2009年02月04日 06:00 [Edit]
唯一まともな社会保障本 - 書評 - だまされないための年金・医療・介護入門
大竹先生のお勧めで入手。
大竹文雄のブログ: だまされないための年金・医療・介護入門学習院大学准教授の鈴木亘氏の「だまされないための年金・医療・介護入門」という本は、社会保障がもたらしている世代間不公平の実態を明らかにしてくれる。
久々に弾言する。今後は本書は読まずして、社会保障について語るべからず、と。
それだけにハードカバー、1995円という価格設定が惜しまれるが、それだけの価値はある。いいすぎかも知れないが、社会保障費を滞納してでも読んでおくべき一冊だ。
本書「だまされないための年金・医療・介護入門」は、現在の日本の社会保障制度がなぜ持続不可能なのかを明らかにした上で、それを持続可能にするためには何をすべきなのかをきちんと語った、現時点では唯一の一冊。
「唯一の一冊」と言いきれるのには、わけがある。
目次 - 書籍 だまされないための年金・医療・介護入門 | 商品案内 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンラインを大幅追補
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まず本書の前半では、我々がどう「だまされて」いるかを、「だます」側の主張をとりあげつつ明快に解説している。「娘に語る年金の話」や「”年金破綻”は本当か??年金の誤解を解く!(1) | 社会・政治 | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン」(何たる皮肉)は完全に論破されていて、赤木智弘も多いに溜飲を下げるはずだ。
「だまされない」、すなわち現状をきちんと指摘しているという点においては、同じく大竹先生お勧めの「大貧困社会」も本書に勝るとも劣らない。本書ほど綿密な考察がない一方、要点はきちんと押さえられている上に、感性に訴えるという点では本書を一歩リードしている。
しかし、本書を「唯一まともな社会保障本」たらしめているのは、「ならどうするか」という対案にある。一言で言うと、それは賦課方式から積立方式への切り替えである。「大貧困社会」や類書が不十分なのは、賦課方式を捨てていないからだ。同様の主張は木村剛をはじめ過去になくはないし、私自身これまで同様の主張を繰り返してきたが、その具体的な方法と試算までなされている点で、本書は一歩前に進んでいる。
なぜ、賦課方式では駄目なのか。この点に関しては、大竹先生がまとめてくれている。
大竹文雄のブログ: だまされないための年金・医療・介護入門社会保障は世代間の助け合い、という言葉があるが、日本の制度は助け合いになっていない。一方的な負担だからだ。もらう方が、若い世代を十分に助けるのであれば、助け合いになるかもしれないが、現実の日本の制度は、若い世代から1960年以前生まれの世代への所得移転にすぎないのだ。これから高い経済成長が続けば、若い世代の負担はたいしたことがないかもしれない。しかし、過去20年間の日本経済の状況をみた上で、将来の日本の高い経済成長を確信できる人はどの程度いるのだろう。そんな不確実な話で若い世代は納得してくれるだろうか。社会保障による世代間の負担格差は、社会保障制度の大幅な改革がない限り、確定していることなのだ。2005年に生まれた子供たちは約3500万円の借金を最初から背負っているのである。
積立方式の利点は、なんといっても社会保障に対する少子高齢化の影響をゼロにできることである。「その代わりインフレの影響を受ける」という主張が散見されるが、むしろデフレの方が懸念事項になって久しいのはご存知のとおり。本書の価値は、積立方式への切り替えのみが「たった一つの冴えたやり方」と断言したところにある。
しかしそれは、本書の読後感をむしろより苦くしている理由でもある。本書にあるとおり積立方式に切り替えても、世代間不公平はゼロにはならない。年金世代がすでに受け取った分があまりに巨大だからだ。
世代間戦争 - 池田信夫 blog日本の財政は、世界最悪のねずみ講なのだ。
たとえだまされたことがわかっても、すでに支払われた分が回収できないという点においても、現状は史上最大のねずみ講なのだ。
そして、それにさらに追い打ちをかけるのが、改革の難しさだ。右の人口逆ピラミッドを見れば、本書の改革案がいかにまともでも、いやまともであればあるほど通らないという絶望的な気持ちになってくる。この点に関しては本書も「国民の社会保障問題への感心・理解こそが鍵」というのみで、事実上のお手上げ状態である。
「だまされていることは、皆もう知っている。しかしそれがわかったところで何になるというのだ」。そんな無力感は、本書を読むことでむしろ強まるかも知れない。それでも、「あとは実施あるのみ」まで練られた案があるのとないのとでは、ゲームを最初からやるのと最終ステージからやるのとぐらいの差がある。私も正直「ラスボス」の攻略法をまだ思いついていない。が、本書があればすぐにそこからはじめられる。もはや最初からゲームをやっている時間は、ない。本書というセーブポイントからはじめるべきなのである。
Dan the Taxpayer
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もしくは、きちんとお読みいただいてますでしょうか。
どなたか現行の賦課方式ってどんなもので、一方それに対する積立方式はどんなもので、なんで理にかなっているのかご説明していただけませんか?
この本を買わないってわけじゃないんですが、どう考えても鬱になりそうな本より宇宙エレベータみたく夢のあるテーマの本を読んでいたいもんで・・・・・すみません。
なんとか早いとこスペース・コロニーをつくって、社会保障制度が崩壊するころには、若い世代が宇宙で独立宣言するとこまで見たいもんです。
・積立方式とは若い現役時代に払い込んだ金を積み立て、老後にそのお金を受け取る仕組。
・賦課方式とは、働く現在現役の人が払い込んだ金を現在の高齢者に支給する仕組み。
賦課方式は「継続的な経済成長」と「若い世代が多い」という前提条件でのみ、まともに機能する仕組みってのは自明だよね。
で、第一印象なんですけど、
>積立方式とは若い現役時代に払い込んだ金を積み立て、老後にそのお金を受け取る仕組。
であれば、これってほとんど民間の入院保険みたいなもんみたいな気が・・・・・各個人で積み立てればの話ですが。
でも今起こっていることって、昔に比べて医療とかも進歩した代わりにコストははね上がり、寿命も延びて医療介護のお世話になる期間が長くなり、加えて自分が払ってきた税金や社会保障費以上にゴージャスなお手当てを要求するフリーライダーが増えてきたからまずいって話だと思っていたんですが・・・・・で、今の日本ってコストの高騰にもフリーライダーにも対策立てられてないですよね?積み立て方式に替えたところで結局この問題にぶつかりそうな気がします。将来日本がフリーライダーに厳しいコワモテ国家になれば別かもしれませんけど・・・・・
私は年金などは欠かさず払ってきてますが、自分がもらえると思ったことは一度もありません。
文句もなしに払ってきたのは親のため。この金は親の年金や医療費に化けているのだ、と自分を納得させているからです(だからそれ以外の親孝行は一切していない)。
おそらく親が死んだら払う気失せるだろうな…と思っています。
自分達はきちんと納めていたのだから貰う権利があるというレベルで留まっていて、世代間の需給バランスが問題だとは全く理解できていないはずです。
確かに、移行において過酷な改革になるかもしれない。
しかし、このまま賦課方式のまま続けることは悪化の一途を辿るだろう。
故に可能な限りソフトランディングになるように計画しなければならない。
また、保険料方式と税方式があるが、保険料方式が良い。
税方式は、税収を上げるための手法に使われる恐れがある。
それに、負担した人が負担に応じて受益を受けられる保険料方式が公平だ。
そもそも公的年金制度自体の必要性が問われるべきかもしれない。
年金運用で建てられたグリーンピアなどが二束三文で投売りではないか。
また、社保庁の杜撰な管理は嫌と言うほど見せられてきたではないか。
そんなデタラメな運用でどうやった年金を捻出できるというのか。
ローリスク・ローリターンで良いから、民間の方が良いのではないか。
ちなみに、年金について、積立方式が良いとか、保険料方式が良いとか、
ネットで言うと、なぜか、お役人的公務員的な論調で反対意見が出てくる。
年金に限らないが、日本は社会主義のような公務員天国になりかねない。
年金制度は複雑なので、自分でよく勉強しておかないと言い含められ易い。
自分の見解述べてからそういう感想言いましょうよ。
店に面した道路を通勤ラッシュの渋滞の中、会社に向かう負担者たちは信号待ちでそれを見て何を思うんでしょうかねぇ。

