2008年12月18日 01:30 [Edit]

身内には言えない「頑張ってるね」もある

うんうん、そうだね。

女はラクが出来て羨ましいらしいです。
許して欲しくて泣いてるんじゃないんです。愛し合って結婚したと思ってて、それなのに気持ちが通じなくて絶望してるんです。甘やかして欲しいんじゃない。理解が欲しい。
ただ「頑張ってるね」って認めて貰いたかった。

でも、そう言ってもらって、認めてもらったという気持ちになったかな?


私はある上場企業の役員をやめてから、一年半無色無収でオープンソースプロジェクトに没頭していたことがある。次女を授かったのはその頃のこと。私は「好きだから」を通り越して「それが必要だから」という理由でそれに没頭していたのだけど、妻は「何かに没頭している」はわかっても、「なぜ没頭している」かまではわからなかったはずだ。

それを理解するには、少なくともプログラマーでなければならず、そして彼女はプログラマーではない。

そんな妻に「頑張ってるね」と言われたとしても、私は喜んだだろうか。

いや、「君にわかるわけがない」とかえって拗ねてしまったのではないか。

しかし、そんな私も、そのプロジェクトの父である Larry Wall ご本人から、

otsukaresama deshita!

とメールが来たときには、それまでの苦労が全てふっとんだのだ。

その後、Larry Wall は二度も我が家の賓客になった。しかも二度目は夫婦で。

この時のインタビューの会場は、拙宅である。

この体験を通して、妻は少なくとも二つのことを得ているはずだ。

一つは、私が「何かに没頭していた」一年半は、たしかに「頑張っているね」に値することだという理解。

そしてもう一つは、Wall夫妻をもてなすことで、彼女が私のために「頑張っているね」ということを彼らを通して私に認めさせたこと。

残念かつ幸いなことに、一番うれしい「頑張っているね」は、身内ではなく同志のそれ。身内といえど、どう頑張ったかの理解は同志には敵わない。妻であることの理解は、自分の夫より他人の妻の方がうまい。母であることへの共感は、自分の夫や子より、他人の母のほうが上手。

しかしそれだけでは、ちょっと満たされない。「夫だけはわかってくれない」なんてことになってしまう。それを防ぐ一番の方法は、夫を理解している誰かを、夫には出来ない方法で理解することなのではないか。

あなたの不幸、それは(元)夫にばかり、そして父にばかり、共感を求めたことではないだろうか。

「同志を利用」することを思い立てば、その同志を通して夫や父と共感できたのではないだろうか。

かくいう私も、妻に「頑張っているね」と言われたくなる時は決して少なくないし、いずれは娘たちにもそう言われるようになりたいという願うようになるだろう。このあたりの痛痒感は

404 Blog Not Found:気が浮く瞬間
我が身を振り返ると、頭に浮気がよぎるのは、私が妻に「女としてのふるまい」を期待している時には母として振る舞われるという瞬間と、私が「男」としてものごとに当たっている瞬間に妻に「父としてふるまえ」と言われる瞬間だ。

と書いたのでここでは繰り返さない。

しかし、妻や娘たちには絶対わからない「頑張っているね」が確かにあり、そして彼女たちにも私には絶対わからない「頑張っているね」があるということも、今では知っている。このあたりのことは、娘たちの方がずっと器用なようで、彼女たちの母がわからない「頑張っているね」を見事に彼女たちは私からせしめる。もちろんその逆もまた真。そして長じれば、きっと「両親にはわからない」と友人たちに吹聴しているに違いない。その様子を妄想してほくそえんでしまう。

身内という共有結合を成り立たせるためには、他者という電子が必要なのではないか。

小飼弾のアルファギークに逢いたい?:#1 (株)はてな 近藤淳也・令子 × 小飼弾・直美(前編)|gihyo.jp … 技術評論社
直美:私は弾のブログで,長くて理屈っぽいエントリを読むとだんだん,朝まで延々と諭されてるのが蘇ってきてなんかもういい(という気になる)(笑)…。
弾:ブログを書くようになってから,あんまり朝まで生夫婦喧嘩っていうのはやらなくなったよね。

というわけで、家庭円満のためにも、今後とも本blogをよろしくお願いします>読者各位

Dan the Husband of One, Father of Two, Programmer, Blogger ....


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認めてもらえたという気持ちになる人もいるし、そうでない人もいる。で、引用先の人は、前者なのでその問い自体が意味をなさないと思う。前者のような人には、優しい嘘をついてあげることも必要だと思う。嘘でも良いので、頑張ってるねと一言がほしいだけなんだからさぁ。 ...
時には優しい嘘も必要かなと思う。【某氏のたわごと】at 2008年12月18日 22:24
人は習慣を好む、なぜならばそれを作ったのは自分だから。 バーナード・ショー ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 親とのコミュニケーショ...
直接理解が出来ない関係【12??増男のダイエット日記 はらすまダイエット編】at 2008年12月18日 15:51
個人的には、「頑張っているね」って言える可能性がある人が世の中に存在するだけでいい方だと思うのだけども。というこれから新しいことをしようとして、起業する人向けエントリー...
誰にもわからない努力と誰にも言われない「頑張ってるね」【芸人社長のブログ】at 2008年12月18日 02:54
この記事へのコメント
白人に褒められてよろこぶ奴隷根性
Posted by 夢は全米デビュ− at 2008年12月24日 06:31
自分で言うと
なんですから、
相手に言わせる。

相手が言わなければ
第三者に言わせる。

上等な、常套手段ですわ。
Posted by higekuma3 at 2008年12月21日 15:33
「ガンバレ」という言葉があまりに便利だから、他に適切な言葉を思いつけない人は多いと思う。自分もそうだ。日本人の「頑張って」は色々な意味に取れるからなあ・・・。
Posted by 殺ちて at 2008年12月21日 09:38
>リンク先の人は、単にコミュニケーションがほしいだけなのに。
>同じことばでも意味が違うことくらいわからないのか?

同意。ってか、リンク先の人、しっかりこのエントリに対して

>悩み相談に男性は『解決策』を求め、女性は『話を聞いてくれる人』
>を求める。そういった感覚の違いが、如実に現れたエントリーだった
>なと思いました。

って既に書いてるねw
まぁ別に、リンク先の人も自分を客観視できてるし弾氏もこういう
エントリ書いちゃうような人でも夫婦円満のご様子なので無問題
なんですかね。


Posted by かみおお at 2008年12月21日 00:04
やっかみが・・・がっかりで
蛸壺みたいな所に缶詰にされたりして(笑)、
今に至っているという、
プロセスがごっそり抜け落ちて、
上っ面しか見て無いからそうなるんだろうけど、
だからこそ、
「同志にしか分からない」というのは納得
Posted by しげ at 2008年12月20日 10:48
なら単にリンク先の人は寂しいと書けばよかった。
すくなくとも元コメントは
男社会に生きる理不尽をくだくだ書けば
そりゃ男は誤解する。
Posted by nt at 2008年12月20日 09:47
要するに、下の人間からねぎらわれてもムカつくけど、
自分が、認める上の人間から言われるならいいっていう
男の縦社会理屈の典型。
リンク先の人は、単にコミュニケーションがほしいだけなのに。
同じことばでも意味が違うことくらいわからないのか?
Posted by   at 2008年12月20日 00:52
「無色無収」に30秒くらい首をひねったじゃないかw
「無色無臭」……くらいまで間違えたら、たぶんほとんど誰も気づかなかっただろうに。
Posted by 無味無色 at 2008年12月19日 23:27
共感と理解がごちゃ混ぜになっていますよ。

それと、立場、心情が違う人間が理解し合うということは、基本、『慮る』ということ。そして『慮ってくれている』相手の、「理解に近づこうとしている」気持ちに気づけなければ、それは果たせないんじゃないかな。

夫婦円満でよかったねって思うけど、んーちょっと心配。
Posted by anone at 2008年12月19日 22:45
男と女は違う。男の考え方で相手(女)もそうだろうという思考がとても危険。
感謝してることは言わなくても照れくさいし、わかってくれているだろう
ということも、言葉に出して伝えなければ相手にとっては「ない」と同じことだよ。
たったそれだけのことで熟年離婚に至ることもあるんだし。
要するに増田は別に自分のがんばりを知らない人から頑張りを認めて貰っても喜ぶと思うよ。そんだけ。
そんなに難しく考えなくても女にとって頑張ってるね、とかは単なるコミュニケーションのひとつでしかないもの。
Posted by m at 2008年12月19日 20:26
Larry Wall自慢したかっただけですか
Posted by jk at 2008年12月19日 04:39
わかってる人に、わかってもらいたい。
Posted by peroon at 2008年12月19日 00:49
彼女が欲しい「頑張ってるね。」は、労いの言葉で
弾さんが嬉しい「頑張ってるね。」は、賞賛の言葉な気がしました。

どちらにしろ、このような行き違いで縁遠くなる男女間というのは哀しいものですね。
Posted by とおりすがり at 2008年12月19日 00:13
まったく同感です。

弾さんがラッキーなのは、Larry Wallが自宅に来たこと。
残念ながら、私のLarry Wallは自宅に来たことがない。
Posted by ひ at 2008年12月18日 22:41
人を介すというのは、たしかに力です。
理解したくない人に理解せよと言っても無駄ですし、
それより理解してしまう状況を作ったほうが早いですね。
他者の存在に気づくかどうか。そして他者とは自己でもあり。
Posted by しおしお at 2008年12月18日 21:44
はじめまして。
最近、私も娘が生まれたので下記がよく分かります!

>妻や娘たちには絶対わからない「頑張っているね」が確かにあり、
>そして彼女たちにも私には絶対わからない「頑張っているね」があ
>るということも、今では知っている。

Posted by yh1043 at 2008年12月18日 20:01
リンク先を見ましたが、この女性は人が言うことをいちいち気にしすぎですね。
人が言うことなんて適当に「はいはい」と言って受け流してマイペースに暮らせばいいのに。人が言うことをいちいち気にしてどうでもいいことまで頑張りすぎなんじゃないかな。
Posted by bob at 2008年12月18日 19:56
>そんな妻に「頑張ってるね」と言われたとしても、私は喜んだだろうか。
>いや、「君にわかるわけがない」とかえって拗ねてしまったのではないか。

いやいやいや、このヒネクレ者!(笑)
それとも照れ隠しかな?

そこはびしっと妻「頑張ってるね」弾「うん、これも君のためだよ」とか言うと、女性ってすごく喜ぶのにね。
女性にとって理屈は後回しな事が多いよ。
Posted by あらららも〜 at 2008年12月18日 19:02
>未来予知乙。
>みんな好きだね、没落する未来予知。
 
未来予知だからといって、全く的外れかというとそうは限らない。
 
むしろ、こういう話って何も無いところからポンッと出てくる話じゃなくて、元ネタのソースが必ずあって出てくる話だから、意外と当たったりするのよね。
煙の無いところになんとやらとはよく言ったものだ。

まぁ、そうなりたくないんだったら気をつけなさい。
Posted by 奥平剛士2 at 2008年12月18日 18:53
相変わらず他者との峻別を心で願いながら人が実行しているとくさすくねくねゾーンですね、ここは。

>>年取ったら娘夫婦に嫌われるのが見えますw
未来予知乙。
みんな好きだね、没落する未来予知。
Posted by 奥平剛士 at 2008年12月18日 15:05
何だか身の回りにいる名高い著名人引きずり出してきたり、最近は自慢っぽくなってきて嫌だなあ。本当に価値のあることは、別に著名人の名を出すことによって裏付けなくても、心に響くものですよ。
Posted by うおおおおぉぉぉ at 2008年12月18日 14:57
夫婦というのは生活の単位として「同志」ではないのでしょうか?
家庭を成り立たせている同志として、夫から妻ねぎらいは、仕事での同僚やクライアントからのねぎらいと同じことです。
引用された方は「がんばってるね」という言葉を選んだだけで、「おつかれさま」「ありがとう」「助かるよ」それでいいんですよ。
Posted by あとり at 2008年12月18日 14:37
>俺が出来るのになんで出来ない?

高校にも行かずに、年上の受験生に勉強教えてた弾氏が説教嫌いなわけがないw教え歴のキャリアは相当なモンです。

娘夫婦に嫌われるのは辛いかもしれないが、このブログに書き込む多数の赤の他人に嫌われるのなんか、屁でもないでしょ。
Posted by 俗人 at 2008年12月18日 14:29
弾さん、説教好きですか?
なんでも出来る人に多いタイプですね
俺が出来るのになんで出来ない?
グワァーそれはあなたが普通じゃないからですよw

年取ったら娘夫婦に嫌われるのが見えますw
Posted by 仁 at 2008年12月18日 13:41
普通そんなに分かり合えるものなんですかね。
Larry Wallのような理解者がこの世に存在したのは単に運が良かっただけなのでは。
高望みし過ぎな気がします。
Posted by DEKO at 2008年12月18日 13:33
職場が同じでなければ、
コミュニティが同じでなければ、
共有情報が少ないので。

普通のことですね。


戦友情報を、妻たちは共有できないですし、
子育てを妻にまかせっぱなしな夫も、共有できない。
Posted by higekuma3 at 2008年12月18日 12:49
s/無色/無職/
Posted by 通りすがり at 2008年12月18日 10:01
自分のやっていることに対しての感謝や共感の度合いが、そのやっていることに対して最も理解している人間の方が嬉しい、と。
そういうことでしょうが、おかしいと思います。
仕事のすごさや大変さをわかってほしいのなら、最も理解している人間で、というのは一理あるでしょうが、そういうことではないと私は思いました。

妻がいいたかったのは、生活という共同体を成り立たせている、あなた(夫)と「自分」に気がついて共感してほしいというもので、そこでは夫婦ではない他人に共感なり賞賛なりされても、別に嬉しくないと思います。
だって私がそうですもの。

あなたと私がここにいるのは、あなたと私がそれぞれの仕事をしているからですよ、ということ。
でも、夫の仕事のほうは仕事としてわかりやすくても、妻の仕事はあたりまえすぎて感謝すらされないんですよね〜ww
Posted by とうか at 2008年12月18日 09:00