2008年01月16日 15:45 [Edit]

「九割は説明がつく」の説明の九割はこじつけ

これを見てすぐおかしなことに気がついて、なぜそうなのかと考えたらある結論に達して、それについて[あとで書く]にしておいたら....

犯罪の九割は失業率で説明がつく
重決定係数は0.91089、定数項と係数のp値はそれぞれ、1.83×10−19、2.55×10−26であった。とんでもなく有意である。 まさに相関45度(笑)

真打ちの「戦前の少年犯罪」の中の人が登場していた。

少年犯罪データベースドア:考える前にやるべきことがあるだろ
  1. 検挙率が変わるほど大幅な恣意的操作がなされている認知件数がどうして相関するのか?
  2. 基礎となる人口が変化しているのに、「率」と「数」がどうして相関するのか?人口当たりの認知率と失業率という「率」と「率」、認知件数と失業者数という「数」と「数」ならわかるのですが。
  3. どうしてタイムラグがあるのか?失業保険が切れる数ヶ月ならともかく何年も。とくに失業率がさがってから犯罪数がさがるまでにタイムラグがある理由がよくわかりません。

で、出た結論は、以下のとおり。

少年犯罪データベースドア:考える前にやるべきことがあるだろ
「警察は失業率を基にして刑法犯認知件数にノルマを設定している」

こういうことって、実は世の中にいくらでも転がっていて、統計に関して言えるのは、「奇麗すぎる統計は作られたものと思え」ということだと思う。

少年犯罪データベースドア:考える前にやるべきことがあるだろ
なんで学者さんたちはこんなにお気楽なのか。

いやあ、全く。

この点に関して、今のところ私が一番信用している学者は、門倉貴史。なぜ信用しているかといえば、この人はちゃんと自分の足でも情報を集めているから。だから統計の疑い方も肌で知っていて、「統計数字を疑う」という本も著している。良著なのでここで改めて紹介しておくことにする。

もっとも、プロでも学者でもない我々としては、統計リテラシーを高めるのがいいのか、それとも「学者リテラシー」を高めた上で、より信用のおける学者の言うことを信じるのとどちらがいいのかというのは容易に判断がつかないところではある。

それでも、日本の学者が書くものに載っている統計の一次情報率は低いと感じている。これを裏付ける統計を私が持っているわけではないのだけど、役所や海外のシンクタンクなどが出した資料をそのまま加工している例ばかり目にすることにややおなかいっぱい気味ではある。このままで新聞社にのしかかっている運命が学者にも待ち受けているのではないか。すなわち「情報の分析/加工」を素人ブロガーに奪われ、「情報の中継ぎ」としてのニッチを失うということである。

Dan the Amateur Statistician


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この記事へのコメント
まあ内容はいいんだけど、基本的に一次情報おろそかにしてBlogかいてるのは弾さんだよねぇ?。
唯一、一次情報であろうプログラム関係の話もつっこまれまくってるし…。
Posted by 通る人 at 2008年01月22日 22:47
> 一応、管賀江留郎さんの元エントリーのコメント欄でのやりとりをご覧いただければと。

結局、まさか額面通りに受け取る人がいるとは思わなかった「釣り」だったということですね。しかし今回は(今回も?)弾さんは豪快に釣られましたね。門倉さんもそんなところで引き合いに出されて良い迷惑かも。
Posted by メル・ギブソンin陰謀のセオリー at 2008年01月19日 11:47
> なんで学者さんたちはこんなにお気楽なのか。
 これは誤解だと思います。
 失業率と犯罪件数の相関を研究するのは犯罪学であって、経済学ではないと思います。この件に関して氏は素人なのであって、学者ではないのであり、"学者はお気楽"は的はずれです。
 学者とは、ある特定ジャンルの学問に対してのみ学者なのです。
Posted by akira at 2008年01月18日 08:49
> 役所や海外のシンクタンクなどが出した資料をそのまま加工している例ばかり目にする
国や県の調査や観測を請け負うのも学術分野の人間である、という面は考慮すべきと思います。手前が請け負って調査したデータをそのまままとめれば、ある意味データの信頼度は保証されますので。

(ただそう考えると金主に逆らう結論は出しにくそうですねw)
Posted by 元・学生 at 2008年01月17日 22:04
統計を使う側どうしでののしりあうのは、都合のいい統計を延々とだしつづける官僚の思うつぼ。
統計を検証するのはたしかに学者や利用者の役目。でも、統計の不適切な利用はまだ気づきやすくでも、統計自体のバイアスなんてなかなかわからん。後者の問題を少しでも和らげるためには、統計へのアクセスをもっと認めるように圧力かけないとどーしよーもないって。国勢調査の調査票すらろくに見れないってのに。
Posted by himamimi at 2008年01月17日 11:02
「学者さんはお気楽」とお気楽な批判をぶってみたところで統計的な事実が変わるわけじゃないよ。
Posted by luke at 2008年01月17日 10:59
日本の学者が書くものに載っている統計の一次情報率は低いと感じている
Posted by gentl at 2008年01月17日 07:42
一応、管賀江留郎さんの元エントリーのコメント欄でのやりとりをご覧いただければと。
Posted by 松尾匡 at 2008年01月17日 07:11
どうしてこんなに噛み付くのか全く分からん
経済と犯罪が連動したら都合が悪いのか?
Posted by マルクス残滓 at 2008年01月17日 02:54
なんか「信用できる統計数値があれば、俺たちは負けてない」ってコメントを思い出したなあ。それいつの話だったっけ。
Posted by bak. at 2008年01月17日 01:25
>学部3回生のゼミ論の分析に文句つけてアカデミズム批判ですか。

いや、このエントリに関しては学部生、院生、教授、サラリーマンとかそういった属性は関係ないでしょ。数字を読む力というか、統計リテラシーのようなものは誰しも必要であって、それが無いまま分析して積み上げたって意味がない、統計リテラシーを高めろ。または一次情報に当たれ。というのがこのエントリの主旨なわけだから。

こういった能力というのは、学部生云々という話ではない。
Posted by blog15 at 2008年01月16日 23:42
>学部3回生
「3年生」だろ。
関西の方言を共通語みたいに書き込むなよ気持ち悪い。
Posted by ななしさん at 2008年01月16日 22:30
このままで新聞社に → このままでは新聞社に
では?
Posted by jingping at 2008年01月16日 21:53
一部では既に大人気のWBSコメンテーターのロバート・フェルドマン氏(モルガンスタンレー証券・チーフエコノミスト)が以下のようなこと言ってました。

日本には統計学の専門家が少なすぎる。人数はアメリカの10分の1、統計学の専門家を育てるのにかける予算も10分の1しかいない。こんな少ない人数ではまともな経済指標を導出出来るはずがないし、経済動向を把握することも出来ない。しかし、これは日本政府は恣意的にそうしているのかも知れない。何故なら正しい経済指標があればそこから導かれる対策も限定されて来てしまい、官僚が適当な理由を付けて好き放題することが出来なくなるからだ。

穿った見方ではありますが、結構当ってる気がします。
Posted by bob at 2008年01月16日 20:04
学部3回生のゼミ論の分析に文句つけてアカデミズム批判ですか。
なんでアルファブロガーさんたちはこんなにお気楽なのか。
Posted by akira at 2008年01月16日 18:38
管賀江留郎さんの結論は「警察は失業率を基にして刑法犯認知件数にノルマを設定している」じゃなくて、「こんな簡単な分析でなにかを語るな!」ではないのでしょうか...。
Posted by kokogiko at 2008年01月16日 18:19
はじめまして。お取り上げいただきまして、ありがとうございます。
管賀江留郎さんへのリプライを追記しましたので、ご検討下さい。
http://www.mii.kurume-u.ac.jp/~tadasu/essay_80114.html
Posted by 松尾匡 at 2008年01月16日 17:10