2008年07月15日 02:00 [Edit]

この記事をクリップ! newsing it! Buzzurlにブックマーク b.hatena.ne.jp/entry 「これ、ブルーバックスじゃないんだ」 - 書評 - iPS細胞

平凡社新書編集部の福田様より献本御礼。

asin:4582854311
iPS細胞

世紀の発見が医療を変える
八代嘉美

力作。おすすめ。

一押ししようと材料を集めはじめて愕然。

なのにこのサポートの薄さはなんなのだ。


本書、「iPS細胞 世紀の発見が医療を変える」は、iPS細胞に関して書かれた本邦初の新書である。

で、本来であればここに目次を置くのが私のスタイルだが、今回はナシ。以下をご覧いただければ、理由は一目瞭然だろう。

方や特設ページと目次リンク付き。方や内部検索でも引っかからないページをなんとかリンクを探り当てたあげく、crossviewの1 "view"より短い紹介。同ページには書影に「筒井康隆氏推薦!」のオビはなく、販売日の本日となってもAmazonにその書影すらない。

平凡社様、売る気はどこですか?「売る気」が引っかからないのは、robots.txtで弾いているとでもいうのですか?

念のために付け加えると、献本下さった福田氏は、「iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?」も、それに対する私の書評もきちんと目を通した上で献本下さっている。

404 Blog Not Found:最高のサイエンス・ノンフィクション - 書評 - iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?
とはいえ、これらの問題は一冊の本で扱い切るにはあまりに大きい。本書の「万能性」(pluripotent)は稀に見る高さだが、それでも「全能」(omnipotent)ではないし、またある必要はない。しかし、本書は今後の生命科学と再生医療を語る上で、必読の「幹本」と言うのは確かだ。

以上を理解した上で、同書と本書の違いを簡潔かつ明快に添え状にまとめてある。

しかし、担当編集者の努力だけでは出来る事にも限りがある。たとえばAmazonへの登録は編集者の一存では出来ないのではないか。

本blogでは、こうした「Web的にプレゼンスがしょぼい良本」に対して出来る限りの補完をしてきた。たとえば書影がAmazonになければ出版社ページや著者blogから遠慮なく引っ張ってくるし、目次がWeb上にない場合には手入力も厭わなかった。

しかしこれでは紹介できる本が少なくなってしまうし、その労力を考えると、むしろ書評を後回しにしたり諦めたりしたりした方が賢明ということにもなってしまうし、実際にその傾向は否めない。このあたりのことは

に懇切丁寧に書いたのでここでは繰り返さないが、それでもなお「できる出版社」とそうでない出版社の差にめまいがする。

それでも、平凡社は本書を上梓しただけえらい。私が最も驚いていること、それは今に至るも「iPS細胞」に関する本がブルーバックスから一冊も出ていないことである。リンクをたぐってみて欲しい。Amazonは最近おせっかいになったので、タイトルに検索語が入っていなくても関連語が含まれている本まで検索で探り当ててくれるので、「ES細胞」や「再生医療」の本までこの検索に引っかかっているのに、そこにブルーバックスは一冊もないのである。

「ブルーバックスだからそれに相応しい品質チェック」をという言い訳は受け入れない。実際本書はカヴァーを外してブルーバックスのカヴァーをかけたらその一冊といって通用するほど品質も高く、そして図版の使い方などがブルーバックス的だ。確かに著者は博士課程在学中ではあるが、それゆえ「iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?」には足りない、「中から見た臨場感」に溢れている。これだけの大魚である。iPS細胞について書ける書き手に不足はなかったはずだ。いや、たとえいなくても「編集部」名で「とりあえずのまとめ」を出してもおかしくないぐらいの大物であることは「中の人々」もご承知のはずである。

ディスカヴァー社長室blog: その『出版不況の裏側』の話は真実か? ●干場
だいたい、まったく売れない本を出しておきながら、『良書がなぜ読まれないのか』と、消費者のせいにする発言がまかりとおるこの業界。それは、官僚 が『こちらが言っていることを理解しない国民がバカだ』というのとまったく同じ。自分のことを好きにならない相手を、私の良さに気づかないあなたが悪い と、責めるもてない男女と同じ。

ブルーバックスに限らず講談社は、現代新書の装丁の件といい、この「こちらが言っていることを理解しない国民がバカだ」シンドロームに陥ってはいまいか。編集者単位、編集部単位ではがんばっているところもある。しかし哀しいかな、出版社全体のやる気のなさに足を引っ張られてしまっている。

コミュニケーションとは、あなたがどう言ったか、ではなくて、相手がどう受け止めたかだ。

この根本を忘れてやいないか。

さらに付け加えれば、「メッセージとは、あなたが言わなかったことを相手がどう補完するか」でもある。Webにスカスカなのもコミュニケーションなら、そのレーベルであれば必須のタイトルを欠くのもメッセージである。

せっかくの初単著の紹介を、このような別のメッセージで埋めてしまって著者には大変申し訳ない。しかし、内容だけでは読者を得られないというのは厳然たる事実なのである。人がプラナリアのように再生しないほど、明らかな。

Dan the Message Receiver

追記(2008.07.15):Amazonに書影が登録されたので差し替え


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目次 はじめに 1章 “ES細胞”は生命の起源にさかのぼる 2章 細胞の先祖返りしないわけ 3章 なぜ品血は古びないのか? 4章 再生はいつも身体で起きている 5章 再生医療の時代へ 6章 iPS細胞が誕生した! 7章 再生医療レースのはじまり 8章 再生する力で人口臓器をつ...
iPS細胞【バイオインフォマティクス砂漠】at 2008年07月28日 22:20
iPS細胞 世紀の発見が医療を変える (平凡社新書 431)八代 嘉美平凡社 2008-07-15売り上げランキング : 2405おすすめ平均 Amazonで詳しく見る  iPS細胞 ...
iPS細胞 世紀の発見が医療を変える AP0055【いい本読んで、出世しよう!】at 2008年10月15日 08:10
この記事へのコメント
(誤)方や
(正)片や
Posted by 11031 at 2008年07月15日 05:16
(誤)方や
(正)片や
*2
Posted by 11031 at 2008年07月15日 05:20
小飼弾さま
どこよりも早く、書評に取り上げていただきまして、
本当にありがとうございます。
また、ご指摘につきましてもありがとうございました。
やるべきことは、手配等々致しました。
改善すべき点は、どんどん変えて参ります。
今後とも、よろしくお願いいたします。 福田祐介拝
Posted by 福田祐介 at 2008年07月15日 14:48
小飼弾さま
おかげさまで、重版になりました。
どうもありがとうございます!
引き続き、販売、がんばります。
取り急ぎ、ご報告です。 福田拝
Posted by 福田祐介 at 2008年07月25日 11:44
小飼弾さま
おかげさまで、3刷目です。
「404 Blog Not Found」を見た、
という海外からの声も届きました。
取り急ぎ、ご報告です。
Posted by 福田祐介 at 2008年08月25日 16:19