2007年07月25日 05:30 [Edit]
書評 - チーム ハックス
献本御礼。
シゴタノ! - 『チームハックス』序章(1)「仕事の進捗」を共有できるか?前作同様、佐々木正悟さんとの共著作なのですが、今回は特に、文字通り2人の「チームハックス」を駆使して書き上げた一冊となりました。
前作「スピード ハックス」の三倍面白かった。
本書「チーム ハックス」は、日本におけるGTD本の今や第一人者である感もある著者たちが、今度は「チームワーク」をハックした本。
目次 - シゴタノ! - 『チームハックス』序章(1)「仕事の進捗」を共有できるか?より- はじめに
- 序章 チームはすべて「共有」から始まる
- 第1章 ビジョンを共有するチームを作る
- 第2章 「質問」でメンバーの力を巧みに引き出す
- 第3章 コミュニケションの「困難」を克服する
- 第4章 チームを活性化させるメンバーへの「気配り」
- 第5章 メンバーからの「プレッシャー」を追い風にする
- 第6章 「共有」に役立つツールの実践事例
- 終章 「メンバーシップ」が人を動かす
- 終わりに
- タグ索引
本書が前作より面白い理由の一つは、前作よりも実地に近づいたこと。
実際の仕事において、完全に個人で進めるという状況はほとんどない。会社勤めに限らず、フリーランスでもそうだ。たとえ見かけ上仕事をしているのが一人でも、実のところ発注者もチームの一員なのだから。
ところが、「個体としてどうすればいいか」というハウツー本は多くても、「チームとしてどうすればいいか」というハウツー本は少なく、その中で読むに値する本ともなると、さらに少ない。本書は間違いなくその数少ない本の一冊だ。いや、現在入手可能な中ではベストといっていい。
なぜベストか。他の「チームとしてどうすればいいか」を解いたハウツー本は、上司にしろ部下にしろ、固定的な立場における振る舞い方しか書いていないのだ。しかし上司が常に命令を下し、部下が常にそれに従うなどという、立場が固定されたチームなどほとんど存在しない。強いて言えば軍隊ぐらいだが、今や軍隊ですら兵卒にかつては将校にしか与えられなかった情報を与えられ、将校もまた兵卒の立場を把握した上で作戦せねばならない時代だ。「上司とは」「部下とは」という本は、もう紙くず同然なのである。
本書の提案で、最も重要なのは、終章の「リーダーシップからメンバーシップへ」というものだろう。そこでは誰が何をリードするのかというのは、刻々と変わる。理想的なメンバーシップは、この役割分担の変更を、意識せずにできるほどスムーズに行える状態を指すのだろう。そういう状態で仕事をした場合の達成感は、本当に大きい。リーダーシップ型のチームワークでは得られないほどに。
それだけに、本書には不満もある。まず、メンバーシップ型の組織において、成果配分はかくあるべきかが充分書かれていない。残念ながら、「いい仕事をした」という達成感だけを報酬に出来るほど、我々--のほとんど--は裕福ではない。そして折角いい仕事をしても、この報酬配分でケチがつくと、萎えるのも早い。均等配分してしまうというのも一つの手だが、メンバーの負荷配分が均等になるということもまた稀な以上、この点に関する考察がもっと欲しかった。
もう一つの不満は、人と仕事をすることそのものによる疲労と、その対処に関しての考察がないこと。人と仕事をするというのは、実はそれだけでかなり疲れる。私は一時間もインタビュワーになると、あるいはインタビュイーになると、一人で仕事をした際の半日分ぐらいの疲労がたまる。YAPCのような大きなイベントともなると、一週間ぐらいはふぬけ状態になる。この「疲労指数」というのは仕事の正否に関わらず、コミュニケーション量にほぼ比例するような感じがする。泳がなくても水につかっているだけで体力を消耗する、そんな感じだ。
だから、チームを組んだことによるパフォーマンスが、3倍程度では私としてはとうてい満足できないのだ。10倍程度は出ないと。チームを組んで仕事をすると、パフォーマンスに関わらず3倍は疲れるのだから。結果論的には私自身はそういうパフォーマンスを出せてきたし、報酬もそのように受け取ることが出来たのだけど、それでもチームハックスを語る上で、チームはただ存在するだけで、気力と体力を消耗せずにはいられない存在であるという知見は入れておくべきではなかったか。
しかし、これらの不満は、本書の不備を示すというより、むしろ本書の続編を期待させる、きわめてポジティブな不満だ。まずは本書を手がかりにして自分のチームをハックしてみよう。本書以上の効用が出る場面もあるだろうし、肩すかしに終わる場面もあるだろう。それらをまとめて見れば、すでに本書に書かれたことを実行しているか、あるいは本書の著者たち以上にいい仕事をしているチームを除けば、「パフォーマンス3倍」というのは決して誇大広告ではないと思う。
ただし、くれぐれも充分な休養を取ること。チームが本領を発揮すると、それこそ水につかっているのと同じぐらい体力を消耗するので。健闘を祈る。
Dan the Lazy Team Worker
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にはいろいろと興味があります。実際に、いろいろと苦労もしてきました。
とりあえず、読んでみたいと思います。
書かれているとなお良かった。
名刺交換もさせていただきました。
前記読書会のときも、弾さんは成果配分への言及がない(に等しい)ことに不満を述べられていましたね。
過去に成果配分に関する問題が、弾さん(またはその周囲)で生じたのでしょうか。
成果配分に関しては、それだけで一冊の本がかけそうなテーマだし、どのように仕事をするかとは別ジャンルだと著者は判断しているのだと私は思います。
いっそのこと、弾さんが成果配分に関する本を書いてみては?
