オライリー矢野様よりいつもどおり献本御礼。

初出2008.08.22; 販売開始まで更新

ここ数日は本blogを更新する魔もないほど忙しいのだけど、これは紹介せざるを得ない。

フォクすけは、脱いでもすごいんです:)

本書「Firefox 3 Hacks」は、世界で最も「普遍的」な「ブラウザー」である、Firefoxの最新版であるVer 3.の「ハック本」である。

目次 - oreilly.co.jp -- Online Catalog: Firefox 3 Hacksより
目次
推薦の言葉
クレジット
はじめに
1章 Firefox 3の基本
1. Firefox 3の新機能
2. ロケーションバーを使いこなす
3. Placesを使いこなす
4. ユーザインターフェイスをHackする
5. 検索をHackする
6. アドオンを管理する
7. マウスとキーボードを極める
8. セキュリティとプライバシー
9. ユーザプロファイルを使いこなす
10. ユーザプロファイルの秘密
2章 新世代の拡張機能 57
11. 拡張機能を使い倒すための基礎知識
12. マウスジェスチャの新定番
13. 邪魔者は消せ
14. ScrapBook
15. ブラウザもマクロで自動化
16. スクリプトの実行を制御する
17. スタイルシートをすばやく着替える
18. Greasemonkey
3章 Firefox 3向けの拡張機能開発テクニック
19. 拡張機能開発の基礎
20. 標準ライブラリ「FUEL」を活用する
21. MozStorageでSQLiteデータベースを操作する
22. 履歴とブックマークのデータベース「Places」の正体を知る
23. APIを通じて履歴とブックマークを操作する
24. Placesデータベースへの問い合わせ命令
25. Placesデータベースへの問い合わせ結果を利用する
26. JavaScriptコードモジュール
27. Firefoxに含まれているJavaScriptコードモジュールを使う
28. JavaScript製XPCOMコンポーネントで特殊な処理を実現する
29. 拡張機能を安全に自動更新できるようにする
4章 アプリケーションプラットフォーム
30. WebアプリケーションとXULアプリケーション
31. Google Gears
32. DOM Storage
33. 新世代のWebアプリケーション
34. XULRunnerプラットフォーム
35. Prism
36. Gmailクライアントを作成する
37. Flickr Uploadr
38. 5分でできるオリジナルブラウザ
39. XULアプリケーションのパッケージ化
40. Firefoxの派生製品
5章 FirefoxとWebを支える技術
41. FirebugでWeb開発
42. Firebug徹底活用
43. Canvas
44. PNGでアニメーション
45. Microsummary
46. 最新のJavaScriptでコーディング(その1)
47. 最新のJavaScriptでコーディング(その2)
48. Firefoxをビルドする
49. 高度な設定
50. モバイルでFirefox
51. MicroformatsでWebセマンティクス
52. 次のFirefoxのために
拡張機能索引
索引
コラム目次
Geckoエンジンのメジャーバージョンアップ
Mozilla開発者こだわりの修正
FUELの設計思想
イベントの使用上の注意
FUELのWindowオブジェクトからXULウィンドウの
DOMWindowオブジェクトを取得する
ブックマーク項目に想定外の操作をするとどうなる?
Firefoxが実際に利用しているデータベース
SQLiteデータベースから正規表現にマッチするデータを
取り出すには?
スマートキーワードによる検索機能の正体
Firefoxの機能をスマートブックマークで再現する
自動アップデートの情報を提供しない場合は?
次世代JavaScripting

先ほど「普遍的」「ブラウザー」と括弧付きで書いた。まず「普遍的」の方だが、PCやMacといった、いわゆる「デスクトップ環境」では括弧抜きで普遍的な「ブラウザー」であることは間違いない。一度はIEに息の根を止められそうになったというのが信じられないぐらい今では標準的となった。ちなみに本blogのアクセスは、Google Analyticsによれば6割がFirefox経由である。

Firefoxがまず素晴らしいのは、なんといってもクロスプラットフォームであること。Windows や Mac OS X だけではない。私が Ubuntu にあれほど感嘆したのも、標準ブラウザーが Firefox だということが大きい。ほんと、「その中にいる」と、OSの違いを感じさせないのだ。Leopard化が遅くなったのも、まあ忙しかったというのが第一の理由だけど、Firefoxのおかげでそれほど困らなかったということもある。

いまや「デスクトップ環境」というのは、Firefox置き場といってしまえば言い過ぎだろうか。

もちろん、Firefoxだけがブラウザーではない。Windowsのみとなってしまった IE こと Internet Explorer はとにかく、 Safari は Windows 版もあるし、 Opera は Firefox と同じく Win/Mac/Linux の「トリプルプラットフォーム」をサポートしている。

しかし、この4大ブラウザーの中で、唯一 Firefox のみがオープンソースである。

それが、「ブラウザー」を括弧付きで書いた理由である。もはやブラウザーというのは、単にWebページを斜め読み(browse)するだけのものではない。Gmailにアクセスすればそれはとたんにメーラー(MUA)となり、YouTubeにアクセスすればたちまちそれはビデオプレイヤーとなる。もはやブラウザーはネットサーフィンのための「サーフボード」ではなく、それを通して世界と関わるための基盤、プラットフォームなのだ。かつて「OS」と呼ばれていたものの役割のかなりの部分がブラウザーに置き換えられ、そしてアプリケーションというものがOSの上ではなくWebの上に置かれるようになった今、ブラウザーの重要性はOSを凌駕しつつあるのだ。

それほど重要なソフトウェアで、「脱がしてもいい」のは Firefox だけなのである。他はせいぜいHTML/XML/JavaScriptといったAPIのレベル、すなわち表面どまりしかわからないのに対し、 Firefox であればソースを見て確認できるのだ。それだけではない。そのソースを援用して「マイブラウザー」を作るのも簡単に出来るのだ。第四章をご覧いただきたい。ほんと、簡単なのだ。

一つ驚いたのが、本書が翻訳本でないこと。

はじめに
本書は米国 O'Reilly Mediaから出版された書籍の翻訳ではありません。オライリー・ジャパンの独自企画であり、全Hackが日本人著者による書き下ろしです。

その理由は、是非本書で確認していただきたい。本書は日本発であるが、Firefox同様国際化を標榜しているようである。確かにその価値がある一冊だ。

あえて難をあげるとしたら、やはりこれかな。

Firefox 3 Hacks 予約可能に - えむもじらより
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これってどこのコレジャナイロボ。まさか「IEジャナイ、Safariジャナイ、ましてやOperaとは別物だぁ!」というメッセージなのだろうか。

やっぱりここはフォクすけでしょう。

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あるいはいっそ←の路線か:)

Firefoxは単なる「ソースコードが公開された」ブラウザーではないのだ。Linuxが単に「ソースコードが公開された」OSでないように。まず第一に、それが「ブラウザー」として優れていたから使われるようになったのだ。

しかし、Firefoxは単なる「ブラウザー」以上のものだ。本書は、そういう人のためにある。単なるネットサーファー以上のことをしたい人、必携です。

Dan the Firefox Tamer