2007年07月03日 18:25 [Edit]

気前という技術

「有害な“正論”」にふさわしい一コマ。

おいしいところは自分のため... - キモーイ キャハハハハハハ - Hatena Serif 第3回 トラブルシューターは一匹狼有害な“正論”を盲信するな:ITpro
技術者の場合,自分の腕一本で食べているのだから,自分だけが持っている知識やスキルを,簡単に他人に伝授してはいけない。職人に上下関係はない。上司も部下も全員がライバルなのだ。教育の名のもとに安易に極意を伝授してしまったら,いずれは部下に取って代わられ,泣きを見ることを覚悟しなければならない。

もし、承前の引用が事実なら、オープンソースなんてありえない。少なくとも、そこで活躍している人々はいずれは他者にとって代わられ、泣きを見ているはずだが現実はどうか。

私が知っている限りにおいてであるが、優れた技術者ほど気前がいい。ものによっては特許や著作権やNDAで「すぐに公開」というわけには行かないが、それでもそういった「仁義」がクリアーされるやいなや、持てる技術を伝授しようとする。初心者であれば、すぐにおなかいっぱいになってしまうだろう。

彼らがなぜそれほど惜しみないかといえば、その過程を通して自らの技術も向上することを肌で知っているからだ。技術を伝える過程で、その技術はいやでも向上する。そしてその過程を通じて、新しい技術も思いつく。

面白いことに、これはソフトウェアのような「書き下そうと思えば書き下せる」技術のみならず、「本来」の職人にように手で覚えるしかない技術に関してもそのようである。少なくとも 小関智弘の本を読む限り、現代において秘伝はありえないという印象を抱かざるを得ない。

第3回 トラブルシューターは一匹狼有害な“正論”を盲信するな:ITpro
問題が起きたら,自分が“壁”となって問題の拡大をせき止めることを第一に考えるべきだ。できれば上司の耳に入れる前に解決してしまう。そのくらいの気概を持って,障害対策に当たって欲しい。筆者がトラブルシューターとして過ごした長年の経験から,何でもかんでも上司に連絡して判断を仰ぐ,という受け身の姿勢は感心しない。

この下りは、半分だけ真実。そして半分だけ真実というのは無真実よりも有害なことが多い。

上記の場合でも、一つだけ絶対報告しておかねければならないことがある。「今自分が作業中です」という一言だ。野球の野手が「オーライ」(I'll get it)といっているアレである。あなたがIT系のエンジニアなら、「リソースロッキングが必要なのと同じ理由」と言い直してもいいかもしれない。

これをやっておかないと、他のものも知らずに作業を開始して、事故が拡大してしまうことも珍しくない。作業環境で物理的に人が見える場合はまだましで、IT系であれば地球の裏のサーバートラブルを直すことだって珍しくない。もし他の人がここにやってきて、あなたの作業を上書きされたらあなたは落胆するだろうか、それとも憤慨するだろうか。

一匹狼こそが,トラブルシューターの真髄なのである。

狆である自分を狼といつわるのもトラブルシューターの真髄なのかしらん。

Dan the Freelance Engineer


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スキルアップ【仕事を探す】at 2007年07月13日 01:58
この記事へのコメント
この記事を書かれた方、今は「フリーの翻訳家・ライター」ですか……

Danさんが書かれた前半、気前をよくしたほうが自分の力も高まるって、翻訳の世界でも成立すると私は思いますけどね。翻訳も職人仕事だと私は思ってるんですけど、むしろだからこそ、気前をよくしたほうが自分の力も高まるって思います。少なくとも、ここ10年あまりの自分の経験は、そういうものでした。

自分が頭の中でなんとなくしていることを他人に説明するためには、きちんと言語化する必要があります。その過程を踏むだけでも、一歩、先に行けます。

それに、自分の技術を全部伝授したら先に行っちゃう人は、どうせ、いつかは先に行く人。それくらいなら、さっさと先に行ってもらい、逆に引っぱってもらったほうがいいんじゃないでしょうか。

職階の関係ない、自分の腕一本で食べる世界なら、そういうものだと思いますけど。
Posted by 井口耕二 a.k.a. Buckeye at 2007年07月03日 20:45
元ネタを書いた御仁は「SEの処世術」という電波本を
出してもの笑いの種になった人でしょ?
そんな人間に堂々と連載を依頼するITproは、本当に
大丈夫なんだろうか?他の記事の信頼度も疑わしくなってくる。
Posted by くろ at 2007年07月03日 21:44
s/報告しておかねければ/報告しておかなければ/

このエントリが ITPro の 404 Title Not Found の方にも載ることを期待します。冒頭の一コマ付きで。
Posted by しろ at 2007年07月04日 00:15
小関智弘さんの名前が出てきたのは嬉しいです。
「鉄を削る」は中学生時代からの愛読書です。
Posted by はいいろ at 2007年07月04日 01:07
翻訳に関しては、山岡洋一氏が、「幸いなことに、技術の秘匿は不可能」という趣旨のことを言っています。だって、原書も訳書も、金さえ出せば誰にでも手に入ってしまうのですから。。
だから、「気前をよくする/しない」という判断そのものが成り立たないのではないでしょうか。
Posted by strongaxe at 2007年07月04日 04:18
山岡さんのその言葉、一面の真理をついているとは思っていますが、結果だけからでは、なかなか、その過程まで学ぶのは難しいというのもまた事実です。

1しか検討せずに出した結果と5を検討して出した結果、10を検討して出した結果、どれも同じということもあります。っていうか、翻訳では基礎的な技術とでもいうようなもので7割や8割のことはカバーできるので、そうなることのほうが多いんです。残りの1割、2割、あるいは1%の例外まで検討するかどうかが実力者とそうでない人の差、とも言えます。

そのあたりも、他人の仕事を細かく検討していればいつかはわかるはずのものですが、でも、教えてもらえればずっと早く身につく(可能性がある)のも確かです。
Posted by 井口耕二 a.k.a. Buckeye at 2007年07月04日 20:49
トラブルシューター?
トラブルメーカーの間違いでしょ。
Posted by ぶらっく at 2007年07月05日 23:01