2008年09月26日 00:00 [Edit]

Win ≠ Beat - 書評 - 史上最強の人生戦略マニュアル

訳者より献本御礼。

初出2008.09.21; 販売開始まで更新

たしかに「スゴ本」。

訳者にとっては、訳者がスゴい人になるのに一役買ったという点において。

そして私にとっては、「スゴくフツーのことが書いてある」という意味において。

しかしその「フツー」こそ、最も多くの人が必要としているスゴさなのかも知れない。


本書「史上最強の人生戦略マニュアル」は、自己責任論の本である。しかし、この「自己責任」という言葉ほど、その意味するところを知らずに使っている人が多い言葉もないのではないか。本書が400ページを超えているのはそのためだと言っていい。

以下の目次は、自己責任というものがわかっている人には実はそれで充分で、しかしわかっていない人にはますます誤解が深くなりそうだ。そういう人こそ一読をお勧めしたい。

目次 - Amazonより
はじめに
プロローグ
第一章 問題がひとりでに解決することは、絶対にない
第二章 本当に生きるということ
人生の法則1 《ものがわかっているか、いないか》
第三章 自分の選択と態度に焦点をあてる
人生の法則2 《あなたの人生体験を作るのは、あなた自身である》
第四章 「見返り」が行動を支配している
人生の法則3 《人はうまくいくことをする》
第五章 問題は、あなたが認めるまで悪化していく
人生の法則4 《自分が認めていないことは変えられない》
第六章 違うことを「する」
人生の法則5 《人生は行動に報いる》
第七章 過去の出来事を言い訳にしない
人生の法則6 《事実なんてない。あるのは認識だけ》
第八章 今すぐに人生計画を立てる
人生の法則7 《人生は管理するもの。癒すものではない》
第九章 「見返り」を断つ
人生の法則8 《私たちは自分の扱い方を人に教えている》
第一〇章 憎しみはあなたの心を変えてしまう
人生の法則9 《許しには力がある》
第一一章 あなたのゴールラインはどこか?
人生の法則10 《自分が求めているものを明確に知る》
第一二章 ガイドつき人生の旅
第一三章 目標設定の七つのステップ
第一四章 自分の公式を見つけよう

自己責任論において最も多い誤解は、たとえば「私の年収が100万円しかないのは私のせいなのか」「両親に虐待されていたのも私が悪いというものなのか」というものだ。本書が優れているのは、この点にはっきりと答えていることだ。

P. 234
子供の時にレイプされたり、虐待を受けたりしたことに対して、あなたに責任がないことは絶対に確かだ。
けれども、それに対して今どんな反応をするかについては、あなたに責任があることは否定できない。

そういうことなのだ。

"What it is", すなわち「事実」に関して、我々が負っている責任は実のところ驚くほど少ない。地球温暖化だってどこまで人類の責任かなんて神にだって答えられないだろう。

しかし、"What you feel about it", すなわち「認識」に関しては、100%自己責任なのだ。1Lのペットボトルに500mlのお茶が入っているところまでは事実。他の人が飲んでそうなっているのかも知れないし、あるいは元々そういう商品なのかも知れないが、初めてそのペットボトルを目にした段階ではあなたは責任の負いようがない。しかしそれが「半分しか入っていないのか」、あるいは「半分も残っているのか」というところからが、あなたの責任というわけである。

しかし、著者はそこに留まらない。「半分も残っているのだからそれでいいじゃないか」とは言わない。それじゃ足りない時にどうすればいいのか。そこから先は是非本書を一読して<自己責任>において確認していただきたい。

訳者にも、そして私にも本書は充分な内容であった。と同時に、本blogを通して本書の潜在読者の少なからぬ部分がより誤解を深めるのではないかということも感じ取ることが出来た。そんな読者のために、一つだけ本書にないことを蛇足しておきたい。

それは、「勝者」(winner)と「敗者」(loser)という言葉に関するものだ。おそらく自己責任論に対するためらいの最大の理由は、「自分が勝者となることは、他人を敗者にするだけのことなのではいか」というものなのではないだろうか。

確かにそういうゲームは少なくない。ゼロサムゲームにおいては、あなたが勝った分他の誰かが負けている。しかし、そういうゲームにおける「勝利」は"win"ではなく"beat"を使うべきなのだろう。"beat"は「勝つ」というより「打ち負かす」という意味の言葉である。

しかし、たとえば「人生の勝者」という場合の「勝者」はあくまでwinnerであってbeaterではないのだ。"beaten but winnning"というのは確かにありうる。そして"beating but losing"というのもまた。

勝利というのは、質量/エネルギーと違って、保存量ではないのだ。あなたが勝ったからといって私が負けるわけではないのだ。まずはそのことに気がついてほしい。

本書の著者は、Winnner of the Winners と呼ぶしかない Oprah Winfreyに勝ち方を授ける一方、英語もろくに読み書き出来ないタクシー運転手のAndyから勝ちとは何かを学んでいる。智慧とはそういうものなのだろう。

そう。智慧の取得というのは、究極の自己責任。こいつは譲渡不可能だ。それを得続けている限り、私はwinnerであるという実感を得ている。そして死ぬまで lose することはないのだ。

そういう勝ちと価値をこれを読むあなたが得ますように。

Dan the Winner of His Own Games


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この記事へのコメント
書評リンクさせていただきました!
http://jsm.livedoor.biz/archives/51286213.html
Posted by 武田幸一 at 2009年05月10日 21:38
って言うか訳者のオビの大きさは異常、自重。
あれではオビではなくて第二の表紙であり、誰の著作なのか判らない。
Posted by screw at 2008年10月04日 09:15
これって、同じ出版社から出てた本の新訳版ですよね。
大して時間経ってないような気がするけど。
Posted by AAA at 2008年09月23日 09:53
↑もうちょっと中身あること書かないと,
必要以上に安っぽいコメントスパムになってますが.
Posted by chabashira at 2008年09月22日 19:51
弾言と両方読むとすごく勉強になりそうですね!
楽しみです^^
Posted by アライアンス仕事術 at 2008年09月22日 14:51
勝ちとか負けとかいう概念をもってるから苦しいんですよ。
僕はそんな負けを包含している勝ちなんか無い世界を目指しています。
ところでうんこのzipまだですか。自宅まで取りに行きましょうか。
Posted by Halion at 2008年09月21日 17:20
How to 本も毛嫌いせず読むべきなんだろうな。
これだけ皆が良いというのなら。
Posted by ににに at 2008年09月21日 16:54
「7つの習慣」の"Be Proactive."と全く同じ事を言っているような。
Posted by Mako at 2008年09月21日 16:33
久々に素晴らしい記事。
Posted by にしけん at 2008年09月21日 16:17
引用の"是隊"は、"絶対"の間違いではないですか?
Posted by knishii2156 at 2008年09月21日 15:37