2007年11月21日 12:30 [Edit]

責任を他者に預けるな - 書評 - お金は銀行に預けるな

すっかり書評が出遅れてしまった。

私的なことがらを記録しよう!!: 「お金は銀行に預けるな」ブログ書評
「お金は銀行に預けるな」ですが、発売して約1週間、ブログでの書評もいただくようになりました。

それでも書評しておく価値はある。金融リテラシーではなく、リテラシーそのものの本として。


本書「お金は銀行に預けるな」は、今やノンフィクション界のJ. K. Rowlingの感すらある、ベストセラーメーカー勝間和代による金融リテラシー本、に名を借りたリテラシー本。

目次 - 光文社発行の書籍より
  • はじめに
  • 第1章 金融リテラシーの必要性
  • 第2章 金融商品別の視点
  • 第3章 実践
  • 第4章 金融を通じた社会責任の遂行
  • おわりに
  • 【参考文献】

率直に言って、金融リテラシー本としての本書の価値はそれほどない。確かに「投資戦略の発想法」に不足している為替や債権といった金融商品もきちんと取り上げられている点において、他のブログでも指摘されているように本書の方が「おすすめ」であるが、金融リテラシーに関して言えば、質量ともに「金融商品にだまされるな!」の足下にもおよばない。

[を] お金は銀行に預けるな
面白かったのは住宅ローンと銀行の関係の話。
[引用略]
なあるほど。目から鱗。

この話も、すでに35年ローンを組んで、1年半後に完済した私には「ふーん」ぐらいの感慨しか抱かなかった。本書で「一番使える」第2章と第3章は、私にとっては実に退屈なものだった。

p. 193-194 (見出しのみ)
  1. 住宅ローンを組まないこと
  2. 車を買わないこと
  3. 生命保険を定期逓減形にすること

はいは〜い(あくび)。実はこの3つのうち、私は上の二つを完全に破り、破ったからこそ今の資産がある。

住宅ローンがなければ20代で不動産を所有することもなかったし、購入-居住-転売のサイクルを通したトータルキャッシュフローはそうしなかった場合よりも大きかったと弾言できる。「ぼったくり」は何も不動産屋だけではない。大家だってそうなのである。違うのは債務者としてムシられるか店子としてムシられるかである。

車を買ったきっかけも、「車が欲しかった」からではなく「公共交通機関に頼れない」状況がきっかけ。当時台場に顧客をもっていた私は、不便だなあと思いつつそこへはゆりかもめで行っていたのだが、ある日仕事がコミケと重なってしまい(しかも私はそれを知らなかった!)、新橋駅で2時間立ち往生してしまったのだ。

もし車もマンションも買わなかったとしたら、私は「金融リテラシー」という井戸の中に引きこもったままであっただろう。

とはいえ、生命保険に関しては、著者と全く同じポリシー。今は私が死んだ場合にちょうど相続税をキャンセルする程度のものに入っている。しかし生命保険に入った理由そのものが、「金融リテラシー」の観点からいっていただけない。当時同棲していた妻を受取人にするのに、一番手軽な方法が入籍だったのだ。森永卓郎ではないが、結婚というのは金融リテラシーの観点からいけば褒められたこととは言えない。ましてや子供とは。この点は著者も「同罪」ではあるが。

と、ここまで書いたところで、もし私が「池田信夫」的に、本の価値を「本に新たな知識を期待する」タイプの読者の一人であれば、「数ある金融リテラシー本の一つ。著者のネームバリューに依った何匹目かのどじょう」で本entryをしめくくっていたところだろう。

しかし、本書を「リテラシーとは何ぞや」という、s/金融//gしたとき、本書を読み進めるのは俄然楽しくなるのだ。リテラシー(literacy)とは何か。「それとつきあうのに必要な最低限の知識と経験を得ること」だとあなたは思っていないか。

違うのである。リテラシーとは、「それについて手前の頭で考え、手前で手を下せるようになること」なのである。なぜ月並みの知識しか書いていない本書に「ムギ畑プレミアム」が付くのか。それは著者が自分の頭で考え、自分の手を下して来たことを、自分の口で語っているからなのだ。

だから、本書が本当に面白いのは、「なぜ金融リテラシーなるものが必要なのか」を説いた第1章と、「その金融リテラシーを何のために使うか」を説いた第4章にある。第2章、第3章は、本書の付録ぐらいに思って構わない。「頭脳勝負」に将棋のルールが書いてあるようなものだ。そこに書いてあることと、自分がやっていることが違っていて不安を感じるようでは、まだリテラシーが身に付いたとはいえないのだから。

Dan the Millionaire by Literacy


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インデックス投信よりインデックスな投資【404 Blog Not Found】at 2008年03月17日 23:39
株価はいつになったら上向くんでしょうかねぇ。。勝間氏にいわせれば、「そんなことは予測できないのだ!」となるのでしょうか笑。ちなみに投資初心者の僕は、本書がすすめるように投資信託を中心に、ちょっと減っても困らないくらいの小額で(小心)運用しています。日経平....
世界株安の今だからこそ お金は銀行に預けるな 勝間和代【起業・転職・就活に(たぶん)効くビジネス書】at 2008年03月07日 00:19
お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書) 作者: 勝間和代 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2007/11/16 メディア: 新書 投資に特に興味がないって人も、少しは考えが変わるかもしれない。というか自分もそう。よく考えずに勝間氏の本だから、という理
[reading]お金は銀行に預けるな【satzz online 2.0】at 2008年01月30日 01:48
Amazonでも1位、リアル書店でもどの店でもだいたい5位以内には入っている本書。 『お金は銀行に預けるな』 これはタイトルの勝利ですね。 短??.
『お金は銀行に預けるな』【ビジネス書を置くレストランオーナーのブログ】at 2008年01月04日 08:45
今回のフォトリーディングのターゲットは、勝間和代さんの『お金は銀行に預けるな』です。 副題は「金融リテラシーの基本と実践」です。 今年、乗りに乗ってる著者の一人、勝間和代さんの新書。 これまで年収10倍アップシリーズで勉強法や時間投資法を 説いてきた勝間さ...
お金は銀行に預けるな@勝間和代【フォトリーディング@Luckyになる読書道】at 2007年11月28日 06:55
お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)光文社勝間 和代(著)発売日:2007-11-16おすすめ度:amazon.co.jpで詳細をみる (Amazy) 【本の概要】◆今日ご紹介するのは、このブログではお馴染み勝間和代(ムギ)さんの最新作。 勝間さんの最....
【力作!】「お金は銀行に預けるな」勝間和代【マインドマップ的読書感想文】at 2007年11月22日 08:21
この記事へのコメント
小飼さま

はじめまして、勝間です。ははは、小飼さんは、ターゲット読者よりもかなり金融リテラシーが高いので、2-3章は退屈だったかもてしれませんね。

本は情報と、その上のレイヤーの知恵の両方を提供しますが、特に第4章は編集者が????というのを押し切って入れた部分ですので、評価いただいてうれしいです。

とはいえ、呪文のように

・ノーロード
・インデックス
・個人向け401k

などのキーワードは、引き続き唱え続けたいと思います。

これを機会に、今後とも、よろしくおつきあいください。来月は超、超マニアックな本が出ます。

それは情報リテラシーの本なので、そちらの方がお楽しみいただけるかもしれません。
Posted by 勝間 at 2007年11月23日 00:34
でも堅実路線も大事では?
Posted by まこ at 2007年11月22日 00:34
そこまで言われてしまうと立ち読みかも。
まあ35年で元金均等返済を続けていくのだけはやめた方がいいです。ボーナス払いはさらに・・・。
Posted by blog49 at 2007年11月21日 22:09