2007年11月26日 13:45 [Edit]

「ブログ限界論」よりその1 - あなたを知りたい誰かが必ずいる

まずは私事から書き始めよう。

2004年11月から書き始めた本blogであるが、Google Analyticsによると、ついに100万PV/月の大台に乗ったようだ。


実は、100万PV/月というのは初めてではない。世間がライブドアの話題で持ち切りだった頃には、Yahoo経由で12万PV/時というのも経験している。しかしそういった特殊事項抜きに、マスメディアへの露出抜きで(雑誌はもはやマスとは言えないだろう)、100万PV/月というのは初めてだろう。

実際AMNに参加した今年3月頃は、まだ60万PV/月ほどで、AMNが本blogを紹介するときには少し控えめの50万PV/月だったように記憶している。当時はこの60万PV/月というのには、ある種の天井感を感じていた。告白してしまえば私自身「ブログ限界論」に陥っていたわけだ。当時はPVをさらに増やすことよりも、そのPVにどう価値を持たせるかということに気を配っていたように思う。

ところが見ての通り、その後もPVは増え続け、ついに100万の大台に乗った。その間、更新頻度が増えたかと言えば、そうでもない。RSS フィード メーター - 404 Blog Not Foundによれば、更新頻度は4.0でそれほど変わっていない。また、私自身「日日成長」しているかといえば、日日という短い期間ではあまり変わった気がしない。

しかし、3ヶ月とか1年とかといった長めの期間だと、「確かにblogとのつきあい方が上手になった」という実感を得ている。筋トレやダイエットで、1日2日程度では効果がわからないの対し、続けてみたら確かに効果があった、そんな感じである。

そんな私が今blogを書くにあたって一番気を配っているのは、「自説」と「公論」のさじ加減。自説がなければblogではないが、公論がなければ読む人は増えない。このことは、はてなブックマーク - blog.livedoor.jp:dankogai の人気エントリーからも伺うことができる。上位を占めるのは、「私の意見」よりも「みんなの意見のまとめ」の方だ。GIGAZINEが、AMN参加blogを全てまとめたよりも多くのPVを集める理由も、これが理由だと言い切ってもよさそうだ。

しかし、blogではなくbloggerとして見た場合どうだろうか。「小飼弾」と「GIGAZINEの中の人」と、あなたはどちらの方が「知っている」と感じるだろうか。

個を引っ込めて公に徹すれば、確かにPVを増やすのは難しくない。極論してしまえば、自分で書く必要すらない。このことは、Google Newsがすでに証明している。そこで求められるのは「みんなの意見」を集約する「仕組み」であって、bloggerという個人ではないのだ。

しかし、それはあなたがblogに望むことなのか。

われ思ふ ゆえに・・・
ここで日記を書くようになって明日で丸七年。
「誰もあなたのことなんか知りたくないのだ」
この言葉をあらためて胸に刻もう。

そう思っているあなたは、「ビールのパラドックス」に陥っている。「数学する精神」で紹介されているパラドックスだが、それはこういうものである。

数学する精神 P. 68
筆者は確かにあまり酒に強くないから、この程度の大きさのグラスでも10杯も飲んだら飲み過ぎである。しかし、世の中には100杯ぐらいなら難なく飲める猛者もいるだろう。そういう人にとっては100杯飲み終わった後にもう一杯飲むぐらいは対して苦しくはないだろう。そして、なにしろそいつは101杯も飲めるのだから、もう一杯ぐらいは大したことないに違いない。ということは、さらにもう一杯飲んで103杯目を平らげることだって簡単なはずだ、そしてさらに......と続いていけば千杯だって一万杯だって飲めないわけがない。一億杯だって可能なはずだ。

あなたは、いつの魔に自分を「一杯のビール」に例えてはいないだろうか。飲まれようが飲まれまいが誰にも何ら影響を与えない、そんな存在だと思い込んではいないだろうか。

「みんな」だけに目を向けると、それは確かに事実に思える。確かにあなたを知りたい人は、今あなたが知る限り誰もいないのかも知れない。しかし、それはあなたがまだそういう人をたまたま知らないだけの公算の方が大なのだ。

そしてこれまたパラドックスなのだが、あなたを知りたい人を見つける一番の方法は、あなたがあなたのことを書くのではなく、あなたが赤の他人を知りたがっていることを書くことなのだ。そのうちのいくつかは、「万に一つ」は読まれるだろう。それでも日本全体では、125人もいる。そしてそうやってあなたの言った「みんなのこと」を知りたい人の100人に一人は、あなたのことを知りたがっているのかも知れない。これで、もう0は1になった。

逆に、「みんながあなたのことを知りたい」と思われたら、それはそれで大変なのだ。本当は「わたし」としてあなたに知って欲しい彼/女らの一人一人をそう扱うことが不可能になるのだから。

今の私は、その瀬戸際にいる。「私を知りたいあなた」の一人一人を「わたし」として扱うには、すでにして「私を知っているあなた」の数は多すぎる。しかし、それで「私を知っておいて欲しいあなた」が全てそろったという感じはまだまだしない。

だから、私は「私」として書きつつ、ときどき「みんなの意見のまとめ」を書く。そのことで「私自身すら知らない私を知るあなた」に出会えるかもしれないから。

Dan the Somebody to Some, Nobody to the Rest


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RTCカンファレンスVol.28『ブログ限界論』(アキバ)に行ってきました??【したらば掲示板限定シリーズ三部作雑記】at 2007年11月27日 01:57
この記事へのコメント
数学する精神の引用下 s/魔/間/
Posted by 通りすがり at 2007年11月27日 09:47
あなたの夢は何ですか。その夢叶えます。
Posted by あなたの夢叶えます at 2007年11月27日 03:33
 アクセス解析で何人読んだか知ったつもりになっていましたが、最近、定期読者は RSS で抜いていくのでカウントできないでいます。
Posted by kuma_hati at 2007年11月26日 17:32
私の投げた小瓶が海上でいつか誰かが見つけるのを夢見て。

ただショートヘッド、ロングテール化はますますすすみ、書けば来る時代は去ったような。

リンクが更新されないときのせつなさとか。

みなさんのblogが続くことを祈りつつ。
Posted by blog49 at 2007年11月26日 16:03
非常に興味深く読ませていただきました。続きがとても楽しみです。言われてみて初めて、そのときどきの125人の1人が、たまに僕に話しかけてきていたのだということに気付きました。ああそういうことだったのかと。自分が運営担当をしているニュースブログではどういうカタチで実現できるか、考えてみます。(個人ブログではないので、URLは控えさせていただきます)
Posted by 露男 at 2007年11月26日 15:23