2007年07月04日 16:45 [Edit]

本当に若者はうまく働くことができないのか?

突っ込みどころが多すぎて、1 entryでは論評しきれないのだけど、まずはこちら。

若者はなぜうまく働けないのか? (内田樹の研究室)
お題は「どうして若者はうまく働くことができないのか?」

まずはこのお題が正しいかを吟味してみる。


最近、いろいろな勉強会や合宿にお呼ばれされることが多い。彼らは20歳前半から30歳になったかならないかぐらい。どう解釈しても私より一世代以上若い。

そんな彼らを見ていて感嘆せざるを得ないのが、仕事が実に安い、速い、そしてうまいということ。私が彼らぐらいの年齢のときにもそういう人はいたし、僭越ながら私自身そういう風に受け取られていたようにも思うのだけど、少なくとも私が彼らの年齢のとき、これほど多くの安くて速くてうまい「若者」は存在しなかった。「やすい」はとにかく、彼らと一緒に何かするだけでこちらまでより速くうまくなるような気がするから不思議だ。

「やすい」に関しては、解説が必要だろう。いや、言い直した方がいい。「気前がいい」、と。特にそれを感じるのはニコニコ動画を見ている時。ここの「才能の無駄遣い」タグはほんとすごくて、よくあれだけの作品をあれだけの時間で作ってしまうなあと感嘆すること然り。少なくとも彼らの「速さ」と「うまさ」は「おっさんたち」も認めざるを得ないのではないか。

「しかし、『気前がいい』はありえない」という意見もあるだろう。「ほとんどオリジナル作品がないではないか。それを勝手にパクってイジって楽しんでいることのどこが気前がいいのだ」、と。

確かに100%オリジナル作品というのは少ない。一目見て原典が明らかなものばかりだ。しかし100%オリジナルでないのは、古典の演奏も同様だ。オリジナリティのみに価値があるのであれば、名演奏家も名編曲家もありえない。多かれ少なかれ「パクリ」が混じるのは、著作権保護団体に厳重に保護された作品とて同様である。

私が彼らを見て「気前がいい」と思うのは、彼らがひたすら楽しむことに徹していて、名前を売るという欲すら見られないことだ。彼らの作品はたしかに「原材料」こそ有名な作品だったりするが、その料理の仕方はオリジナルとしか言えないものも多い。そのまま「売り物」になるだけのクォリティの作品だって少なくない。動画だけではない。「弾幕」の打ち方だってそうだ。

しかしそこにおいては、「誰がその動画を作ったか」「誰がその弾幕を打ったか」という問いはない。作った者もそれを問わないし、見た者もそれを気にしない。これは

若者はなぜうまく働けないのか? (内田樹の研究室)
労働集団をともにするひとの笑顔を見て「わがことのように喜ぶ」というマインドセットができない人間

の対局にあるのではないか。

むしろ私には「昨今の若者」たちが、「いい仕事をすること」「いい汗をかくこと」に対しては貪欲でも、「それに対する代価を要求し、その権益を確保することにはさほど興味がない」ように見受けられる。字幕.inの中の人なんてまさにそうだ。とりあえずの生活費を確保したら、あとはもってけセーラー服と言わんがばかり。むしろ「オレオレ」とばかりに所有権に敏感で、権益確保に旺盛なのは、「おじさんおばさん」にこそ多く見て取れるのだが。

それにしても、より多く持っている者がさらに持とうとすることに懸命で、自分の持ち物などほとんど持っていない者が「あげる」ことに懸命なのは何故なのだろうか。今後少しずつこの謎について考えてみたい。

私としては、そういう彼らに、どんな形であれ役立つと思われる方が、「おじさんおばさん」達にそう思われるよりずっと嬉しく楽しいことではある。どうせなら、過去ではなく未来から仕事を請われる方がいいではないか。

とある合宿にて

Dan the Older One


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この記事へのコメント
内田氏の言う社会の中の若者とは、おそらく就活を経て新社会人となった人を主として指しているのであろうし、その働く姿について書かれた文章であろうから、ニコニコ動画を持ち出して比較しようという視点に無理があるように感じた。

人には様々な面がある。若者に限らず、おじさんについても。
意外な趣味を持っていたり、ボランティアに精を出していたり、家族の介護で忙しかったり...聞いてみないとわからない側面を持っているものである。

だが、内田氏が論じているのはオンタイムにおける社会性についてである。

プライベートタイムに、ニコニコ動画で、「私が彼らを見て「気前がいい」と思うのは、彼らがひたすら楽しむことに徹していて、名前を売るという欲すら見られない」かどうかというのは、内田氏の文章を持ち出して比較するにはやはりズレていると言わざるを得ないのではないだろうか。
Posted by t.t.m at 2007年07月05日 16:23
最近の若者はおっさんおばさんが搾取しやすいよう、
お金よりもやりがいを求めるよう幼少から洗脳されているのです。
でもそこから新しくて便利で面白いものが生まれる。
そういう物を生み出した人に正当な報酬が与えられる
社会構造であって欲しいと、
あんまりうまくない若者だけど思ってます。
Posted by A at 2007年07月05日 12:40
ニコニコに動画を上げているものの一人として言うと、報酬をもらってないわけではない気がします。

自分が「こんなん作ってみたけど、どう?」と思ってアップロードしたものには、再生数とコメント数っていう評価がかえってくるんです。個人的な成果に対して、個人的な報酬として。応援コメントがもらえたり、それこそ「才能の無駄遣い」タグがついたりしたらうれしいものです。

お金という形にはなりませんけども、ニコニコという場では報酬って別に金銭的なものである必要はないのではないか?と思います。きちんと評価がかえってくること自体にも価値はあります。食えませんけど。

というか、ニコニコプレミアムのお金の一部をランキング上位とかの動画に賞金として出すとかやったらあのコミュニティはどうなるんでしょうね。盛り上がるよりも逆に荒れてあの雰囲気が壊れちゃうかな。
Posted by diachronic at 2007年07月05日 10:53
そもそも内田氏が、"若者"というあいまいな定義の上で、"うまく働く"というあいまいな定義をゴールとして話すところが間違いのような気がします。それがたとえ雑誌のタイトルであったとしても、です。
少なくとも人を否定するときには客観的に行って欲しいですね。
Posted by Toh☆Ri Su☆Ga☆Ri at 2007年07月05日 10:13
Danさんが見たのは個人で情報が公開できるようになったことによって顕著になった「すごい」若者。そいつらのことは心配しなくていい。

問題なのはそれ以外の、もっとたくさん多くいる「すごくない」若者。
おそらくDanさんの周りにはそういう若者は来ないでしょうけど。
Posted by Nasty at 2007年07月05日 09:46
今回の件での若者と、内田氏における若者
の対象が違うような気がしました。

ただ、割合として、どっちの若者が増えているかは分かりかねます。
どっちの割合も増えてきているのかもしれません。

どちらの意見にもなるほどと思ってしまいます。
Posted by をーかー at 2007年07月05日 06:45

で、内田樹というオヤ"ヂ"は世のために何をやったんですか?

税金で支えられた東大のつぶしの利かない学科でて
今度は金持ちの子弟から吸い上げた授業料で
自分の分の税金はらってるだけだろ?

こういうオヂサンて結局
「ボクはアタマいいから貝殻の使い方考えてやる。
だからオマエら海で拾って来いや」

という論理でしょ。

Posted by オヤ"ヂ" at 2007年07月04日 22:23
そんなことを言ってられるのは若い内だけです。
結婚して、子供が出来て、子供が大きくなれば、そんなことは言えなくなります。
ちょっと大きな家。ちょっと良い教育。私立高校、塾/予備校、大学進学。全部お金がかかります。いまのご時世では、それに見合うだけの給料を得るのは極めて難しく、絶望している人も少なくないでしょう。
Posted by とおりすがり at 2007年07月04日 20:18
最近はメディアでもコミュニティでも仲間内でもスキルアップを煽って煽って煽りまくってますからね。
Posted by はいいろ at 2007年07月04日 19:39
仕事の報酬は金銭とは限らない、というところがポイントではないかと。
Posted by よく言われることですが at 2007年07月04日 18:05
昔の話を聞いていると、(忙しくても)のんびりしたものだったみたいです。今の若者と30年前の若者に求めるモノが違いすぎる。ここいらへんが本件の肝かと。昔の若者はもっとうまくできなかったと思いますです。
Posted by blog49 at 2007年07月04日 18:00
「うまく働けない」というのは要するに
会社が望むように「うまく働けない」というような事だと思います。
自分が楽しい事に没頭して、楽しさをシェアする事と、
誰かがやって欲しい事に没頭して、何かを提供する事って根本的に違いますよね。
Posted by azt at 2007年07月04日 17:48
世代の違いは、そのまま価値観の違いではないでしょうか。
私のような70年代後半産まれのものは、
どんなに努力しても、さほど恵まれなかった親世代を見、
所有すること以外の喜びを見出したのかもしれません。

私より更に若い世代になると、もっと顕著です。
バブルを全く知らない世代ですから、
所有どころか、消費する事さえも現実味がないのかもしれません。

ただ、どの世代にも欲求は存在します。
若者が働くのが苦手なのは、欲求の対象が
働く事の先に提示されていないからではないでしょうか。
そう、結局は前世代のツケだと感じるのです。

私たちは高度経済成長期以降、モノを追求したがために、
他の世代とのコミュニケーションを捨てたのが、原因かもしれません。
Posted by momu at 2007年07月04日 17:34