2009年03月13日 07:30 [Edit]

教師が教わる生徒 - 書評 - 立石一真『できません」と云うな

著者より献本御礼。

404 Blog Not Found:収益力の経営 - ハーバード・ビジネス・レビュー2008.07
本誌に話を戻す。もう一つのニュースは、「立石一真ものがたり」がついに完結したこと。同記事で大前研一は「松下幸之助や盛田昭夫に匹敵」と評したが、120%同感。私としては立石一真をその上に置く。本記事を読んだ後は、故人の起業家の中では本田宗一郎の次に立石一真が好きになった。50を過ぎてから活躍し、90歳まで命を使い切ったというのもすごい。書籍化が待ち遠しい。

こう言っておきながら、書籍化を献本で知ることになるとは。恐々粛々。

しかし、むしろ来期にそなえるべき今こそ、読むのに絶好のタイミングだ。今の日本に最も必要な経営者像が、そこにあるのだから。


本書、「「できません」と云うな」は、Harvard Business Review 日本語版の連載にしていたオムロンの創業者、立石一真の伝記を一冊にまとめたもの。

目次 - Amazonより
ピーター・F・ドラッカーの回想
第1章 青雲の志
第2章 立石電機創業
第3章 倒産の危機、オートメーションとの出会い
第4章 プロデューサー・システム
第5章 夢のスイッチ
第6章 生い立ちと社憲
第7章 自動券売機、再婚
第8章 交通管制システム
第9章 CDと無人駅システム
第10章 健康工学、オムロン太陽電機
第11章 電卓の誤算
第12章 大企業病退治
第13章 人を幸せにする人が幸せになる

大前研一をして「松下幸之助盛田昭夫 に匹敵」といわしめた立石一真は、しかしその両名ほど知られているわけではない。これは創業した会社にしても同様で、社名は見聞きしたことはあっても、製品は知らないというというのが実情ではないか。え?「けんおんくん ならもってる」?、いやいや、それではオムロンを知ったことにはなりません。

しかし今の日本に求められているのは、世界中で誰でも知っているプロダクトを世界中で作って、世界中売る会社よりもむしろ世界中に知られているけど、プロダクトをよく知っている人が指名買いするプロダクトを作っている会社であり、そしてそうした会社を作る経営者なのではないだろうか。

なんといえばいいのか。「キャラ立ちした会社」とでも言おうか。主役である必要はない。しかしその人がいなければ劇が成り立たない、そんな会社。京都には、なぜかそういう会社が多い。そしてなぜか名前が地味である。島津製作所村田製作所堀場製作所。オムロンもかつては「立石電機」だった。はてなはどうなのだろう。

そうした「京式」企業の代表格がオムロンであり、そしてその経営者として代表格なのが立石一真なのである。本書を読む理由としてこれ以上の説明はいらないはずだ。

一つだけ付け加えるとしたら、「京式」企業の経営者はいずれも「教師が教わる生徒」であるということ。「教師に教わる生徒」ではない。ドラッカーも大前も、立石の「教師」であった。しかし教師たちが教わる以上に、立石は自らが学んでいく姿を通してむしろ教師たちに教えてきたのである。まさに教師冥利につきる生徒といえよう。堀場雅夫にもそれを感じる。

立石がすごかったのは、それを五十代からはじめたこと。それも余裕がある時ではなく会社も家庭もどんぞこの時にである。余裕があるから学ぶのではない。学ぶことで余裕が出来てくるのだ。本書を読むとそれがよくわかる。

五十歳の立石に出来たことが、戦後63年の日本に出来るだろうか。ちなみにここで言う「戦後」は「京式」にあらず。それだと応仁の乱から起算ということになってしまう。

もしそれが出来るのであれば、日本の将来も捨てたもんじゃないのだが....

Dan the Admirer Thereof


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書評リンク - 「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真
「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真【書評リンク】at 2009年03月15日 06:37
?? 相対性理論を楽しむ本 ?? 相対性理論にしても、量子論にしても、まずはニュートン的な時間や空間の概念を壊さなければいけません。そういうところが、一番難しいところで、説明に...
相対性理論を体験しよう!/相対性理論を楽しむ本/書評【Kuwako-Lab.com】at 2009年03月13日 19:31
この記事へのコメント
断る力
Posted by かつm at 2009年03月13日 15:15


いまの日本がすべてのポジティブシンキングの
反証になっちゃってるわけだが・・・・


Posted by おかめ at 2009年03月13日 12:57
名前の由来を知って、御室にあるからオムロンってもの安易すぎると思ったものです。
Posted by akira at 2009年03月13日 08:47
任天堂も冷静に見ると地味な名前だよね。
Posted by なお at 2009年03月13日 07:48