から受ける事はなかった。

それが悪いというのではない。EvangelistにはEvangelistとしての役割がある。しかしEvangelistがProphetを騙るのは、どんな宗派においても最高の背信行為であることは変わりないのだ。素人の目には茂木健一郎はそのように映ってならない。

両氏にお願いがある。次に対談する時には、自分がこの人だけとは話ができないという相手にあえて対談していただきたい。「こちら側」の代表としてはナベツネあたりが、そして「あちら側」代表としてはthe bulkneetあたりが個人的な希望。

敵と語る。実はそれこそが、セレンディピティに至る最短の道なのだが。

Dan the Man Who'd Choose the Red Pill


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話題の本をやっと読了??。書評もうまく言葉にならなくて公開が2週間ほど遅れてしまいました。良本って、誰に対しても出なく誰かに対してって前提があると思います。この本は僕らの若い青年が読むには良本と呼ぶ要件を満たしていたと思います。
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怒濤の日々が終わってタイに戻ってきたが,怒濤が終わらない.でも,情報が古くならないうちに一つ書きたいことがある.既に2週間も前のことだが,404 Blog Not Foundの5月8日のエントリー「書評-フューチャリスト宣言」にて,茂木健一郎氏は,次のように評された. とは
[コラム]アルファブロガー同士の見えない「交流」【はにゃおか研究日誌】at 2007年05月22日 22:12
「未来に対する期待感が薄れてきているのではないか」。冒頭でフューチャリストの茂木健一郎氏はこんな事を言っていた。フューチャリストとは、明るい未来像を生み出す人達、未来は見るものではなくて、自ら生み出すもの。梅田望夫氏と共にフューチャリスト同盟を結んでいた
[本] 『フューチャリスト宣言』 茂木健一郎/梅田望夫【First Penguin : ファースト・ペンギン】at 2007年05月19日 20:47
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技術は科学を生み、科学は技術を生む【Jun Seita's Web】at 2007年05月11日 10:59
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フューチャリスト宣言【ユメのチカラ】at 2007年05月10日 11:33
筑摩書房さんからからフューチャリスト宣言を送っていただき、遅ればせながら読了。 巻末に書かれている通り、本書は「細部をつついて批判するのがバカバカしいような明るい本」であり、そこにはネットの可能性や、組織から開放されて自由に生きる個人の生活の姿が描かれ....
「フューチャリスト宣言」梅田望夫・茂木健一郎【小野和俊のブログ】at 2007年05月10日 01:13
フューチャリスト宣言 作者: 梅田望夫, 茂木健一郎 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2007/05/08 メディア: 新書 「フューチャリスト宣言」サイン本欲しい! ベストセラー・ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まるの著者であり、はてな取締役の梅田望夫(id:umedamochi
フューチャリスト宣言【ヒトとモノのつながり】at 2007年05月08日 23:12
確かに fashionable だ。しかし私としては、例えばヤリイカを飼うためだけに五年間苦悩し続けた松本元の方こそ本物に思えてならない。少なくとも池谷裕二を読んだ時に感じた、「科学の現場を作る人」という印象を茂木健一郎から受ける事はなかった。 404 Blog Not Found:書
茂木健一郎氏をdisってみる。【よくわかりません】at 2007年05月08日 04:09
この記事へのコメント
正直言って、私が「フューチャリスト宣言」を読んでゾクッとした言葉は梅田氏の言葉より茂木氏の言葉。
Posted by CUSCUS at 2007年05月22日 23:44
梅田望夫氏は、固定観念の強い年寄りに新しいパラダイムは作れない、という論調で、マイクロソフトや、ヤフー、アップル、グーグルといった過去の例を引いて、新しい時代は若い人にしか作れないという論を貼るがこれこそが過去の固定観念に縛られた思考ではないだろうか。
梅田氏自体が、梅田氏が普段相手にしないという固定観念バリバリの年寄りの一人なのではないか?
要は梅田氏は自己矛盾に陥っている。古い時代の固定観念から自由になって未来に飛び込もう的な発想を提示しつつ、同時に、自分自身が最も嫌う窮屈な固定観念をも若者に植え付けているのではないだろうか。
梅田氏の本を読んだら、若者たちは、「大人は絶対分かってくれないから、梅田さんみたいに40歳以上は相手にするのはやめよう。」と、最初からいらぬ先入観を持ってしまい、不必要な非効率を被る危険があるのではないだろうか。
Posted by DETOX at 2007年05月15日 13:31
案外、綺麗に反対が成り立つとは、世界は面白い。
Posted by mailto:_blank@gmail.com at 2007年05月12日 10:10
後書きにおける、梅田望夫の茂木健一郎への記述は、ひいきの引き倒し?それは違うだろ。
あなたは折角獲得した知を自らの生きかたに引き受けるリスクから逃げ回っているだけ。そしてそういうリスクをとっている茂木と真剣な対話をしようとしていない。彼を批判するなら、彼と会って真摯な対話を試みてからにしていただきたいものだ。
Posted by toma at 2007年05月12日 01:26
そもそも自分の役割をハッキリさせる必要なんてあるのだろうか?
「ブログは誤読の集合体」ってどこかで言っていたのを思い出した。
Posted by ns at 2007年05月11日 22:58
口惜しいくらいウケました。
まったくもって御意!
Posted by ume at 2007年05月08日 23:56
「あちら側」代表として、真性引き篭もりhankakueisuu氏を希望!
http://sinseihikikomori.bblog.jp/entry/365823/
Posted by yk at 2007年05月08日 17:47