この話の信憑性に疑念を持つ人もいるのだけど、重要なのはこの話が本当か嘘かじゃない。

ニートの19歳女の子を札幌『紀伊国屋』に連れてったら感動して泣かれた話*ホームページを作る人のネタ帳
先日、実家に帰った時、友人の妹のニート暦4年目の、19歳の女の子に会ってきたお話です。

大事なのは、この話は本当にありえるし、実際にそういう人たちがいる、ということだ。

引きこもり歴4年の19歳女子が充分でなかったら、「親より稼ぐネオニート」を読んでみるといい。彼女のような生活は今や一般的、とまでは言えないかもしれないが、「そんなのありえない」というほど稀というわけでもないはず。

実名入りの例が欲しい? Pugsを作ったAudrey TangはIRCで英語を学んだそうだし、ニコニコ動画を作った戀塚さんは、オフィシャルに自宅勤務。私自身もこの例にあてはまる。

こうなってくると、NEETというのは Not in Education, Employment, or Traningではなく、Net-based Education, EMployment, and Training と、Not 〜 or 〜 ではなくNet 〜 and 〜 で語られるべき存在ではないのか。とはいえNEETというネームスペースはすでに占拠されているも同然だし、「あちら側の住民」って言い方もなんだし....

それはさておき、むしろ注目すべきは、ここなのではないか。

ニートの19歳女の子を札幌『紀伊国屋』に連れてったら感動して泣かれた話*ホームページを作る人のネタ帳
彼女は、ネットには全てがあると信じていた。
だからこそ、外に出る必要性なども無いと感じていたのです。

この気持ちは、よくわかる。彼女のようにうまく行っている「引きこもり」はまずそう思っているはず。実際うまく行っているだけあって、斉藤環は、彼女のような例は「治療すべきひきこもり」とは見なしていない。

ネットという「あちら側」は、「こちら側」よりもよっぽど厳しい側面もある(「あちら側」「こちら側」でピンとこない人は、「ウェブ進化論」を読むこと)。そこでうまくやっていけるという自信を獲得する過程というのは、実は「リア充」になる過程と驚くほどよく似ている。

そして「これが現実だ」と達観、または勘違いする過程も。

「あちら側」と「こちら側」に共通する点は結構多くて、片方が充実すると実はもう片方も充実することも多いのだけど、どうしても重ならない部分があって、どちらか一方にいるとそれを見落とす。彼女には隣の本が見えなかったように。そして「リア充」たちがSBMの存在も知らないように。

  • 煮詰まったら、反対側に行ってみる。
  • 一人で行けなかったら、案内人についてってもらう。

あまりに月並みな教訓だけれども、どの世界の住民にも使える智慧なのではないか。

Dan the NEET