2009年02月08日 23:00 [Edit]

大学運営がビジネスライクになった本当の理由

いつもの内田節なのだが....

大学はどうなるのか (内田樹の研究室)
しかし、大学に30年いてわかったことは、教育については「あらゆる教育プログラムが滑らかに進行し、学生たちの顔が知性と歓喜に輝いていた“教育の黄金時代”をもう一度甦らせよう」というタイプの「物語」が教育者を「やる気」にさせる上でもっとも効果的であるということである。

ふと「それではなぜ大学運営はビジネスライクになったのか」と考えたら、呆れるほど散文的な答えが出てきた。


tuition-1980-2005

それが、右のグラフ。1980年を100として、国立大学の学費、私立大学の学費、そして実質GDPがどのように推移したかを表している。元となった数値は以下から入手した。

一目見てわかるのは、大学の学費が、GDPの成長を終始上回る速度で肥大していったこと。経済規模も1.8倍になったけど、私立大学の学費は2.3倍、国立大学に至っては3倍になっているのだ。

これでは、そこに投資した学生や父母や保護者たちが、「ちゃんと元を取らせろ」という圧力をかけるのはは必然だというのは、大学生どころか小学生にもわかる理屈だ。

大学はどうなるのか (内田樹の研究室)
大学を存続させる力は「世間がなんと言おうと、こういう教育を行いたい」とつよく念じるモラルの高い教職員たちのオーバーアチーブである。

実際に起こったのは、オーバーアチーブではなくオーバープライスだった。高いのは教職員たちのモラルではなく、学費というオチだったわけだ。

しかしわからないのは、なぜ四半世紀前の三倍になったかということだ。それまでが安過ぎたのだろうか?それとも効用が三倍になったのだろうか?この春卒業予定の Class of 2005 は、 Class of 1981 の三倍「できる」のだろうか?

大学はどうなるのか (内田樹の研究室)
そうではなくて、「むかしはうまくいっていたのに、いつのまにすっかり堕落してしまった“教育の黄金時代”にもう一度還らなければならない」と考えるのである。

まずは学費を“教育の黄金時代”に戻したらいかがだろう。そうすれば、少なくとも「こんなに学費を払っているのだから、見返りをよこせ」という圧力は劇的に減るはずである。無料にしてしまえばなおよい。教育の出来不出来を価格の多寡で推し量ろうというインセンティヴもゼロになるのだから。

そういえば、米百俵ってどこいっちゃったんだろう?

Dan the Free Learner


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タイトルのように言われることが多い反面 日本の大学教育はレベルが低いというような話もあります。 もっともレベルというのは数字でどうのこうのはかれるものではないのですが 一般的には企業から見て即戦力 ではない。 世界的にランク...
日本は大学費用が世界一高い【ろーりんぐそばっとのブログ】at 2009年02月15日 20:48
減らないと思う。
世間がビジネスライクになった本当の理由【某氏のたわごと】at 2009年02月09日 03:45
内田さんの言ってることを擁護するわけではないけれど、小飼さんの言ってることもよく分からん、というのが私の本音。 確かに標準的な「需要-供給モデル」ではこのようなことが言え...
http://nayuta.info/blog/archives/49【更新頻度にムラがありすぎるなゆたにっき(やりなおし)】at 2009年02月09日 01:19
この記事へのコメント
>そういえば数物連携宇宙研究機構とか日本でもやってたような・・

こういうのは日本社会自体を「よそ者」にも、もっと開いたものにしていかないと大した効果はないでしょう。
どうせ期間労働者のポスドクか、サバティカルで旅行気分の研究者ばかりが主に来るんだろうし。
三国人が嫌いだ、いや〜よ〜ん、あっちいって♥
とかいってる輩が多い日本での成功は無理でしょう。
Posted by ノラ山ノラ男, PhD at 2009年02月17日 05:55
アメリカの大学政策事情|アメリカ大学教育の苦悩
http://ameblo.jp/yanatake/theme-10000710941.html
↑このサイトおもしろいですよ(既出かも)

アメリカの大学で実際に働いてる方が書いてるみたいです。

先日NHKの沸騰都市(笑)をみてて
シンガポールが国を挙げてバイオテクノロジーの研究施設をつくってて
全世界から優秀な教授を破格の研究費と待遇で集めているみたいなはなしでしたが
当然大学側もブランド力を保つため?優秀な教授をつなぎとめなければならないので学費は上げなければならない・・
みたいな流れがあるのかもって思いました

で今日の沸騰都市(笑)は『TOKYOモンスター』らしいです
日本もさっさと多足歩行型作業機械「レイバー(Labor)」 を完成させて
バブルの崩壊により計画が頓挫した「バビロンプロジェクト」を
国家の威信にかけて再構築しなければならない時がやってきたのだな
とおもった今日この頃であります

そういえば数物連携宇宙研究機構とか日本でもやってたような・・
村山斉先生が孤軍奮闘みたいな印象を報道で受けるのですが
周りはちゃんとバックアップできてるのか(スゲエ偉そうな物言いだな)
なんか心配です
あんまよく知らんですが



Posted by るぉー at 2009年02月16日 21:01
学費無料には賛成。
けれど日本が(主に親が)無料=お得=大学行け、みたいなノリにならないことを願う。
大学が学び舎ではなくステータスになってしまった現在ではありそうなことだ。

学ぶ気のない人まで大学に行く理由は、大学を出た方が給料高いから。出世できるから。
学歴神話が崩れて、大卒が魅力的なステータスではなくなって大学自体の人気が落ちれば、学びたい人だけが大学に行く健全な時代が戻ってくるんじゃないかな。
わざわざ青春の4年間を稼ぐこともなく無駄に使って大学で勉強するなんて、あいつは変わった奴だ、とか言われながら。
Posted by 黄金時代の鋳造方法 at 2009年02月10日 03:23
1.kmoriさんの一人当たり名目GDPについてのコメントに賛同

学費の伸びは一人当たり名目GDPの伸びと概ね比例しているようですね。国民が子供にかける教育費の割合はあまり変化していないわけです。

2.弾さんの学費無料化の提案にも賛同

学費を無料にすることに賛成です。少子化の最大の理由は、子供の教育費であるわけですし。

3.実需がある分野の学費は特に安くすべき

学費無料化は、実行上のハードルが高いと思うので、社会からのニーズが強い・求人倍率が高い分野の学費はから無料にする/特に安くするのがよいと思います。
労働市場の分野による需給ギャップの解消と、所得格差による受けられる教育ギャップの解消の2つに効いてくると考えます。


Posted by jun at 2009年02月09日 20:29
ていうか、どんだけ内田樹のことが好きなんだよ弾は。
そんなに意見が合わないなら読まなきゃいいのに
Posted by うっち at 2009年02月09日 19:21
大学進学率が、昔と今でぜんぜん違うんだから、ただ大学行くだけで元とれるわけないじゃん。

授業料の問題でいうと、大学行く人間の数の伸びに対して、税金を原資とする大学運営費や助成金の伸びが足りなかったら、それは授業料を上げざるを得ない。だけど、それはビジネスじゃなく、社会制度の問題じゃないと思うんだが。(あ、別に検証はしてません)

うっちーが言いたいのは、社会のなかにはビジネスのものさしで測れないものもある。ってことでしょ。
Posted by shinemon at 2009年02月09日 18:57
>>迷惑なコメントさん
>卒業論文もいらないよ
>もしその時点で老人になってても研究を始めると思うよ
卒論って研究や発表のやり方を学んだりする練習じゃなかったっけ?
もし老人になっていい研究をすることができたとしても、、
しっかり考察したり発表する能力がなかったら、
あのじーさん何か言ってるよ、ってことになる。
まあ似非科学扱いだわな。それでいいの?
そういうことに関して、誰かが教えてくれたり
チェックしてくれるタイミングがどこにあると?

という俺は今リアルタイムで卒論で死にかけているのであった……
Posted by 大学生 at 2009年02月09日 17:13
間違ったルールを疑うこともせず、ただ従って生きているなんて生きてるとはいえないと思います

by 図書館戦争
Posted by mi at 2009年02月09日 14:02
大学は必要だ、という前提を受け入れれば弾さんに対する反論もできるでしょう。でもなぜそれを疑わないのかが、一番の問題です。
Posted by 自分の頭で考える at 2009年02月09日 13:55
> しかしわからないのは、なぜ四半世紀前の三倍になったかということだ。

 それは公費負担が減ったからです。今や先進7カ国中最低水準です。

 しかも、(予備校や塾の費用を含めて)授業料以外の私費負担は伸びていますが、全体の費用は頭打ちで、税投入の減った部分を私費で補っているに過ぎません。

 米百俵の故事とは真逆の現実です。
Posted by rijin_md at 2009年02月09日 13:50
なんと壮大な実例なのだろうか。

内田さんはこの記事のような、お金を通してでしか大学を語れない人間を憂いでいるというのに、その悪例を見事に体現してしまうとは・・・

Perl の存在しなかった時代に戻れという唐突な提言が、まるで自己否定しているかのようで微笑ましいかぎりだ。
Posted by . at 2009年02月09日 13:15
人が多すぎるのが一番の問題だと思う。
Posted by じょん at 2009年02月09日 11:58
「学問」というもののあり方の曖昧さをこれまで存分に利用してきたのが出版と学校制度だと思います。「現代文」という科目に感じる違和感もあります。

みんな違和感を覚えていると思います。なぜ「〜賞」を受賞すると突然国の政策にモノを申すようになるのか、とか、優生学じみた発言をした人もいましたし、世界的な賞を受賞した人のなかにもトラブルをおこして辞めさせられた人がいます。評価基準が曖昧だから権威が物凄く強い。「〜賞受賞者」は神様扱い。

「お勉強」ならパソコンと図書館があればできるけど、「心を揺さぶる貴重な体験」は学校に通わないと得られないよ、っていう「脅し」を使って、エジソンの親みたいな教育を馬鹿にしたりする。

とにかく教育側の人はいかに自分の存在意義を訴えるかというバイアスが物凄く強く効いているので、まともに聞くことができません。
Posted by 研究 at 2009年02月09日 11:49
学費があがるのは必然、というコメントはわざとですか?

そもそも「大学の存在意義が怪しい」という疑問には

どう反論するのですか?
Posted by アカハラ at 2009年02月09日 11:30
「こんなに学費を払っているのだから、見返りをよこせ」という一般学生からの圧力が少なすぎるのだと思います。
自分で学費を払っている学生なら、もっとどん欲に支払った分の金を取り戻そうと勉強するはずです。学費を支払って受け取る商品は授業ですから、いい加減な授業や休講するセンセイを許すはずがないです。
Posted by さなえ at 2009年02月09日 08:08
内田さんみたいな、ロクに勉強もしてないのに専門外の事に対してトンデモ発言しまくるようなちゃっかり教員がたくさん居座っている状態では、大学が研究だとか教育だとか、本来の目的を見失ってしまっても仕方がないですね。
Posted by 大学は堕落の巣窟 at 2009年02月09日 07:56
高校2年生の冬、コタツで寝ころびながら
僕は思った
「俺が大学行っても、親に出してもらう金の元はとれないな。」と
Posted by あんじょりな at 2009年02月09日 07:06
大学教員の収入が異常に高すぎます。
内田さんのような優秀な方には見合っていますが
つりあわない人々が多すぎます。
研究費の名目で給料以外にもらえる金を
ほとんどの教員が不正に流用している。

さらにいえば、科学研究費という文科省の制度の
不透明さや無意味さを、早くマスコミが指摘して
瓦解させて欲しいと思います。
Posted by 加藤 at 2009年02月09日 07:04
経験的にいえば懐古主義の8割は単に進歩を諦めた人たち。妄想的な素敵な未来を描けないなら隠居してもらう方がいいと思う。じゃあ、どうするのって所を考えもしないで愚痴を言われてもね。
Posted by 774 at 2009年02月09日 06:54
まあ大学が多すぎるからしょうがないんですよ。
単に学生を遊ばせたり、教員を食わしたりする
機関ですからね、現状では。
少子化でいっぱい潰れてくれればいいんです。
Posted by うーん at 2009年02月09日 04:04
ダブルスクールとか、気が狂ってるよ、その言葉。
弁護士大学院も失敗したし。
権威とか功名心っていうのはいっつもこうなる。
看板を神とあがめるなんて本当にクソみたいな社会だよ

Posted by 迷惑なコメント at 2009年02月09日 02:11
とりあえず、学費と比較するなら1国全体の実質GDPではなく、一人当たり名目GDPを使うべきでしょう。
ただし、その場合でも1980年を100として2007年が196といったところですから1.8倍というのは大きくはずれてはおりません。日本がデフレだったのが効いてますね。他の先進国では3〜5倍ぐらいになっています。
学費が上がった理由はわかりませんが、少子化のため子供一人当たりにかけられる金額が上がったということはいえると思います。
Posted by kmori at 2009年02月09日 02:07
大学というもの自体がある時代に現れた単なる「風習」でした。
という風になってほしいな。

内田さんこそ、「いまあるものが将来もあると思うな」

という論法が好きだったはずだよ。

おそらく現代の大学のモデルとして、100年と少し前に始まった「大学」という仕組みは、もう宗教儀式みたいになっているよ

理系はもっと企業とくっついて混ざっちゃえばいいし
文系は個人でやりたい人がやればいい

博士のための博士なんて必要ないよ
Posted by 迷惑なコメント at 2009年02月09日 02:04
たぶん初めてコメントさせてもらいます。
教育にかかる(かける)費用を「投資」と考える立場からすれば、今の大学教育はジャンク債並に「儲からない」ように思います。大学出ても無職・ニート・・・当たり前。
「投資」「儲け」「お役所体質」などはいずれも教育にとって有害無益。少なくとも(学校法人や役所を除く)教師と生徒にとってはそうでしょうね。
Posted by UBSGW at 2009年02月09日 01:49
なんとなく高齢化社会って、必然的に権威主義的な社会になるような気がするよ。本当に怖いよ。
一番力がある人たちに都合がいい考え方が主流を占めるとそうなるよ。

だって「古いものは無条件にありがたい」んでしょ?
Posted by 迷惑なコメント at 2009年02月09日 01:41
なんというか、昔はやっぱり高度経済成長期で、みんなやる気もあったしねぇ。どんどん上を見て暮らしてたから、親からも生徒からもあんまり不満も出てこなかったんだろうけど、今はもうぶっちゃけ行き着くところまで行っちゃった感が出てて、どこに向いていけばいいかわからない人が増えたんじゃないかな。
体重100キロから80キロにダイエットするより、50キロから45キロに減らす方が大変だ。

便利で恵まれた環境が揃うにつれて、人間堕落していくだけだ。
Posted by shibata at 2009年02月09日 01:35
末は博士か大臣かという言葉があるけど、
学問が、好奇心ならぬ功名心によって腐っていくんだよ。
GOOGLE頑張れっていうしかないよもう。
この世界のありとあらゆる「垣根」が
ゼロになる日を願うよ
期待できるのは元気なガキんちょだけだよ
今に見てろよ偉そうなジーバー共よ!

Posted by 迷惑なコメント at 2009年02月09日 01:30
>そういえば、米百俵ってどこいっちゃったんだろう?

大学の運営スタッフがおいしくいただきました。
Posted by at 2009年02月09日 01:08
“教育の黄金時代”なんて本当に存在していたのかと、まずそこを突っ込みたくなるけどね。
いろんな意味で幻想を抱いているんじゃないかと、ロマンチストなんだろうか、ウッチー。。。
Posted by aaa at 2009年02月09日 01:08
「このごろの学生は大人しく講義を受けるんだなあ〜」

このセリフ、大学の先生は大好きです。

この言葉を自分は死ぬまで忘れません。

人を愚弄するのもいい加減にしろって思いました。

いや思ってます。今でも。吐き気がします。


Posted by 迷惑なコメント at 2009年02月09日 00:40
子供の数は減ってるんだから,親の負担は減ってるんじゃないかな?
Posted by 只野通 at 2009年02月09日 00:34
大学ってもう、わけがわからない。

大学って位置づけが中途半端すぎて、不満や疑問がいくらでも見つけられるし、逆にいくらでも反論されちゃう。

「こんな下らないことやって給料もらうな」
とか
「第二外国語なんてなんの役に立つんだ」
って言うと、
「何のために、なんて問うから君は駄目なんだ」
とか
「経験は目に見えないものだからこそ大切なのさ」
みたいな「上品」なことを言われる。

自分で興味があることがあって四年間ぶっ通しで色んなジャンルの本を読むので、それで卒業資格下さい。と言いたい。何で試験なんかやるのよ。
なんでズルとか抜け道とかチマチマした試験対策とかがあるのよ。いつまで義務教育は続くのよ。興味があることだけやりたかったら大学なんか行かないけど、でもそれはそれで損をするようにできているという社会らしいし。
卒業論文もいらないよ。研究したいことが見つかったら、もしその時点で老人になってても研究を始めると思うよ。でも、義務で論文を書くなんて本当に馬鹿げてるよ。自分が政治家になったら絶対に大学を廃止するよ。
だからこそ余計に、大卒優遇なんで愚の骨頂だよ。これまでに、世界中でどれだけの人がその理不尽にぶち当たってきたんだろうと思うと、ますます自分を含めたアホ大学生のアホ面を引っぱたきたくなって、発狂しそうになる。

もうやだこんなの。ああ深呼吸。
Posted by 迷惑なコメント at 2009年02月09日 00:11
そんなにはっきり答えが分かったのなら「呆れるほど散文的」って
形容はヘンでは?
Posted by 通りすがり at 2009年02月09日 00:10