2008年08月10日 15:00 [Edit]
まさに動漫 - 映画評 - Speed Racer
この夏の映画で、我が家で最も評価が高かったのがこちら。
なんと「映画崖の上のポニョ」も抑えてトップ。それも9歳と6歳の娘たちがそう評した。まず嫁と娘たちがこれを見たのだけど、私も「今日は酒井さんの講演をはじめ予定がびっしりなんですけど後日に出来ない?」と言ったにも関わらず、嫁に「いいから」と有楽町の最終上映に放り込まれたのだけど、後で嫁に感謝することになった。
本作「Speed Racer」は、マッハGoGoGoを「The Matrix 」のウォシャウスキー兄弟が動漫化したもの。そう、動く漫画。
ここで言う動漫は、「中国動漫新人類」で使われている「アニメ」の中国語訳ではない。この映画、文法まで漫画で、「コマ割り」まであるのだ。
それが最も顕著なのが、回想シーン。ほぼ全て、回想者の顔が右か左かのどちらかにスライド(左→右が多かったように思う)しつつ、その間に回想が背景として流れる。さすがにワク線はないけれど、これは漫画の回想シーンの基本的な文法だ。
また、日本の原作に(興行的に)可能な限りの尊敬を払っているのもいやでも伝わってくる。正直「マッハGoGoGo」は、私のようなオッサンですら昔すぎて(私より年上なんです)、記憶の果てまでアクセルを踏んでもあの主題歌しか出てこなかったのだけど、本作ではまさにその主題歌が日本語の「マッハGoGoGo」だった。
ある意味、本作は宮崎アニメの対局にある。
たけくまメモ : パンダとポニョ(2)要するに、アニメーション作家として宮崎は天才なのだが、お話そのものは、尻切れトンボだったり、実はよく分からないという声が多いのです。
どうもたけくま先生は本作をまだご覧になっていらっしゃらないようなのだが、編集家には見逃せない作品のはずです。
お話が、これでもか、というぐらいわかりやすいのだ。どれくらいわかりやすいか、というと、「大人の事情」って奴が6歳の娘にもきちんと伝わるぐらい。
そう、「大人の事情」。「グローバルスタンダード」という魔物が徘徊しはじめた今日にあって、悪は大人の事情抜きには語れない。事件もレースも現場で起きているのだが、しかしレースで主人公たちを妨害する程度では、21世紀には「ラスボス」にはなれない。本作における「ラスボス」は、レースそのものを悪にしているのだ。主人公たちが本当に戦っている敵は、敵のレーシングチームではなくレースそのものなのだ。そう。文字通り、世界が敵なのだ。
世界そのものが敵、というのは大人向けのフィクションでは当然ではある。しかしそれを子供にもわかるようにするのは非凡であり、それでいていい意味で「ガキ向け」であることを全く損なっていないのは、制作者の力量も去ることながら、漫画で確立された文法がいかに強力なものであるかという証である。
欠点は、あまりにわかりやすく、そしてあまりにプロットがきっちりしていることだろうか。絵も話もコテコテの極彩色なので「安物」と勘違いするのがあまりに容易いのだ。むしろ目の肥えた大人の方が、本作の機微を見落としやすいのは確かなのではないか。
あと、Susan Sarandon。弾的にはヤバ過ぎ。リアルに妹がいるせいか「妹属性」がまるでゼロで釘宮病とか言われても(゚Д゚)ハァ?なのだが、こっちは(´Д`;)ハァハァ。ハァハァでなくて主人公の母役だけど。
上映している映画館も減っていますが、まだやっています。まだ見ていないかたは是非。「ポニョ」であたまがぽにょとなった人には絶好の気付け薬です。
Dan the Speed-Raced
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