2007年06月01日 16:45 [Edit]
書評 - ネットで人生、変わりましたか?
本書、「ネットで人生、変わりましたか?」は、IT業界で最も有名な記者、岡田有花の初単著。彼女がどれほどネットで読まれ、愛されているかは、はてなブックマークからも伺うことができる。単一サイトとしてITmediaはものブックマークを集めているが、このブックマークの半分以上を岡田記者一人で稼いでいるのではないか。
その岡田記者、2003年から今年2007年の初頭に至るまでの記事を集大成したのが、本書である。面白くないわけがない。が、ネットで発表された文章ということで、それを本という別のメディアにまとめるには実は工夫がいる。そしてその工夫が足りないと読者が感じると、そのことを揶揄される。たとえばこんな風に。
404 Blog Not Found:ふつうのブログ本のつくり方少なくとも、この本はそういう姿勢がまるでない。まるでマクドナルドのフレンチフライを、余ったのでファミレスのサンドウィッチのつけあわせに転用しましたというノリである。
「『へんなの会社』のつくり方」を読めば、本当にそこまで安易な気持ちで作っていない事はわかる。しかし、もの足りないものはもの足りない。ましてや今や2007年。 「電車男」や「 生協の白石さん」がベストセラーになった当時と比べたら、「こちら側」の人々だって昔よりずっと「あちら側」にある文章を読んでいる。今や「ネット本」の最大の敵は、ネット上に書いた自分自身の文章だといったら言い過ぎだろうか。
ご安心あれ、本書の本当のプロデューサー、上林達也はそこんところをきちんとわかっている。そしてそれを彼に教えたのは、はからずしも私だったのだ。
献本の添状より編集の過程で念頭にあったのは弾さんがブログで書いていらした「 ふつうのブログ本のつくり方」というエントリーです。
ネットで読める内容を本に収録するに際して、どのように作れば、新しい読者はもちろんですが、ネットですでに記事を読んでいた方々も興味深く読めるだろうか -- そういった問題意識をあのエントリの存在で強められました。
実はこの上林氏、今までもっとも多く私に献本して下さった方でもある。ソフトバンク・クリエイティブの献本のほとんどが上林氏経由といっていい。その献本には、必ず丁寧な直筆の添状が添えられている。この添状そのものが、きちんと「ネットでは得られない付加価値」になっている点も見逃せない。字が下手な私ですらびっくりの金釘流なのだが、読者に強い印象を与えずにはいられない。メディアそのものにも価値があるコンテントなのだ。
そう。ネットで変わったのは、人生だけではない。本の作り方もまた変わったのだ。そしてその本がまた多くの人々を変え、そうして変わった人がまたネットを変え、そのネットがさまざまな人の人生を変えて行く....
本書は、まさにその様子を、取材者である岡田有花自身が変わっていくところまで含めて追った貴重な記録であると同時に、「変わる」ということは一体なんなのかを多いに考えさせる一冊である。
変わるとは何だろう。
それは、変えることに対する反作用であり、因果応報であり、そして報酬なのである。
自分を変える一番の方法は、世の中を変えること。
本書を一行に要約すると、そういうことになるのではないか。
しかし大事なのは、要約することではない。なぜなら、変わる変わらないそのものに、さほどの重要性はないからだ。大事なのは、何をどう変え、そしてその結果あなたがどう変わった、なのだ。本書に収録された記事には、必ず「コメント」という形で「どう変わったか」が書かれている。これだけでも、本書がWebコンテンツという「横のもの」を、本という「縦のもの」に代えただけの本でないことの充分な証明になる。
その他にも、本書には、小さくてありがたい工夫が随所にこらしてある。例えば記事の最後には、必ずその記事のURLが書いてある。本書そのものをクリックしても何も起きないが、少なくともアドレスバーにそれらのURLを入力することで「クリック可能」になる。
その分量もまた、「紙化」を支持する根拠となる。本書は350ページと、Webを書籍化したものの中ではかなりページ数が多い。これだけの分量をWebでまとめて読むのはかなり辛い。ましてやWebの方には広告もあれば他の記事へのリンクもある。「情報」も多いが「雑音」もまた多いのだ。「静かな環境」ならぬ「静かなページ」、これもまた現代の付加価値なのではないか。
岡田有花のファンから「岡田有花って誰?」という人まで、ネット中毒者からネットが皆目わからない人まで、要するに日本語を読める人であれば読んで欲しい一冊。特に出版関係者は必読。ネットから紙への「メディアコンバート」をどうやればいいのかロールモデルとして現時点で最高の一冊なのだから。
最後にもう一度繰り返させていただく。重要なのは変わったかどうかではない。どう変わるか、そしてそのためにどう変えるかだ。本書はあなたを確実に変える。しかしあなたがどう変わるかは、あなた次第なのだ。
Dan the Change(r|d)
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結果を重視しがちですが、自分が向けるべきはまず姿勢と過程。
変わらなきゃで とっけんはっけん、今のところまとめようがないですが・・・きっとやってりゃ自然と変化するのでしょうね。
