2008年06月23日 18:00 [Edit]

惰訳 - Stanford Commencement by Oprah Winfrey

彼女の言うとおり、それが正しいと感じたので。


Hennessy学長、理事、教員、親御さん、そして卒業生のみなさん。本日はお招きありがとうございます。この素晴らしいひとときを皆様とご一緒できることに感謝します。

まずはちょっとした秘密の暴露から。Kirby Bumpus のことです。実は2008年の卒業生の一人ですが、私が名付け親です。Kirbyが生徒になってから、はじめてキャンパスに入れてもらえたのよ。

Kirbyはとても賢い子でして。誰を知っているかではなく、自分が何者かということで判断してもらいたいたちなの。だから私を知っているということを、彼女は誰にも明かさなかったのね。それで彼女が母親と新入生オリエンテーションに出席したとき、「おやまあ、 Gayle King じゃない?」って言われたので。ご存じかもしれないけど、彼女は私のBFF(永遠の親友)。

で、Kirbyに「おやまあ、 Gayle King じゃない?」って言った人に、Kirbyは「うん。ママだよ」ってこたえたのね。

「ってことは、あなた Oprah Winfrey を知ってるの?」って聞かれてたときの、彼女の答えが

「まあね」っだって。

「『まあね』?私は『まあね』なの」って言い返したんだけど。写真もあるのよ。Kirbyと私は馬にのってる写真、メールしてほしい? とにかく私は Kirby Bumpus を「まあね」以上に知ってるし、そんなわけでここに来るのに4年待ったというわけ。Kirbyは私の誇り。生理学(human bio)と心理学の二つの学位を得て本日卒業です。愛してるわ、Cakes! これ、私が彼女を呼ぶ時の名前ね。

Kirbyの両親も私の誇り。そして兄弟のWillも。本当なら私は彼女の卒業には無関係なのだけど、ここに来る前の二週間ほどは、「スタンフォ〜ドに行く準備してる」って吹聴してたの。

「スタンフォ〜ド」って響きが好き。絶対に卒業できなかったはずだもの。そもそも入学してないし。私が代わりに行ったのは、テネシー州立大学。だけど学位は取れなかったの。1975年に卒業する予定だったのだけど、一単位足りなかったの。もう忘れるべきかなあって思っていた。一緒に卒業行進できないわけだし。もうその時はもうTVで仕事してたの。19歳、二回生のときから。10時のニュースのアンカーで、門限が11時だったのって私ぐらいじゃないかな。

冗談抜きで、パパは「ニュースは10時半に終るのだから、11時には帰宅するように」って。

本当はどうでもよかったのよ。自分で稼いでいたのだし、自立していたのだし。だから一単位不足で卒業していないことは水に流そうって思ってたのよ。だけどパパはそのことをもう何年も何年も気にしていて。「Oprah Gail」、私のミドルネームね、「学位もなしでどうするつもりだい」って。「でもパパ、私には自分のTVショウがあるのよ」。

で、パパはいうのよ。「そうかい。でもわからん。学位もなしでどうするつもりだい」って。

「私はトークショーのホストなのよ」って言い返しても、「学位もなしでどうやって次の職を得るつもりなんだい」って。

で、1987年に、テネシー州立大学が卒業演説を依頼してきたの。私はショーを持ってて、しかも全国中継されてて、映画も作って、オスカーにノミネートされて、私の会社、Harpoの立ち上げの最中で、で、言ったの。「もう一単位くれないと、卒業演説できないって。パパが『学位もなしでどうするつもりだい』ってうるさいの」。

というわけで、私は補講を受け、卒論を提出して、晴れて学位を得ました。

パパは多いに喜んでくれたわ。何かの時には、学位が救済措置になってくれると私も納得した。

だけど、私は知っていた。父が卒業証書を気にかけていた本当の理由を。B. B. King が言っていたように「学びがなぜ美しいか。それを奪い取ることが、何人たりともできないから」。そう。学び。広い意義での学びが、これから私がみなさんにお話したいこと。これでやっとはじまり。

世界は、あまりに多くの授業をみなさんのために用意しているの。私にとって、世界も地球も学校で、人生は教室のようなもの。で、地球学校」の授業の中には、回り道や後戻りにしか見えないのもある。絶体絶命の時もあったりして。そんな時に前に進むのに一番の方法として私が密かに学んだのは、授業に対して心を開くこと。最も偉大な大学の。「宇宙」という名の大学の。

そうすれば、自己研鑽を続けながら人生を歩めるし、自らの進化を助けることもできるの。そう。私たちは、人として進化するためにここにいる。もっともっと自分自身になるために。理解を次の段階に進めるために。そして思いやりと成長を次の段階へ進めるために。

私がもらった賛辞の中で一番嬉しかったのは、あるレポータ−のひと言。シカゴで仕事をはじめて間もない頃に、一緒にインタビューとかしてたのだけど、何年もたってから会った時に彼女が言ってくれたのが、「わかる?あなた全然かわってないわ。ずっとあなたらしくなってる」。

それが、私たちが目指していること。もっと自分自身になるってこと。どんな経験にも。そこに教訓がある。前に進むにはどうしたらいいかという教訓が。そうやってあなたの魂は豊かになっていく。で、私を信じて。内なる知恵は、富よりも貴重なの。しかも使えば使うほど得るものが増えるというわけ。

というわけで、本日は教訓をいくつか、いえ、三つの教訓をみなさんに打ち明けるつもり。ここまでの人生で、私が何を学んできたか。うれしいでしょ?ほんとに三つしかないんだもの。「いくつか打ち明けたいことがある」っていう人は、その前に十個は話題をふるものね。そう。ほんとに三つだけ。

私の人生に最も強烈なインパクトを与えたその三つの教訓は、気持ち、失敗、そして幸せ探しの三つ。

大学を去って一年後。私はボルティモアの六時のニュースのアンカーの職を得ていた。私もメディア全体も、もっと大きなマーケットを目指していた頃。ボルティモアはナッシュビルよりも大きなマーケットだった。22歳で六時のニュースのアンカーっていうのは、大したものだと我ながら思っていたわ。これ以上はないぐらい。当時はね。

私はそれがずっと誇りで。Barbara Waltersみたいになるチャンスだって。TVの仕事をはじめてから、ずっと彼女のまねばかりしていた。私は22歳で、年俸は$22,000で。その時にあったのが、私の最大の親友 Gayle。同じ局でインターンだった。「すごいわ。しんじられないわ!まだ22歳なのに年俸が$22,000もあるなんて。この分なら40歳になる頃には$40,000よ!」って。

40になった時、そうならなかったことを心から喜んだわ。

で、22歳、年俸$22,000の私。でも、なんか引っかかってた。正しくないと思っていた。最初の兆候はHennessy学長の紹介にあったように、名前を変えろと言われたこと。「Oprahなんて名前、誰も覚えられないよ。みんながすぐに覚えて気に入ってくれそうな名前を考えたんだけど、Suzieってどうだい」って。

Suzieでーす。とってもフレンドリー。Suzieなら誰もむかつかない。Suzieをよろしく。でも、私の名前はSuzieじゃない。実のところ、私は自分の名前が決してすきだったわけじゃない。弁当箱にも、ナンバープレートにも、Oprahって名前はなかったのだし。

で、私は自分の名前が気に食わないまま育った。けどそれを変えろと言われた時に、考えてみた。Suzieってツラかって。答えはノー。正しい感じじゃない。だから、名前は変えなかった。みんなが覚えてくれるかはどうでもいい。

次に言われたのが、私の容姿。みんな好きになってくれないって。時は1976年。まだボスがあなたを呼びつけて、「君の見てくれが気に食わない」って言ってもよかった頃のお話。今だったら当然訴訟沙汰だけど、当時は「君の見てくれが気に食わない」言ってよかったのよ。この場合は、Barbara Waltersと似ても似つかないってことかな。というわけで、私はサロンに連れてかれて、パーマをかけられたんだけど、数日で抜け毛がひどくなって、頭を剃るはめになったの。これでますます見てくれが気に食わなくなったというわけ。

黒人で、ハゲで、TVに腰掛けて。お世辞にもいい絵とはいえないわね。

でもハゲより辛かったのは、みんなの悲劇を仕事で取材しなきゃいけなかったこと。だいだいだいっきらいだった。ただそこにいて、観察しているだけの自分が。私の全本能が、なにかしなきゃ、手をとってあげなきゃって叫んでるのに。

というわけで、Hennessy学長の紹介にあったように、私は火事を取材しては、毛布をとってきて犠牲者に渡すようなことをしていたの。そのことを思い出しては、眠れない日日が続いていた。

その間、私は Barbara のように優雅に腰掛けて話すにはどうしたらいいのか悩んでた。悩めば悩むほど、私はまぬけな Barbara になって。でも、Oprah のようになろうとしたらどうだろう。とってもいい Oprah になるのに。Barbaraのように華麗に話そうとしていたりもした。台本を読み上げるのではなく、もっと自発的に話したらどうかとも思い立ったりもした。誰かに何かを渡すように、ニュースを渡したい。それで台本を読むのをやめたら、舌が玉突き衝突。やれやれ。

で、台本をやめて、もっと自発的になろうとしたら、知らない単語が出てきて、きちんと発音できなくて。カナダを「カナ〜ダ」って読んじゃった日もあって。というわけで、私の自己 Barbara 化は失敗に終わり、私は自分自身になることをめざすことにしたの。

でも、ちょうどその頃、パパは「Oprah Gailや、これは一生一度のチャンスだよ。職にとどまりなさい」って。で、ボスは「これは夜のニュースだ。そして君はアンカーだ。民生委員じゃない。仕事しろ」、と。

というわけで私は交錯するメッセージやら責任やらで、ほとほと自分がみじめだった。帰宅しては日記に--そう。15の頃からつけてる--いかに自分が惨めで落胆しているか書き綴ってはやけ食いして。そう。Oprahはやけ食いを覚えたってわけ。

そうして8ヶ月で、私はクビになった。連中が言うには、私は感情的すぎ、太り過ぎだって。だけど連中は契約通り違約金を払いたくなかったので、Baltimoreのトークショーの司会をさせることにしたの。司会の椅子に座ったとたん、ショーを始めたとたん、私は自分の居場所を見つけたの。TVは幼稚園の砂場なんかじゃないんだ、奉仕のためのプラットフォームになるんだ、人々が人生を這い上がる手伝いができるんだって。私は、これが正しいんだって感じた。私の今は、こうして始まったわけね。

というわけで私が得た教訓。そういうつもりでやっている仕事をしている時は、自分が正しいことをやってるって感じられるものだし、毎日がボーナスのようなもの。有給無給に関係なく。

ほんとだってば。正しいことを自分がやってるって、あなたたちはどう判断してる?どうしたらそれがわかるかって、そう感じるからよ。気持ち、それは人生のGPS。何をしなきゃいけないか、 そして何をしちゃいけないか、気持ちという誘導システムはそれを知ってるの。秘訣は、ドアを開けるまえにエゴをチェックしてから、自分の腹の内をチェックすること。私が失敗した時は、どんな場合も自分の内なる声に充分耳を傾けなかった時。

正しいと感じられないなら、やっちゃだめ。これが教訓。この教訓だけでも、あなたは大助かりのはず。ちょっとした違和感も、「だめ」のサイン。これが私が学んだこと。どうしたらいいか分からない時が、この先のあなたたちの人生に何度も来るはずだけど、そういう時は、動いちゃだめ。ぴくりとも動いちゃだめ。何をしたらいいかわかるまで、動いちゃだめ。

そして動かずに、自分の内なる声に、自分の操縦をまかせるの。個人的な面ももちろん改善するし、仕事でもより鋭く動けるようになるわ。Daniel Pinkのベストセラー、"A Whole New Mind"(ハイ・コンセプト)に出てくるのだけど、私たちはまったく新しい時代の入り口にいるの。彼は「概念の時代」って呼んでるんだけど、人々の輪郭が、論理的で線形でルールを元にした思考ではなく、その人の心--右脳--に由来するようになる、そんな時代。共感、喜悦、そして目的が富より大事になる、そんな時代。

こういった特徴は、好きなことをやり続けることで花咲くの。全身と全霊を、それにかけなきゃだめなの。

というわけで言っておきます。追い越し車線なんて忘れてしまいなさい。空に舞い上がりたかったら、情熱と才能を結びつけなさい。天職を信じなさい。誰にでも一つあります。自分の心を信じなさい。そうすれば成功の方があなたのところに勝手に来ます。

成功をどう定義するですって?よくお聞きなさい。お金は確かに悪くないわ。私は立ち上がって「お金が全てじゃない」なんて言ったりしない。お金は本当にいいものよ。大好き。ものを手に入れるときはこれにかぎるわ。

でもね。お金をいっぱいもっていることで、あなたが自動的に幸せになるわけじゃないのよ。あなたがほしいのは、お金と意義。あなたは自分の仕事が意義のあるものだと思いたがっている。意義こそが、あなたの人生に豊かさをもたらすものなのだから。あなたは信用できる人々、財宝、そしてあなたを賞讃してくれる人たちの三つに囲まれたいと願っている。これが「リッチになる」という意義なの。

というわけで教訓1。自分の気持ちに従うこと。正しいと感じれば、前に進むこと。正しくないと感じたら、やらないこと。

次の話題は、失敗。凸凹のない人生なんてありえないんだから。誰でもつっかえる時があるし、後戻りする時がある。ものごとが上手くいかないときには、袋小路に追いつめられたような気分になるけど、それは人生語で、「進行方向を変えろ」という意義なの。失敗に出会ったら、忘れずに尋ねてごらんなさい。失敗、危機、難局にあったら忘れずに。「あなたは何を教えてくれるのですか」って。それを教わり終わってから、前にすすみましょう。大丈夫。教わりそこなっても必ずまた来ますから。はいてるズボンやスカートは違うかもしれないけど。ちゃんと補習してくれますよ。

私が理解したのは、難局は人生のささやきを聞き逃した時にやってくること。人生はかならずあなたになにささやきくのよ。それを聞き逃すと、はやかれおそかれ、今度は叫び声を聞く羽目になるわ。もがけばもがくほど、ひどく。でも、もしあなたがた正しい質問をしたなら--なぜこんな羽目になったかではなく、なにを教えにきたのかをたずねたなら、あなたには必ず正しい答えが来るの。

友人のEckhart Tolleが書いた"A New Earth"は、その様子をこう表現しています。「逆境に逆らうな。逆境と交われ。解決策は挑戦からわき上がってくる。投降は降伏じゃない。責任をもって行動することなんだ」、と。

Hennessy学長の紹介にあったように、私はアフリカに学校を作りました。学校を創設したんです。南アフリカの女子が、あなたたち、スタンフォードの学生の未来のような未来を届けることを願って。彼女たちと同じぐらい学校を美しくするのに、五年かけました。彼女たちの価値が、周りに反映されていることを彼女たちが感じ取れるように。青写真は一枚残らず目を通したし、枕まで全部チェックしたし、レンガの隙間にまで目を光らせたの。布団の糸くずの数まで知ってるわよ。村の女子は、全て私が選り抜きました。九つの地区から。それでも、去年の秋に起きた危機を私は予想もしなかった。寮の管理人の一人に、性的虐待の疑惑が出たんです。

ご想像の通り、これは手ひどいニュースでした。ニュースが入ったとたん私は泣きました。いいえ、泣き崩れました。30分ほど。そして、問題に立ち向かうことを決意しました。30分です。今、この瞬間に焦点をあわせよう。今やらねばならないことをやろうと。私はトラウマの専門家に連絡を入れ、捜査チームを組織しました。女子たちが適切なカウンセリングとサポートを受けられることを確認してから、Gayleと私は南アへと向いました。

その間、私はずっと自問していました。この事件は私に何を教えようとしているのか?状況が困難なだけあって、私が得た教訓もまた大きなものでした。私がどんな間違いをおかしたかはあきらかです。私の注意力はあさっての方向をむいていたんです。私は学校を外側から作りました。内側から作るべきだったのに。

この教訓は、私たちすべての人生に応用できます。本当に大事なのは、中がどうなっているかなのです。誠実さなのです。品格なのです。美なのです。私はそれを学びました。女子たちも何かを学びを得ました。彼女たちはこの経験をバネにし、自分達の声が力を持つことを知ったのです。

彼女たちのバネ、そして活力が私にくれたものは、私が彼女たちに返しきれないほど大きなものでした。それが、第三の教訓につながります。幸せの探し方です。まる一日この話題でひっぱってもいいのだけど、あなたたちももっと他にやらなきゃいけない楽しみが待っているし。

小さい話題とはとてもいえないわね。幸せの探し方。でも、考えようによっては一番単純かも。Gwendolyn Brooksが彼女の子どもたちに書いた詩に、"Speech to the Young : Speech to the Progress-Toward."というものがあります。その詩は、こう結ばれています。"Live not for battles won. / Live not for the-end-of-the-song. / Live in the along." Eckhart Tolle と同様、彼女も、生きなければならないのは今ここにある現在なのだと言っているのです。その瞬間にいなければならないのです。あなたの過去に何がおころうと、それは今のこの瞬間のあなたにはなにも出来ない。人生は、「今」なのです。

だけど、彼女が言っていることがもう一つあります。何かの一部になりなさい、と。自分一人の人生を自分のためだけに生きるのはおやめなさい、と。これははっきりとわかります。本当に幸せになりたかったら、あなたは人生を追い越すのではなく、一緒に歩かなきゃならないの。自分自身より大事な何かのために立ち上がらなければならないの。人生は、相互交換で成り立っているんだから。前に進むためには、あなたは何かを返さなきゃいけない。私にとって、これこそが人生最大の教訓。幸せになりたかったら、何か返さなければいけないの。

私にはわかります。あなたたちもそれがわかっていることを。本学という織物の糸の一本一本が、それで出来ているんですから。それこそが、Jane と Lelandの教訓であり、Stanford夫妻が本学という形であなたたちに残した教訓なんです。本学がどういう経緯で誕生したのかを、夫妻の唯一の子を、15歳の時チフスで亡くしたことを知らない人はあなたたちの中にいないでしょう。息子の死後一年を待たずして、夫妻は本学のための基金を設立しました。彼らの実の息子に出来なかったことを、他の子息のために成すことを誓って。

この教訓は実に明快。傷ついたのであれば、傷ついた他者の傷を癒しなさい。痛いのであれば、他者の痛みを和らげなさい。混乱のさなかにいるのであれば、混乱の中にいる他者をそこから助け出しなさい。その過程を通して、私たちは一員となるのです。最も偉大な友誼の。思いやりで結ばれた姉妹の。そして尽くし合いで結ばれた兄弟の。

スタンフォード夫妻におきたことは、母と父におきたこととしてはおよそ最悪のものです。しかし彼らは知っていたのです。他者を救うことが、自らを救うということを。そしてこの叡智は、人文および科学の世界でますます支持を集めています。できる人できない人などという低次元ではなく、他に尽くすことが、魂を次の段階へと押し進めるのです。いい気分になりたかったら、いいことをしろということ。

でも、いいことをするのなら、それでいい気分になっただけで終って欲しくない。私にはわかってるんです。いいことをするということは、あなた自身がよくなっていくということであることを。私はわかります。どんな分野を選んだかに関わらず、他に尽くすというパラダイムに従って行動すれば、あなたの人生の価値はあがり、あなたは幸せを手にいれることを。

トークショーをやるときは、私はいつでも幸せです。しかしその幸せはあまりに深く、この達成感をTVだけにおしとどめておくことは出来ませんでした。TVに利用されるのではなく、TVを利用したかったのです。視聴者に尽くすためのプラットフォームとして。私の成功の軌道は、このことだけで豹変しました。

私には見えます。俳優にとって、最も技(art)を発揮できるやり方こそが、最も才能を輝かすのだということが。解剖学者あれば、その知識を治療に役立てることが。本日あなたたちに授与される博士号やビジネス、法、工学、人類学、科学、医学といった修士号。これらの学位が礎となった才能を、尽くすというパラダイムのもとに行使すれば、あなたのなすこと全てが、単なる仕事から天恵となるのです。あなたたち、スタンフォードにただ職探しに来たわけじゃないわよね?

あなたたちは量りきれぬ富を、数えきれないほど受けてきました。それを味わうのに、他者と分かち合うほどよい方法はありえません。私の祈りは、より良きものに尽くす者のために捧げられています。

そろそろ、私が最も好きな Martin Luther King を引用してこのスピーチを締めることにします。Dr. Kingは言いました。「誰でも有名になれるわけではない」、と。そうでしょうか。今日日は誰もが有名になろうとしているように見えます。

ですが、有名というのはちょっとした旅程度のものです。あなたをトイレまでおいかけて、あなたのおしっこの音を聞いた人々が、あなたを目にして「すごい、あなただ。おしっこしてた」。

有名とはこの程度のことです。欲しい人、まだいますか?

で、Dr. Kingの台詞。「誰もが有名になれるわけではない。しかし誰でも偉大になれる。偉大さは、どれだけ尽くしたかで測られるのだから」。本学で学んだあなたたちのうち、歴史を履修したなら、残りがどうだったかを思い出せるはず。「偉大になるのに学位はいらない。文法も要らない。プラトンとアリストテレスを知っている必要もない。アインシュタインの相対論を知らなくてもいい。熱力学の第二法則も知らなくて良い。あなたに必要なのは、胸一杯の愛と、そこから生まれた慈悲と魂だけだ」。

まもなく、あなたたちは正式に2008年のスタンフォード卒業生となります。

あなたたちには、情も智もあります。それをどう使うかは、あなたがた次第。学位はもうあります。一歩外には教訓が待っています。あなたたちの行く先々には、素晴らしいことが待ち受けています。

そうそう。私はどんなものでも分ちあった方がいいと信じています。というわけで、卒業記念品をみなさんと分かち合うことにしました。椅子の下をご覧下さい。私が一番好きな本が二冊入っているはずです。Eckhart Tolleの"A New Earth"は私のbook clubから。Webcastは3000万回ダウンロードされました。そして Daniel Pinkの" A Whole New Mind: Why Right-Brainers Will Rule the Future"。私の進路が間違っていないことを保証してくれた一冊。

ほんとは車をあげたいところだけど、椅子の下には入らなかったので。おめでとう、(クラスオヴ)'08!

ありがとう、ありがとう。


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この記事へのコメント
私のGPSが久々にこちらにナビゲートしてくれたようです。

素敵なスピーチを紹介頂き、ありがとうございます。
Posted by イプログダイレクトの店長 at 2008年07月10日 11:48
滋岳さん、
いつもありがとうございます。やっとこさなおしました。
Dan the Typo Generator
Posted by at 2008年06月29日 21:56
朝から笑って泣いた。

とてもいいスピーチを紹介していただいてありがとう。
Posted by haineko2003 at 2008年06月24日 07:38
和訳お疲れ様です&元記事へのリンク有難うございます。
Posted by Brandstetter at 2008年06月24日 02:09
野ぐそはコメントが多すぎて邪魔なので、そんなに書きたいことがあるなら自分のブログに書いて、トラックバックしたらいいじゃないのかと
Posted by 774 at 2008年06月24日 00:46
>>弾翁
 いい文章ですね。こういう意味での良さが、日本の社会にも欲しいですな。当分得られそうも無いから、ひたすら我慢の日々かもしれませんが。ま、時が来るまで我慢我慢ですか。

※良いと思った行動
 こういう時に「dan the なんとか」って入れないのは非常に好感度高いですね。別に今まで入れてたのが品下がるってわけじゃないけどね。

※どうかと思った行動
 素直に感動し敬意を表す文面であるなら、誤字脱字は無くして欲しかったですね。やっちゃったもんは仕方ないけど、早めのリカバリー美しいです。

 頑張ってぬ。
Posted by 野ぐそ at 2008年06月23日 20:38
s/地球学校」/「地球学校」/
s/行ってくれたのが、/言ってくれたのが、/
s/正しくないと持っていた。/正しくないと思っていた。/
s/話したらどうかとどうかとも/話したらどうかとも/
s/仕事しろ」、と。/仕事しろ」と。/
s/そう。Oprahはやけ食いを/そう、Oprahはやけ食いを/
s/個人的な面ももちろん改善するし。仕事でもより/個人的な面ももちろん改善するし、仕事でもより/
s/これにかぎりわ。/これにかぎるわ。/
s/あなたになにささやきくのよ。/あなたに何かささやくのよ。/
s/九つの築/九つの地区/
s/〆める/締める/
s/測られるのだから。/測られるのだから」/
Posted by 滋岳 at 2008年06月23日 20:32