2007年11月13日 14:15 [Edit]
アホでマヌケな戦前少年 - 書評 - 戦前の少年犯罪
「404 Blog Not Found:文字通り人を喰ってる話 - 書評 - ヒトは食べられて進化した」を読んだ築地書館の佐々木様より、「本が好き!(β)」経由で献本御礼。そこで書評依頼を出してくれたcharleyさんに感謝。
これは面白い。それも「興味が引かれる」という面白さだけではなく、「笑える」という意味でも面白い。
本書は、人気Webサイト「少年犯罪データベース」の内容をまとめたもの。ところで、目次見てくれ。
目次- 戦前は小学生が人を殺す時代
- 戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
- 戦前は親殺しの時代
- 戦前は老人殺しの時代
- 戦前は主殺しの時代
- 戦前はいじめの時代
- 戦前は桃色交遊の時代
- 戦前は幼女レイプ殺人事件の時代
- 戦前は体罰禁止の時代
- 戦前は教師を殴る時代
- 戦前はニートの時代
- 戦前は女学生最強の時代
- 戦前はキレやすい少年の時代
- 戦前は心中ブームの時代
- 戦前は教師が犯罪を重ねる時代
- 戦前は旧制高校生という史上最低の若者たちの時代
これを起き抜けに(私は超夜型)まだベッドにいる私が、これを届けてくれた妻と一緒に見たときのことを想像してみて欲しい。眠気吹いたよマヂで。
これは戦前の少年犯罪(自殺や心中など、自己に対するものを含む)が、いかに今の少年犯罪と比較してひどいのかというのを、豊富な実例を現代の言葉におきかえて紹介した本なのであるが、ここまでひどいとこみ上げてくるのは、嫌悪感や義憤ではなくもはやお笑いなのだ。
その「これはあまりにひどい」の思わず笑わずにはいられない部分を、不謹慎という理由でそがなかったことに、本書の一番の価値がある。本書は至ってまじめな本であるのだが、そういう本が優れたお笑いにもなりうることを、著者はよく理解している。まずは世間の目を忘れて、笑って読んで欲しい。
そういうわけなので、本書評ではネタバレを慎むべく、目次以外は引用しないでおくことにする。それじゃ物足りないという方は、「必読の書であります(→エルローさん風)|女子リベ 安原宏美--編集者のブログ」あたりもご覧あれ。
この笑いの使いどころは、Michael Mooreに通じるところもある。特に226事件の首謀者たちをニートに、迷走した軍部を女学生にたとえたところなどは実に秀逸だ。
とはいうものの、個人的には著者自身による「笑えて怖い考察」は別の本にしておき、本書は淡々と「笑うしかないスゴ事件」をとりあげてそれに一言だけ添えるというスタイルを徹した方がよかったようにも思う。著者は「笑える状況をとりあげる」も「笑える考察を行う」も、どちらの笑いも使いこなせる手だれだということはわかったが、この二つは結構芸風として違うので、食い合わせに当たる人も出るかもしれないので。具体的には、2,200円の本書一冊より、芸風を統一した1,500円の本を二冊にした方がよかったのではないか。
この芸風は世界的にも少ないが、日本では特に希有だ。まずは本書でこの芸風に触れて欲しい。「内容」に関してまじめに語るのはその後でも構わないから。
Dan the One of the Post-War Generation

戦前の少年犯罪
- 管賀 江留郎
- 築地書館
- 2205円
書評/ルポルタージュ

