2008年02月10日 11:30 [Edit]
差額は授業料 - 書評 - 「伝説の社員」になれ!
本書〈「伝説の社員」になれ!〉は、Amazonの元伝説社員にして、現在は伝説書評家、日本有数の「成功本読み」である土井英司による成功本。
目次 - 「『伝説の社員』になれ! - 成功する5%になる秘密とセオリー」 | 話題の本 | 書籍案内 | 草思社より- 第1章 自分の値段は自分でつける!
- あなたの「代金」は高いか安いか
- 若かろうと平社員だろうと「経営者アタマ」で仕事する
- 年収は「給料+授業料」として考える
- どんなことでも九年続ければ成功する
- 「社内転職」は、やりたいことをやる近道
- 「好きなことを仕事にする」という大ウソ
- 絶対に勝てない一流の人にふれて自分を知る
- ストレスとは、自分を高めるための道具
- 「教育ATM機」に金をため込め!
- 第2章 付加価値をつければ人生が変わる!
- 人生はすべて「仕入れ」で決まる
- 「頭を下げる仕事」だから見えてくるもの
- 二十四時間働く覚悟なら、なんでもできる
- 入社した瞬間、自分で自分をクビにする
- 人のために働くと「大バケ」できる
- 五%の法則に当てはまる人材になれ!
- 自腹を切れば切るほど、自分がトクをする
- 失敗するときには、明らかにわかるような失敗をする
- 飛躍とは、その仕事自体を変えてしまうこと
- 「成功している人」より「一緒に伸びていく人」とつきあう
- コピー取り、ティッシュ配りで自分を磨く
- 第3章 最強の自分マーケティング
- 日本車も、外国に行けば外車になる
- 複数のキャリアを組みあわせて「わらしべ長者」になる
- 才能とは、小さな成功を大きなパワーに変換する能力
- 「会社のものさし」ではすべてのスキルを測れない
- レバレッジが効く「一人」を探し出す
- 「未来の芽」が見えると大ブームが起こる
- 「名前+長所」のセットで人を紹介する
- 人から情報を引き出す質問力のつけ方
- 常識以上の「使える」ビジネスマナーを身につける
- 第4章 「伝説の社員」になれ!
- 「一億円あったら?」という妄想は人生を映す鏡
- 最後に勝つのは能力より「バカになれる情熱」
- 自分の「当たり前」も、他人にとっては新鮮
- 「ちゃちなプライド」より「正しい自尊心」をもつ
- 誰からも好かれる人なんて価値がない
- 自分を知るためには、言葉より相手の反応を見る
- 紹介しやすい自分=「一言で言えるウリ」をつくる
- ナンバーツーの美学を知る
- 自分をブランド化するお金の使い方
- カエルは決して、牛にはなれない
なにしろ私よりも本を売っている人の本である。刮目して読まねばと思いつつ、いつもよりゆっくり呼んだのだが、その感想は、「目から鱗」というよりは「やっぱりそうか」というものだった。著者と私の共通点は、本読みだということぐらいなのだが、まるで平行進化したのではないか、と思うぐらい職に対する姿勢が似ているのだ。
それが特に顕著なのが、第一章。
P. 17ここぞという場所では、自分は安く売る。
そのほうがあとで、何倍もリターンがある。
私は最近、こんな文章を書いた。本書を読む前のことである。
404 Blog Not Found:38歳までに知ることになる、22歳の自分に教えてあげたいたった1つのこと一つ付け加えたいのが、そういったつきあいにおいて「搾取されている」と思い込まない事。たしかに利益配分の際に相手の取り分の方が自分の取り分より多く見えるということは多々あります。しかしそこでの利益配分でごねすぎる人には、次の縁が途絶えてしまいます。
利用されてなんぼ、ぐらいに思っておきましょう。
「安く売る」という点に関して言えば、オープンソースに参加するというのはある意味その極北ではないか。何しろ無料、それそのものは一銭にもならないのだ。
それでは、「自分は安く売る」とは一体どういう意味なのだろうか。
差額を授業料にする、ということである。
ここを勘違いしている人は多い。そういう人は、仕事とはあくまで労務を提供してその対価を得るだけのものだと思っているので、安月給は安月給としか感じられない。その結果仕事は「お仕事」と化し、成長の機会を得ずに時ばかり過ぎ去ってしまう。
しかし、実はもっと危険なのは、「差額を授業料にする」というのを頭でしかわかっていないという例である。こういう人は、仕事場にいるだけで、経験値が上がるのだと勘違いしてしまっている。これでは折角「授業」に出ていても、授業内容は身につかない。これでは何のために安月給という授業料を支払っているかわからない。
よくあるのは、好きな仕事なら経験値も上がる、経験値が上がらないのは今の仕事がつまらないからだ、というものであるが、実はそういう人こそ、後者の「より悪い例」になりやすい。大成する人というのは、これ以上つまらなくなりえなさそうな仕事場をも学び場にしてしまうものなのだ。
私はこのことにかなり早く気がつく事ができた。気がついたのは、土方をしていた時だ。あれを単なる肉体労働だと思っている人は、実際に経験してみるといい。当初は自分がどれほどの役立たずかがわかるから。
今はどうかわからないのだけど、当時は工事現場にほっかむりをしたおばちゃんたちがたくさんいた。私の肩にも届かないような小さなおばちゃんたちだ。彼女たちは本当に軽々と作業しているのに、こちらはちょっとスコップでアスファルトをかき混ぜただけでも疲れてしまう。悔しいやら情けないやら。
しかし、ある時ふと気づく。「そもそも体を動かせば仕事になるというのが間違いなのでは」。それに気がついてから、私はおばちゃんたちをじっくり観察するようになった。おばちゃんたちには怪訝がられたがこちらは追いつきたい一心である。
そして気がついたのが、彼女たちは腰でスコップを使っていること。腕より先の動きは最小限。これがわかってからのスコップ作業の楽になった事。ざくざく掘れる。あまりに楽になったので、「もっとアスファルトを!」とねだって笑われてしまった。
私はまだ15だったと思う。
そのおかげで、私は仕事をきちんと上げている人は、誰であれ師匠に見えるようになった。自分がこれからやろうとしていることを、自分よりうまくやっている人は、誰であれ先生である。もちろん著者も、書評に関しては私の先生である。
その「先生」から献本された、といういうことは、著者から見て私は利用価値があるということなのだから、私としては素直に嬉しい。ましてや本書にはこんな一説が出てくる。
P. 126一人を口説くことによって、その背後の組織なり人脈なりを動かせます。
営業力があるとは、レバレッジが利くその一人を探し出す事です。
その一人として扱われているのだから、これほど嬉しいことはない。
著者が強調している点でもう一つ重要なのが、蓄積の重要さ。著者はそれを「九年」と言っている。この台詞が私よりも若い著者から出てくる点に素直に感心した。本blogの歴史はまだ3年とちょっと。それでこれだけ「伝説化」(笑)したのはずいぶんと早いのではないか、ということになるが、しかし私はそれ以前から本を読んでいたし、それ以前から経験値を積んで来た。仮にその起点を15歳とすると、9年後は24歳。その頃には自営でやっていける目処と自信がついていた。9年は長いようでいて短い。
「若くして成功」と人は言う。しかし若くして成功した人々は、はじめるのだって早かったのだ。そういう意味で、著者も私も早くからはじめられた、「気づき」が早かったという点では運がいい。しかしそこから先は運ではないのだ。少なくとも、運だけではない。
ところで、本書を発行しているのは草思社。ご存じかもしれないが先ほど民事再生申し立てたあの草思社だ。
草思社が民事再生申し立て - ITmedia News帝国データバンクによると、「間違いだらけのクルマ選び」シリーズや「声に出して読みたい日本語」などのベストセラーで知られる出版社・草思社が1月9日、民事再生法の適用を東京地裁に申し立てた。
残念なことではあるし、本書の供給もちょっと心配になったのだが、どうやらその点は大丈夫なようだ。Amazonにもきちんと在庫があるし、新刊発行こそ停止しているが、既刊の販売は今まで通りのようである。
「伝説のライター」とか「伝説のブロガー」になるのは難しいかも知れない。実力だけではなく運も必要だと思う。しかし「伝説の社員」であれば、誰にでもなる力があるはずだ。今からでも遅くはない。あなたも是非試してみて欲しい。
Dan the Legend


