2007年07月13日 00:00 [Edit]

書評 - 中年童貞

今年読んだ中で、いちばんきしょい本。

大変申し訳ないが、著者にはひとかけらも同情できなかった。


本書「中年童貞」は、なぜ34歳の著者が今もって童貞なのかがあまりにはっきりとわかる本。

Passion For The Future: 中年童貞 ?少子化時代の恋愛格差?
著者は「全国童貞連合」会長。連合のサイトで顔出ししている、おそらく日本一有名な童貞男、渡部伸、執筆時34歳。「少子化問題は童貞問題である」という問題意識の本。童貞についての人口統計、切実な自身の体験談、連合会員の童貞たちの様々な考え方、フェルディナント・ヤマグチ、室井佑月らとの座談会など、もりだくさんの内容。

そのもりだくさんのはずの内容で、完璧に抜け落ちている視点が一つある。

「もし自分が女性だったら」、という視点だ。いや、厳密にはある。フェルディナント・ヤマグチ室井佑月との対談がそれだ。ただし、それを言っているのはあくまでヤマグチと室井であって、彼らのヒント、どころかモロアンサーを著者が華麗にスルーしているのがイタすぎる。

本書は恋愛至上主義批判という点において、一見「電波男」に通じているように見れるが、本田透は女性近づかないのに対し、渡部には女性近づかない。本田は自らのパトスが生身--三次元--の女性を傷つけることを恐れて、あえて二次元に自らを隔離しているが、渡部はそもそも女性のことを考えていない。この両者はイルカとサカナほど違う。

著者をはじめとする中年童貞たちは言う。女たちの望みは高すぎる、と。しかし、なぜ彼女たちの望みが高いか、もし自分たちが彼女たちだったらという視点にまで考えが及ばないのだ。イケメンだのブサメンだのと鏡をみてどうこう言う前に、彼らには心の鏡がないのだ。

本来子供でもわかることだが、セックスというのはそのままでは女の方が男より痛いに決まっている。なにしろ小さからぬ異物を挿入するのである。童貞諸君は、膣には痛点がないとでも思っているのだろうか。セックスの結末だって、女の方が男より遥かに重い。男は妊娠しないのだから。

セックスに対するリスクは、女と男では天と地ほどの違いがあるのだ。これは生物学的にどうしようもない事実だ。このリスク、特に妊娠のリスクは技術の進歩で下がってはいるけど、それでもセックスの失敗で受けるダメージは、男より女の方が遥かに大きいという事実は、男女がこの世に存在する限り変わることはないだろう。

よって、セックスに対してそれだけ多くのリターンを女が望むのはしごく当然のことだ。男には、当然それだけのリターンをもたらす見込みがあることを彼女に説得する義務がある。その説得をどういう形で行うかは、それこそ「おつきあい」の数だけあるのだけれども。

p.131
この通り、私は立ち上がった。しかし立ち上がって何をするかといえば、今のところはオナニーだけだ。本当はこれではいけない。私たちは胸を張ろう。中年童貞と中年処女の体と愛は汚れていない。この美しさがあるのだから、何も怖れるものはないではないか。日本一ロマンティックな恋愛をしようではないか。

ああ、ワカッテナイ。

恋愛って、汚れることだよ。相手のためにどこまで汚れることが出来るかだよ。血と汗と涙と愛液と精液にまみれることだよ。

実は、恋愛には文字通りの必殺技がある。

彼女のために死ねることを、君が彼女に納得させればいい。ただし、彼女がまだそういう男を見つけていないというのが条件。彼女の体と君の命。これが恋愛の世界的な平均相場。アンフェアだけどウェルカムなプライス。

404 Blog Not Found:モテたかったら持つな
では、「ほれる」というのはどういうことか?
惜しまないこと、だと私は思う。金も、時間も、時には命さえ。

本書の「終章 はじめてのデート」で、著者は上記の意味では、全く彼女にほれていなかったことは明らかだ。著者はセックスを望むのみで、彼女に何を与えられるのかを少しも考えていない。もし自分が彼女だったら、そんな輩と「結婚を前提としたつきあい」をするのだろうか。

とりあえず、著者はローションなしでペットボトルを尻穴に突っ込んでみてはいかがだろうか。心理的にはとにかく、物理的な痛みぐらいはわかるかも知れない。そっち方面に目覚めれば、それはそれは慶ばしいことかも知れないし。

Dan the Man


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続 中年童貞(書評・感想)【blog50-1】at 2007年12月14日 13:50
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●書評「中年童貞 ―少子化時代の恋愛格差―」【メルマガバックナンバー】at 2007年08月13日 23:30
中年童貞…なぜ生まれる?「恋愛資本???0 中年童貞…なぜ生まれる?「恋愛資本主義」の肥大化 興味深い本が登場した。その名も『中年童貞』(扶桑社新書)-。あからさまなタイトル通り、中年にいたるまで性交渉の経験のない 男性の存在と実
きょうの話題:童貞【童貞の彼女作りをサポート!童貞を必ず卒業していただきます。】at 2007年07月23日 18:42
中年童貞 ―少子化時代の恋愛格差―を読む。弾氏の酷評をきっかけに買ってしまった。同情はしないがものすごく楽しめた一冊。知っているだけでも素人童貞を含めてるとかなりの数・・・・いちいち聞かないけどね・・・。    
中年童貞(書評)【blog50-1】at 2007年07月21日 09:57
カリフォルニアからの帰路、機内に乗り込み手荷物を頭上の荷物入れに収めようとしたところ先客があった。一番狭い区画に、通勤に使う鞄より小さいくらいの荷物がふたつ入れてあり、僕の手荷物をそこに押し込むには余剰スペースがぎりぎりくらいだった。ちょっと無理して入れ
恋愛の話題らしい【”Kおにーさん” のおぼえ書き】at 2007年07月18日 23:57
びみょーな話題なのでmixiのほうで書こうかと思ったけど女性の年金問題の話もあるのでこちらに。んで、まずはこの辺から livedoor ニュース - 【独女通信】独女の老後はどうなる?年金制度を緊急検証! 「専業主婦と独女と年金面で差があるの?」な検証記事。結論として...
♪ しゅふになりたぁい (?)【muse-A-muse 2nd】at 2007年07月15日 20:39
道でコケちゃった時とか まず 周りを見渡すのは、なぜだろう。 誰も見ちゃあいないのに。 周りが 何だとゆうのか。 その泳いだ目がかえって 滑稽なことに なぜ気付かない。 てゆうか 笑われる人間 罪深い人間には やっぱし明白な理由が 存在する....
童貞バンザイ【cult king web】at 2007年07月14日 15:22
この本に対する感想は3種類に分けられそう。 非童貞、異性に不自由の無い人間が抱く冷ややかな感想 童貞あるいはそれに準じる非モテの読者の共感の感想 動物園の動物のような面白い物みたさによる感想 最後の「面白い物見たさ」はひとまず置いておくにしても、ここで強者と
「中年童貞」に見る格差社会の進行と、それに伴って深くなる強者弱者それぞれの理論の溝【「人間」になり損ねた「人」の記録。】at 2007年07月13日 23:32
この記事へのコメント
中年「素人」童貞、っていうのはまた別物なのかな
Posted by snark_tail at 2007年07月17日 20:21
あ、あと恋愛を
子作り→セックスに絡ませて発言することが多いけど

個人的には恋愛って「69」のほうが近いと思う。
つまり、「お互いに悦ばせ合う行為」。
実際にはしたこと無いですけどね。オホホ。
Posted by ha0 at 2007年07月15日 20:04
>彼女のために死ねることを、君が彼女に納得させればいい。

え、えーと・・・皆さん?モノには順序、ってありますから
「死ねること」より「納得させること」優先ですからね?
でないと「ストーカー」扱いされますからね?
「もてない人」って(単)純情だから
「必殺」とか「死」とか平気で突っ走りそうでちょっと怖い・・・

「生涯で2度告白されたことがある」という立場上
「もてない」というわけでもないけど
「もてる」と言われるほどでもない
微妙な立場からの助言でした。
Posted by ha0 at 2007年07月15日 19:32
うーん。トラバが反映されない。重要なことなのだが・・・

http://d.hatena.ne.jp/k_oniisan/20070715
Posted by Kおにーさん at 2007年07月15日 02:23
中年って飢えているの?
Posted by dedeaal at 2007年07月14日 23:56
一夫多妻制になってコガイさんみたいな
勝ち組テンサイの子供が増えるようになればいいですね。
女性の子産み願望も高い要求スペックも満たせる男性が
いきわたるわけでしょ。
ただよく女性が口にする
「いい男がいないから」
という言い訳ができなくなるけど





Posted by いまどきのオトナ at 2007年07月14日 22:34
将来人口がどうなるか心配です。
Posted by first at 2007年07月14日 21:44
視点が鋭いです。
Posted by きゅーちゃん at 2007年07月14日 12:42
子供なんて約50%の人間に産めるものですが、
昨今の女性が結婚相手に求める条件をクリアしている人間は
世界人口の内何%ほどなんでしょうかね。
Posted by   at 2007年07月13日 22:45
弾さんのはすごそうですね
Posted by at 2007年07月13日 21:06
30代童貞と30代中卒とどっちが数が多いのだろう
Posted by 謎 at 2007年07月13日 20:46
本書を読んでいないので分かりませんけれど、書評は面白かったですw
Posted by GAMIL at 2007年07月13日 19:29
童貞なんて都市伝説ですよ。
Posted by       at 2007年07月13日 16:34

数学者のエルデシュって童貞のまま死んだなぁw
数学やってるやつってキモッ
(論理学的にグチュグチュ言う人はシャレのわからない人)


Posted by 博士がreceiveした数式 at 2007年07月13日 14:41
TBが送れていない(or受け取れていない)みたいなので、
コメント欄にてTB
Posted by 非モテが出会いを訪ねて三千里 at 2007年07月13日 14:27
「開き直りによってある種の違和感を世の中に
ぶつけてみてその違和感を自分の存在理由にしよう。
「今まで童貞だったんだから、そこを一つの価値として
自分を世の中にプレゼンテーションしよう」そんな意図が
著者にはあったように思いました。
またそういった価値観を認める
出版社、世の中があるので成立してるのではないでしょうか。
だからこの手の本は、
「こいつ、わかってない、ダメだ!」っと思わせる物を
書くほうが価値がある。著者は別として出版の側はそう
考えてるんではないでしょうか。まあ見事にあたって
しめしめな感じかもしれないですが。
Posted by taisouegao at 2007年07月13日 14:16
外部を表面的に見て「現代は愛がない」とか「軽率すぎる」とか解釈して、「それに比べて自分はまじめに考えている」と自己完結する。
これが童貞の基本です。「童貞」の基底クラスのメソッドに含まれています。
基本的にlistenでacceptでreceive。connectしたりsendは決してしない。
勝手にしてなさいという感じです。
Posted by azt at 2007年07月13日 12:29
この分野でいくと「もてない男」の方が建設的かもしれませんね。。。でもそこそこ売れているところを見ると、「そうなんだよね」という人も多いのではないだろうか。結局与えることに関して度胸がないというかペットボトルも「痛いじゃん」と一蹴されそうな気がしますね。そして「与えて返ってこなかったらどうすんねん」という言い訳をして将来は「高齢者童貞」という著書を書くのではないでしょうか。まあ、女性に手コキでも一緒だと思うんですけどね・・・愛情があれば。
Posted by blog49 at 2007年07月13日 09:07
相思相愛ならそれほど男だけが汚れるなんてことはないというか
なかったよ。
付き合ってもらってる人は汚れないとだめかも知らんね。
Posted by エルエル at 2007年07月13日 07:00
「もてない男」の中の人が「全国童貞連合」会について何か言ってたように思う。

このエントリーでの批判?くらい著者は、はじめから折込済みのことなんだろう。

1月もたたないうちに、この本とともにこの著者は、「シャレのわからない人だなぁ」と言いつつ消えちゃう人なんだろうと思う。
Posted by tt at 2007年07月13日 05:46
>恋愛って、汚れることだよ。相手のためにどこまで汚れることが出来るかだよ。血と汗と涙と愛液と精液にまみれることだよ。
ああ、わかってない。
彼らはあえて汚れない恋愛の道を生きようとしているのに。
Posted by aoi at 2007年07月13日 05:23

それは弾のことかい
Posted by のの at 2007年07月13日 04:46
中年だのSEXだのに関わらずとも他人のことを鑑みない人、そういった想像力のない人はちょっと周り見ればゴロゴロしてますけどね。
Posted by kauzki at 2007年07月13日 02:51
つらつら思い浮かんだこと。
1)あからさまな性的弱者への投影は、批判者の性的ナルシシズムの補強として行われる。
2)性的には"誰もが"飢えているので、弱者の内情には殊更に注意が向かない。
3)やや珍しいサンプルが現前すると母集団を代表しているものだと思い過ごし易い。
とかw
Posted by p at 2007年07月13日 02:24
きっと、だんちゃんがこの手のネタに釣られるのをしって出版したんだ。そして売れてゆくwww、
Posted by さぼてん at 2007年07月13日 02:12
納豆ローションは最高です。
Posted by vmoof at 2007年07月13日 01:41
見えない敵に対するあてこすりだとおもうけどw

Posted by デブロガー at 2007年07月13日 00:20
小飼さんが売り上げに繋がらない書評するなんて、
相当なんですね、この本。
Posted by kauzki at 2007年07月13日 00:10