2008年12月30日 12:00 [Edit]

2009年の仕事始めまでに読んでおきたい12冊

去年の2008年の仕事始めまでに読んでおきたいビジネス書x10に引き続き、今年もやります。

2割増強。4つのテーマに対してそれぞれ3冊づつ。


現状を把握する

まずは現状を認識するための三冊。明るいものは一つもない。が、まずは現状を直視してみよう。

この号から読み取って欲しいのは、いかに現状把握が難しいか、ということ。

百家争鳴もいいところで、まとまっていないこと甚だしい。笑ってしまうのは専門家による来年の予測グラフで、発情期のネコの小便のごとく上下に散乱している。

なるべく多くの各論を載せることで、判断は読者にゆだねている。こういうのもなんだけど、これは上手な匙の投げ方だと思う。


そのダイヤモンドの執筆陣の中でも、筆頭とも言えるのがこちら。週刊ダイヤモンドとは対照的に、こちらは主張が昔から首尾一貫している。

主犯・アメリカに、投機資金を供給し続けた共犯・日本。その代償として、これから未曾有の大不況が日本を襲う!
404 Blog Not Found:経済危機の現況を一冊で - 書評 - 世界経済危機 日本の罪と罰
確かに「悲鳴の大きさ」を危機の大きさと取り違えれば、これは事実だ。しかし国際的な国、企業、人がなぜ大きな悲鳴を上げることができるかといえば、それだけ痛みに敏感で、かつ健康だからだ。そうでないところというのは、悲鳴を上げる体力すらない。「ドメほど楽」というのは、末期がんの患者が、風邪で高熱を出した人を見て「大変ですなあ」というようなものである。

そして、日本の状況に関して一番重要なのは、こちらの認識。

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格差と希望

誰が損をしているか?
大竹文雄
404 Blog Not Found:診断は成った。問題は治療法だ - 書評 - 格差と希望 誰が損をしているか?
まずはグッドニュース。日本の格差問題に関する、決定的な診断書である。
続いてバッドニュース。この「病気」、進行ガンなみにやっかいだ。
日本の不平等』という学術書を〇五年に出版した私は、その格差論バブルの当事者の一人だろう。私の本の主張は、日本の所得格差拡大の要因は高齢化だ、という一番わかりやすいところだけが広く伝わった。
しかし、その副題は、日本が格差社会であることを否定したものではない。九〇年代までの所得格差の拡大は、高齢化の要因が大きいが、生涯所得の格差を表す消費の格差は九〇年代に既に拡大を始めていることを指摘した。
もう一つ私が主張したかったことは、現在が格差社会であるというのなら七〇年代や八〇年代の日本も格差社会だったのであり、「一億総中流」こそ幻想だったということだ。日本の所得格差が低く見えたのは、まだ所得に差がついていない若者の人口比率が高かったことが原因だったのだ。

理論を理解する

現状を直視すると、鬱になりそうではある。が、それを理解したところで理論にとりかかるとわかりやすい。

経済学の中で今最も注目すべきは行動経済学。そしてその行動経済学の本の中で最もおすすめなのがこちら。

404 Blog Not Found:予想以上に合理的! - 書評 - 予想どおりに不合理
来年が「やつらとおれたち」の時代から「われわれ」の年になることは間違いない。そういう年を迎えるにあたって、本書ほどふさわしい一冊はないのではないか。本書の最終章は、「無料のランチ」について語られている。もし我々が経済学的に合理的な存在だとしたら、「無料のランチ」などありえないが、しかしそうでないが故に、無料のランチはありうると著者は説く。

人に本来備わっている性癖を研究するのが行動経済学ではあるが、しかし人は人々となることで経済を発達させ、それが人々をより合理的な存在へと導いていく。

404 Blog Not Found:s/人/人々/g - 書評 - 人は意外に合理的
本書「人は意外に合理的」は、むしろ「人々は意外と合理的」とするべき一冊。なぜなら、人は合理的なゆえに経済を発達させたというより、経済をとおして人々となることによって合理性を高めていったということこそが、原題でもある The Logic of Life, 人生の理なのだということこそ、本書の根底をなしているのだから。

経済に限らず、理論というのは「どうよ」だけではなく「なんぼ」がわかった方がよい理論。そしてそれを理解するのに自分で検算してみるほどよい方法はない。それをやるのが、フェルミ推定。

404 Blog Not Found:Guesstimate! - 書評 - サイエンス脳のためのフェルミ推定力養成ドリル

というわけで、両書に関しては私の独断と偏見ばりばりの書評で本entryはあるわけだが、それをなるべく差し引いても、今の日本のビジネスパーソンに不足しているのは「100の難問」ではなく本書の方だと私は感じている。感じているので、

弾言」P. 109
「いいか悪いか」ではなく「ナンボ」で考える習慣をつけろ

と書いた。いいか悪いかはそのあとでも考えられるし、そしてその後の方が正答を得る公算が大きいからだ。


理想を掲げる

現況と仕組みをある程度把握したら、「どうするべきか」を大きく考えてみることにしよう。

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Audacity of Hope
合衆国再生―大いなる希望を抱いて
Barack Obama

「一極化の終焉」と言われて久しいが、それでもアメリカ合衆国大統領が、世界でもっとも強大な権限を有した為政者であることには変わらない。

その最も重要な仕事は、実現可能な理想を語り続けること。

その意味で、著者は就任前にすでに大統領だったとも言える。

404 Blog Not Found:The Prudence of Negotiation - 書評 - The Audacity of Hope
本書のタイトル"The Audacity of Hope"は、直訳すると「向こう見ずな希望」となる。しかしそれを敷衍するにあたって、著者は実に Prudent - 慎重だ。その慎重さはスピーチからも伺い知ることができるけれども、慎重な読者であれば、スピーチだけでは「だまされないぞ」とむしろ身構えるのではないか。
だから、あわてず、ゆっくり、熱狂に飲み込まれることを恐れずに著者との対話を楽しんで欲しい。一国の大統領と対話する機会なぞ滅多に来ないのだから。

その理想の中で、最も難易度と効用のバランスがよいのは、貧困の根絶ではなかろうか。

404 Blog Not Found:四半世紀後のために、今日読んでおくべき一冊 - 書評 - 貧困のない世界を創る
すごい人だとは知っていたつもりだったが、すごいを通り越してとてつもない人だとしか言いようがない。よって本書はスゴ本ではなく、トテツモ本である。

社会的な理想と、個人的な理想は、両立する。

404 Blog Not Found:Win ≠ Beat - 書評 - 史上最強の人生戦略マニュアル
おそらく自己責任論に対するためらいの最大の理由は、「自分が勝者となることは、他人を敗者にするだけのことなのではいか」というものなのではないだろうか。
確かにそういうゲームは少なくない。ゼロサムゲームにおいては、あなたが勝った分他の誰かが負けている。しかし、そういうゲームにおける「勝利」は"win"ではなく"beat"を使うべきなのだろう。"beat"は「勝つ」というより「打ち負かす」という意味の言葉である。
しかし、たとえば「人生の勝者」という場合の「勝者」はあくまでwinnerであってbeaterではないのだ。"beaten but winnning"というのは確かにありうる。そして"beating but losing"というのもまた。
勝利というのは、質量/エネルギーと違って、保存量ではないのだ。あなたが勝ったからといって私が負けるわけではないのだ。まずはそのことに気がついてほしい。

実践に学ぶ

現状を把握し、理論を理解し、そして理想を掲げてみても、実践がなければただの夢。それを正夢にしてきた人たちのことを知れば、必要以上に身構えずにすむ。

面白法人の名はだてではない。

この会社、本当に「利益の最大化」ではなく「楽しさの最大化」を経営理念にしているのだ。

それでいて、利益もきちんと上がっている。2008年度の売り上げ見込み9億円、経常利益9000万円というのは店頭やマザーズなら立派に公開できるレベル。下手に「利益の最大化」を狙っている会社よりよっぽどよろしくやっている。

カンパニー = 一緒に仕事をするとは一体どういうことなのか、改めて考えさせられる一冊。


しかし、仕事とは楽しいことばかりでもなく、しかし苦しいことでもなく、雑多な手続きの積み重ねでもある。それをどうこなしていくかもまた経営だ。

404 Blog Not Found:「ギーク本」の体裁が惜しい - 書評 - Eric Sink on the Business of Software
しかし、本書は決してISVの経営者のためのものではないのだ。およそ「小さなサービス業」であれば、本書の知見はどこでも応用可能であり、そして内容の広さ、濃さ、そして面白さにおいて、本書はこの一年で私が読んだSOHO指南書のトップなのだ。

そして、実際のところ職場で演じるべき役割は、二枚目ではなく三枚目であることがほとんどだ。二枚目な経営理念を掲げれば、なおのこと。

404 Blog Not Found:社会人必笑の一冊 - 書評 - 「社会を変える」を仕事にする
そもそも、著者が社会起業家となったエピソード自体が、穴があったら入りたいほどみっともない。なんと、著者は二度実家に泣きついているのだ。一度は起業の際に。そして二度目は「松永さん」第一号候補のリクルートの際に。カーチャンに泣きつくなんて、漢としては最もやりたくないことではないか。それを二度である、二度。
だからこそ、著者は社会起業家という立場を手にしたのだ。
「イタい」という表現がある。「痛い」に対して「見ていられないほど恥ずかしい」という意味で昨今使われるようになった言葉だ。実に言い得て妙な表現である。なぜなら、著者が言うところの「環境依存型の生き方」をしているものたちには、痛みはあってもイタみがないからだ。イタくなることを極度に恐れているか、自分のイタさに気がついていないかのどちらかかその両方なのだ。

まとめ:晴耕雨読

ものごとがうまく言っているときは、本なんか読んでいるより実際にやってみた方がいい。本を読まなくても上手く行くのであればそれに超したことはない。書を捨てて街に出るべきである。

しかし、なにをやってもうまく行かない時というのは確かにある。ベストを尽くしてもせいぜい「損失をまぬがれた」程度。損失が生じる選択肢しか残っていない....

英語で Rainy Days というのは、文字通り「雨が降っている日」という意味もあるが、「ものごとがうまく行かない局面」という意味で使われることが多い。その意味で、2008年というのは全世界的に Rainy Year だと言っていいだろう。特に10月からの「豪雨」はすさまじい。

こういう時こそ、読書ではないか。

「危機はチャンスだ」と言う。しかしチャンスというのは実に個性豊かで、そのチャンスと仲良くなれる人はそれほどいない。幸運の女神は人見知りすること甚だしい。しかしこれを「読書のチャンス」と捉えれば、これほど平等な機会が訪れたのは100年に1度かも知れない。

この機会を、お見逃しなく!

Dan the Bookworm


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105円で売られているこれでしょう。 在庫状況と「アマゾンから」売られているかどうかにご注意ください。 ELECOM CFC-01RD02 スリムCDケース(3枚パック)エレコム 2001-06-13売り上げランキング : 35055Amazonで詳しく見る by G-Tools 結構気になる本があった 2009年の仕
1400円台の本と一緒に買うなら【海洋性気候/これやこの】at 2009年01月02日 22:02
この記事へのコメント
ご紹介ありがとうございましたー!
Posted by yuitamada at 2008年12月31日 18:01
来年はもう少し早く紹介いただると、図書館でかりられるので助かります。
Posted by fuzitaca at 2008年12月31日 08:07
読んだのは、「予想通りに不合理」だけ。
後は、たぶん読まない。興味を引かないから。
それより、「積ん読」分を少しでもかたずけよう。
Posted by 風竜胆@本の宇宙 at 2008年12月30日 22:13
dankogai必死ですね。
Posted by 通りすがり at 2008年12月30日 17:52