2008年05月22日 14:45 [Edit]
30億塩基は一見にしかず - 書評 - 見てわかるDNAのしくみ
本作「DVD&図解 見てわかるDNAのしくみ」は、本のおまけにDVDがついているのではなく、DVDのおまけに本がついているというのがただしい一冊、いや三枚組。その内容は、タイトルどおりDNAのしくみ、なのだが、動きがあるだけでものごとがこれほどよくわかるようになるというのにまず驚かされる。
目次 - 講談社BOOK倶楽部:DVD&図解 見てわかるDNAのしくみより- はじめに
- DNA利用上の問題点
- 第1部 ダイジェスト編
- 1. DNAの構造
- 2. DNAは働く - 真核生物 -
- 3. DNAは伝える1 - 複製のしくみ -
- 4. DNAは伝える2 - 分配のしくみ -
- 5. DNAは変化する - 不安定なゲノムDNA -
- 6. DNAは変化する - 減数分裂のしくみ
- 第2部 メーキング編 誕生物語
- 1. DNAを見せるということ
- 2. DNAの構造をどう表現するか
- 3. DNAをはたらかせる
- 4. DNAは伝える - どこまで研究者に迫れるか
- 5. DNAを変化させる - 組み替え反応の魅力
- 少し長いあとがき
DNAが「動く様子」を3Dアニメ(すなわち3+1次元)は、本作以外にも今ではいくつもある。たとえばYouTubeでDNAを検索しただけでも、ぞろぞろ出てくる。
しかし、そのいずれと比べても、本作には見劣りする。特にDNA複製の場面は圧巻で、リアルタイムでリーディング鎖がしゅるしゅる伸びていき、もう一方のラギング鎖が尺取り虫のようにえっちらおっちら伸びていく様子に、一生物として感動を禁じ得ない。DNA→RNA→タンパク質転写や複製といった「人気コンテンツ」だけではなく、DNA修復や減数分裂といったややマイナーな話題もきっちり動画にしているのがすばらしい。特に減数分裂の交差の仕組みは、教科書で読むのと動画で観るのでは感動がまるで違う。
ただ、この場面はちょっと不満もある。上のYouTubeのビデオでもきちんと紹介していた「岡崎フラグメント」が「ラギング鎖の短いDNA」という紹介しかされなかったのだ(見落としているかも。このentryのために一部を除いて倍速で観たので)。本の方のコラムの方にははっきり書いてあるのだけど、これは解説でも使って欲しかった用語だ。
これで1,680円は安い。確かに新書の一冊としてみれば高く感じるが、前述のとおり本作はDVDがメインである。他も見習って欲しい。特にNスペのDVDは。
ただし、既存のブルーバックスという新書のメディアに8cm DVDを3枚入れるというのには疑問を感じる。すこぶる扱いにくいのだ。ブルーバックスブランドを使いたかったら、いっそ「ブルーバックスワイド版」を作って、そこに12cm DVDを添付するようにした方がよかったのではないか。
それにしても、DNA、というより生物というナノマシンには改めて驚かされる。ヒトゲノムは30億塩基対。一塩基で2ビットなので、60億ビット = 7.5億バイト = 750MBということで、情報量だけならCD-ROM一枚程度。本書の8cm DVDの半分だが、伸ばせば2mにもなるこれが直径50μmの細胞の、そのまた5μm程度の核の中に収まっているのみならず、情報が非同期並列に読み出され、そして複製されているのである。本作の器としてのぎこちなさが、おかげでよけいに強く感じられる。
しかし、その内容はまさに書評にも書けない美しさ。各位ともぜひ自ら確認して欲しい。
Dan the Vehicle of the Genome
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ただ、今あるのはどれも本体は薄いから、ちょっと種類がちがうのかもしれないが。
