2007年10月05日 19:30 [Edit]

書評 - アルファ・ドッグ・カンパニー

講談社より献本御礼。

ありそでなかったビジネス書。商店街の中の人、必見。


本書「アルファ・ドッグ・カンパニー」は、小さくて強い中小企業の本。それだけなら、国内外にいくらでもある。特に日本はその手の本の宝庫で、中には岡野雅行のようなスターすら存在する。しかしそのほぼ全ての事例が、中小製造業である。特に日本ではそうだ。

ところが、本書の事例は中小小売業か、製造業でもクッキーのように、製造と小売が未分化なほど「ローテク」なものばかり。日本以上に巨大小売店が強いはずの合州国で、彼らはどうやって戦い、そして勝利してきたのか。それを知ろうという試みが本書である。

目次
日本語版のためのまえがき
  1. 群れの先頭に立とう - Lead the Pack
  2. 顧客の心を奪い取ろう - Seduce Your Customer
  3. 従業員の心をつかめ - Convert Your Employees into True Believers
  4. 地元密着に賭けよう - Stake a Hometown Claim
  5. 「ありきたり」にイノベーションの息吹を - Innovate the Mundane
  6. ブランドを売り込もう、社外に、そして社内にも - Market Your Brand, Inside and Out
  7. 「村」をつくろう - Build a Village
  8. 自己革新の道を進もう - Embrace Reinvention
  9. アルファドッグのDNA - Alpha Dog DNA
謝辞
訳者あとがき

題名の Alpha Dog は、行動動物学から。「アルファギーク」や「アルファブロガー」のアルファと同じだが、その源流がこちら。本書は2005年刊行なので、「アルファギーク」よりも後なのだが、著者がこの比喩を選んだのは偶然の一致だろうか。

そのアルファドッグたちの力は侮れない。例えば自転車販売業の全米業界規模は、本書によると53億ドル。うち、大型小売店が売っているのは台数ベースでなら全体の75-80%だが、金額では5割に過ぎない。それだけアルファドッグたちが高付加価値、高利益率のビジネスをしているということだ。

そのアルファドッグたちの成功の秘訣は、一言で言ってしまえば「大企業には不可能なほど親密なステークホルダーとの関係構築」ということになる。それぞれのアルファドッグたちがそれをどう成し遂げたかは本書で確認して頂くとして、この真理は日本においてももちろん応用可能であると思われる。

目次、というか章題を見て、原著も読みたくなった。日本語版は実にこなれた訳で読みやすいが、章題を見てわかるとおり、言葉の力をある程度犠牲になっているので。この「力」こそ、中小小売業が最も必要としているものなのではないかということを考えたら、翻訳はもっと「はっちゃけた」方がよかったかも知れない。

前述のとおり、日本にも優れた中小企業は多い。特に製造業はそうだ。しかしシャッター通りの「全国展開」に見られるように、中小サービス業に関してはあまり明るいニュースは目にしない。それでも日本以上に大企業が強く、中小企業保護が弱い合州国においてさえ、「野犬」が駆逐されるどころか勢いを増しているという現状は、日本でも多いに参考になるのではないだろうか。

本書の「日本編」いつ書かれることになるのだろうか。今から楽しみである。

Dan the Alpha Blogger


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この記事へのコメント
 消費者が「他人と違うものに金を払う」ようにならないと難しいと思います。
 ヨーロッパの高級ブランドの売上のかなりの部分が日本だという現状が変わらなければどうにもならないのではないでしょうか?
Posted by kuma_hati at 2007年10月07日 01:49
自称6000社(今はたぶん8000社)を訪問した坂本先生が紹介している中小企業もやはり製造業。または製造小売。小売のみのアルファ・・・ないこともないですが、やはり町ぐるみが必要なんでしょうね。
まずは個店が強くならねば・・・商店街というんじゃんなくて云々、
Posted by blog49 at 2007年10月05日 23:28