実にありがたいタイミングで編集部より献本御礼。

初出2007.10.18; 販売開始まで更新

というのも、私の現行のケータイがかなりへたってきており(特に電池)、そろそろ買い替えようと思っていたからだ。

本書、「ケータイハックス -- いつでもどこでも仕事術」は、見てのとおりケータイの機能、特に忘れられがちな機能や見落とされがちな事例を紹介することで、ケータイ生活をもっと快適にしようという一冊。iPhoneにアプリをぶっこむというような、ガチ度の高い"Hacks"ではなく、それをやってもメーカー保証が切れる心配がまずないやさしい「ハックス」ばかりなので、初心者でも安心して使える。

目次 - MYCOM BOOKS - ケータイハックス-いつでもどこでも仕事術より
はじめに
序章 ケータイハックスの意義
第3世代ケータイとパケット定額制の普及
なぜ“ケータイ”ハックなのか
スマートフォンはケータイにあらず?
本書を読むにあたって
第1章 ケータイ×メモハックス 〜メールとツールを活用して素早くメモを取る〜
ケータイでメモを取るということ
効率的な文字入力を考える
思いついたらとりあえず自分のケータイにメールを送る
ケータイのカメラをメモツールとして活用する
Gメールを活用して種類ごとにメモを管理する
長時間の会議やセミナーを録音できる「ボイスレコーダー」
通話中に相手の声を録音する
「ポケディア」でアイデアのヒントをもらう
最適なメモツールはどれか
第2章 ケータイ×メールハックス 〜ビジネスメールをケータイで作成、管理する〜
ケータイとビジネスメールの相性
会社のメールをケータイで受信する
PCメールの添付ファイルをケータイで見る
auけの「au oneメール」も登場
電話番号やメールアドレスを簡単に入力する
特定の相手とやり取りしたメールをまとめて読む
会議中にさり気なくメールを確認する
メールを効率よく管理できる電話会社は?
第3章 ケータイ×タスクハックス 〜確実にスケジュールとタスクを実行する〜
ケータイでスケジュールとタスクを管理するメリット
ケータイの内蔵スケジューラーを使う
指定日にリマインダーメールを受けて取れる「R*PAD」
アラームを使えば前日に予定を知らせてくれる
PCとケータイで予定が管理できる「グーグル・カレンダー」
GPSと連携できるスケジューラー「au one My Page」
タスク一覧をオンラインで管理できる「check*pad」
メール閲覧中にサイトやスケジュールを確認する
二度寝はケータイのアラームで防げる
理想のケータイスケジューラーとは?
第4章 ケータイ×情報ハックス 〜素早く、効率よく情報収集する〜
ケータイでもPC並みに“濃い”情報を集められるか?
端末内蔵のフルブラウザを使う
無料フルブラウザアプリを使う
有料フルブラウザアプリを使う
ケータイブラウザでPCサイトを見る
オンライン辞書や百科事典サイトを使う
検索・辞書サイトは画面メモからアクセスする
ケータイ版RSSリーダーを使う
ソーシャルブックマークで「続き」を読む
メールを送るだけで終電の時刻を教えてもらえる
ケータイを開くだけでその日の天気が分かる
フルブラウザか、ケータイブラウザか?
第5章 ケータイ×GPSハックス 〜最短距離でルート案内してもらう〜
「紙の地図」と「GPSの地図」の違い
各社で提供されているGPSサービス
外出先で慌てずにルート案内を利用するには
GPSナビに適したケータイ
ルート案内以外のサービスも利用できる
グーグル・マップを使ったモバイル版サービス
au優位のGPSサービス
第6章 ケータイ×セキュリティハックス 〜ケータイのデータを強固に守る〜
ケータイを紛失することの意味
おサイフケータイの不正使用を防止する
アドレス帳とメールのデータを守る
ケータイを紛失したらどうすればいい?
SIMカードの紛失にもご用心
特定人物のデータを守る
ケータイにパスワードを保存する
データフォルダに重要なメモを保存する
暗証番号は初期値から必ず変更する
アプリを使ってパスワードを管理する
どこまでセキュリティ設定すべきか
第7章 ケータイ×トラブルハックス 〜快適かつ安心してケータイを使う〜
ケータイとトラブルは隣り合わせ
外部メモリーにデータをバックアップする
ミニSDからマイクロSDにデータを移すには?
PCソフトにデータをバックアップする
迷惑メールはフォルダ振り分け+無音で撃退する
受信履歴から振り分ける
外出先でケータイの電源が切れたらどうする?
使用済みのケータイはいつでも“現役復帰”できる
ケータイのトラブルは他人も巻き込む
おわりに
QRコード一覧表

目次を見て解るとおり、本書は第1章から第5章のような、日常的に使うハックスと、第6-7章のような「いざという時に役立つハックス」に別れている。前者は一度身につけてしまえば本書はお役御免だが、後者はいざという時に取り出せてこそ役立つもの。だから本書の保管場所は、本棚よりも充電器の隣の方がふさわしい。

本書を見て「うまいな」と思ったのは、序章を24ページと長めにとって、どんなケータイが「ハック可能」かを示す事で、一冊の本でカバーするにはあまりに広い「ケータイ」を限定し、上手に現代のケータイの「最大公約数」を集約し、それにハックを注力していること。その条件は以下のとおり。

  • メールとウェブが使えること
  • 第3世代ケータイを使っていること
  • パケット定額サービスを利用していること

最後のものを除けば、およそ3年以内にケータイを買い替えた人はすでに条件を満たしているのではないだろうか。そうでない人は、本書のハックが使えるかどうかを元にケータイをアップグレードすればよい。実は本書が一番役に立つのは、これからケータイを買い替える人ではないだろうか。

好感が持てるのは、無理になにもかもケータイでやろうとしていないこと。PCの方が向いていることは、きちんとそう書いてあるし、PC=ケータイ接続ソフトもきちんと紹介している。とはいってもこちらの方はさすがに新書では全てをカバーしきれず、一般論的紹介に留まっているので、ここでは私が使っている、本書未紹介の「携帯シンク」を紹介しておく。これのいいのはOS Xとシームレスに統合されていることで、本ソフトをそのまま使う事もできるが、ふだんはiSyncでケータイの住所録はそのもまAddress Bookに、スケジューラーはiCalにそのまま同期する。OS X使いには必携のソフトとハード(USBケーブル)のコンボだ。

本書のような、メーカーをまたがったティップ集というのはありそうでなかった。税込み820円というのは、端末一台の一週間分の料金にも満たないだろう。その何倍、いや何十倍も役にたつのは保証する。

Dan the Occasionally Mobile Blogger