2008年08月08日 01:30 [Edit]

新宿地下にこの山あり - 書評 - 新宿最後の小さなお店ベルク

出版社より献本御礼。

読んですぐに書評したくなったが、「実際に味見してみるまでは自重」ということで、本日、いや、日をまたいだので昨日に行ってみたのだが、本書で紹介されている以上に素晴らしい店だった。これで自信をもってお勧め出来る。

すごいよ、この本。

でも、お店はもっとすごいよ!


本書「新宿最後の小さなお店ベルク」は、新宿東口の地下にある15坪の小さなお店、ベルクの店長およびスタッフによる、細腕ならぬ細店繁盛記。ほんと、細いのだこの店。

しかし、「骨太の方針」とは、この店にあるような言葉だ。

目次 - blues interactionsより
まえがき 日本一の立地にあるインディペンデントな飲食店  
1章 どこにもないファーストフードのお店はこうしてできた
お店の魅力をどのように出していくのか?
自分たちが毎日食べられるもの〜ベルクの商品開発
優秀な職人たちはお金では動かない
お店の雰囲気を作るのはインテリアではなく接客
2章 大手チェーンにできないことに価値がある  
非効率な食材と真剣に向き合う
ドイツ+フランス+イギリスのカフェ文化=新宿ベルク
壁を使って写真展をやろう!
店作りの楽しさを味わないのはもったいない
3章 本当は飲食店なんてやりたくなかった〜ベルク誕生ストーリー
店長の新宿放浪時代〜自分探しよりも場だ!
家族でお店を経営するということ
新宿をさまよい、新宿にたどり着く
4章 なぜベルクをはじめたのか?  
この壁を自由に使いたい!
純喫茶からの大改造
ビジネス=ライフワークと考えてみよう
女性が昼間からひとりでビールを飲んでいても違和感のない店にしたい
「大衆娯楽接客業」とは何ぞや?
5章 個人店が生き残るには?  
息の長い商売をしたい
薄利のインパクトで多売を可能にする経営
不器用なスタッフほど熟成していく
立ち退き問題と定期契約
個人店の時代がやってくる
解説 個人店に必要なフィロソフィ――押野見喜八郎(外食業コンサルタント)  
あとがき 本当の意味での隠れ家

私がベルクを訪れたのは、昨晩の21:00ごろ。

berg-shinjuku-underground

21:00というのは、居酒屋でもすき始める時間だが、この時間でも満席であった。注文を待つ人の列は7名ほど。私は待つのが大の苦手、どんな有名店でも、その場で5分も列に並んでいなければならないとしたら退散する。が、あれよあれよという魔に自分の番が回ってきた。

ギネスを頼むことは決めていたのだが、サイズをどうしたものか。「ハーフパイントってどれくらい?」とたずねると、店員はにこやかに「こちらのグラスになります」と見せてくれた。いや、よく考えれば 1 pint = 1/2 quart だから、そのまた半分がちょっと小さすぎることはわかるのだが、やはり実物を見ると違う。迷わず量は1パイントにして、つまみにはプレミアム・ベーコン・ドッグを頼んだ。ギネスが884円にプレミアム・ベーコン・ドッグが302円の計1,186円。やはりギネスはちょっと高いが、あれほど上手に入れられたギネスははじめてみた。確かに本で自慢しているだけのことはある。

しかしそれよりも感動したのは、ベーコン・ドッグの方。ベーコンもブレッドも焼きたてほやほやだったのだ。とてもここが新宿地下であることが信じられない。「早い、安い、うまい」は確かに本当だった。

仮に本書がなくても、あの場所であの味であの値段であれば売れないわけがない。文字だけではなく五感で納得して店を去ったのだが、ところがこの店が今存亡の危機にあるという。

売れないからでは、ではもちろん、ない。この店には毎日1,500人もの客が訪れるのだ。問題は、大家なのである。なぜ大家が問題なのかは、本書および

で確認していただきたいが、もし署名1万名を超えた今にいたるも大家がベルクの退去を切望しているというのであれば、大家は新宿にはあまりに似合わないカッペだと申し上げざるをえない。

だいたい、カフェというのは街の顔ではないか。カフェ・フローリアンがないサン・マルコ広場など考えられるか。ちなみにあちらは1720年の創業だそうである。私はかの地に行ったことがあるが、カフェ・フローリアンの名は知っていても、その地主が誰なのかは知らない。

申し訳ないが、その地を訪れるものにとっては、その地とはそこになにがあるかであって、誰がその地を有するかではないのだ。

その場を何年もかけて作ってくれた上に、家賃まで払ってくれる福の神ではないか。家主としては黙って山のにぎわいを眺めていればいいのである。テラ銭だってきちんと入ってくるのだし。

スタバなんて、北京にだってある。中国でうまいコーヒーを味わいたかったら、2001年当時はそれくらいしか手がなかった。ちなみに私が味わった最もまずいコーヒーは、上海浦東空港の50元のコーヒー。とほほな思い出が欲しかったら、絶対におすすめである。

しかし、ベルクはあそこしかないしあそこにしかありえない。カフェ・フローリアンがヴェネツィアのサン・マルコ広場にしかないように。むしろ代替わりして20年足らずにしてベルクがあれほどの地位を手にした方が驚きだ。少なくとも味に関してはカフェ・フローリアンなんて目じゃないよ。

せっかくの掘り出し物ではないか。むしろベルクが不動産価値を上げている可能性を考えてみたらいかがだろう。いや、そうとしか思えないのだが。

Dan the Newest Fan Thereof


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ルミネ酷いな。【殺したいほどママが好き】at 2008年08月08日 15:54
この記事へのコメント
某mixiコミュに続報が来たそうですよ。
ルミネエストより『来年3月までに退店しろ』との通達がきたとか。
退店しないなら『商売できなくなる位の家賃払え』と。

何だかなー。
お店の客は賃貸契約に対しては第三者だから、署名を無視されたらきついですね。
これからどう動くのがBESTなんでしょうかね。悩みます。
Posted by suama at 2008年10月09日 14:42
1つの店をこだわっているので、
チェーン店化してないし、
チェーン店化すると、
すべてのクオリティが下がることを知っているという
ことだと思います。

店は知りませんが、
インタビューですごいと思ったことは、あります。


Q「どらえもんのポケットから、何を出したいですか?」
A「どらえもん」

これには、まいった。


これ、「どらえもん」の量産ということですからね。
Posted by higekuma3 at 2008年08月11日 13:27
著者にインタビューしている動画みました。

【場所っプ】あの人に合いたい チョロズム出版 ベルク編
http://blog.goo.ne.jp/bashop/e/1c3a564bf0bba5875685ddfbbfdb567f


鼻だけで味がわかる(笑)
Posted by edry(えどりぃ) at 2008年08月09日 12:33
好きなお店です。何回か利用したことあります。ファンがついているのだから、別の場所に移転すればいいのではないでしょうか。ヨーロッパ的なカフェの論理はこじつけでしょう。だって、ルミネにそんな伝統的なものないもの。むしろ、時代に添い寝する商業施設だからこそ、その転生の中で、全体方向性に合致しないものは、出て行っていただく、というのは大家として当然の判断かと思います。
Posted by gp at 2008年08月09日 07:47
ベルクが不動産価値をあげている、という表現は秀逸にして的確ですね。
一万名の署名を半年弱で集めるほど絶大な支持を得られている店舗に対して何のプレミアムも感じられず、ただひたすら立ち退きを迫る大家はまさに「カッペ」という他ないですね。
Posted by すえぞー at 2008年08月08日 22:49
ベーコンドッグ、美味しいですよね、あの味わい。

アルファギーク小飼さんがベルクに触れてくださるなんて、いちファンとして嬉しさと、ベルクが隠れ家でなくなっていくような一抹の寂しさと。

http://ameblo.jp/love-berg/entry-10057651173.html

立ち退き問題がファンの耳に届いた頃立ち上がったファンHPのメッセージボードです。
熱いメッセージを始め、はるかサウジアラビアから新宿のオアシスをなつかしく思うものまで。良かったらノゾいてみてください〜
Posted by とおりすがりのベルクファン at 2008年08月08日 18:42
お酒ラブだったころ、よく行きました。
「女性一人の方に、声をかけないで」
と張り紙がしてあるので、入りやすかったのです。
(実際そんな危機管理が必要かどうかは別として)

署名運動に参加するというのも手ですね。

Posted by junna at 2008年08月08日 13:57
ベルクには何度か行った事がありますが、
退去を迫られてるという事を、
この記事を読むまで恥ずかしながら知りませんでした。
ひどい話です。
何故退去させようとするのかが分かりませんね…。
Posted by 通りすがり at 2008年08月08日 13:00
先日、たまたまぷらぷらしているときにベルクに入りました。

なんで、今まで来なかったのか、すげー後悔。

味と値段。あの雰囲気。そして、お客さんが

いい味だしてます。

こういうお店は絶対つぶさせてはいけません!
Posted by 筋☆ちゃん at 2008年08月08日 10:15