2009年05月02日 16:30 [Edit]

たった一つの冴えたやり方@IT - lingr to stop lingering

まずはおつかれさま>kenn & the Gang

LingrとRejawサービス終了のお知らせ:江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance - CNET Japan
5月末をもって、LingrRejawの両サービスをシャットダウンすることになりました。いずれのサービスも、すでに新規サインアップは受付停止済み、5月15日までユーザデータのダウンロード依頼を受け付け、5月16日からは新規発言ができなくなり、5月末の完全停止までの間にデータをダウンロードしていただく段取りになります。

いや、「おつかれさま」は「日本人の知らない日本語」によれば目上から目下へ使う言葉とのことなので、「お疲れの出ませんように」と言い直すことにしましょう。


それでは、何が問題だったのか。

しかし一方で思うのは、4人というのはやはり大所帯だったということです。アーキテクト・デザイナ・クライアントという専門には重複がなく、これにアーキテクチャとデザインの両方を見られるマネージャであるぼくを加えて4名なら、適正な少数精鋭と言えると思っていました。しかし、これは決して「少数」ではなかったのです。

たしかにこれも重要な原因ではある。しかし真因ではないのではないか。

kennのおかしたたった一つの失敗、それは泥棒を捕まえる前に縄をなってしまったことではないか。

IT業界、特にWeb業界が他の業界と最も異なるのは、泥縄が失敗の理由ではなく成功の理由だということにあるのではないか。

IT業界でうまく行った事例を、ここで改めて思いおこしてみる。

  • mixiはかつて株式会社イー・マーキュリーの片手間事業で、中核事業は求人情報サイトFind Job !だった。greeも似たようないきさつで今に至っている。
  • ニコニコ動画が自前で動画をホスティングするようになったのは、YouTubeにアクセス禁止を食らってから
  • Twitterでかつて一番よく目にしたのは、つぶやきではなくサービス停止中を示すネコの写真(今はトリの絵)。

必要になる前に手を打つのではなく、必要になってから速攻で縄をなう。ヒトもカネも、そして会社というヴィークルさえも、必要になってから調達する。これが、どうやらIT界の成功法則のようである。

これはある意味、熟練度が高い人ほど、そして誠実な人であればあるほど、不快で不愉快な設定である。熟練度が高ければ高いほど、「それをやるのに何が必要なのか」がよくわかるようになり、そして誠実であればあるほど「必要なものがない」状況を許しがたく感じるのだから当然といえば当然である。kennがはまった罠は、まさにこれだったのではないか。

もちろん[あとでやる]だけでOKというわけには行かない。縄は先ではなく後でなわなければならないが、しかし縄が出来たころには「泥棒」は逃げてしまったというのでは話にならない。必要になった時にいかに速く縄をなうかが、この世界で生き残れるかどうかを決める。思い起こせば私自身、オン・ザ・エッヂにとっての縄だった。入社して上場まで六ヶ月、うち半分がデータセンターの構築。この世界で要求されるのは、泥棒が逃げる前に縄をなうだけのスピードである。

紹介が遅れてしまったが、献本いただいた「キャパシティプラニング」は、定性的にしか理解されていないこのことを、定量的に書いた名著である。プロヴィジョニングでお悩みの方は必読である。

それでもなお「泥棒を捕まえる前に縄をなうな」という教訓はそれにも増して重要に思い、そして感じる。キャパシティプランニングを、過負荷を経験する前にやってはならない。過負荷を未然に防ぐのは、技術者の誉れではあるが経営者にとっては恥にすらなりうる。むしろそれは、「過負荷になるほどの人気」という絶好のニュースにすらなるのだ。実際私はある過負荷サイトを reverse proxy を駆使して3分で止めたことがあるのだが、ニュースでは「30分不通」となっていたっけ。

それで、上記のようなもろもろで何を言いたかったかというと、この分野では「企業の競争相手が個人になる時代は目の前まで来ている」ということです。

これは、双方を経験した上での私の実感でもある。というより私は15年前からこの時代に突入していたことをいまさらながら実感する。小さすぎて企業が収まらない水たまりも、個人であれば立派なブルーオーシャン。大きな海だけ見るとまっかっかに見えるけど、こういう水たまりはまだいくらでもある。そしてそれはITに限ったことではない。

泥棒、いや運命の女神がいたら、その場で捕まえよう。縄とかプレゼントとかは、後回しで構わないのだから。

Dan the Lazy Provisioner


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この記事へのコメント
s/キャパシティプラニング/キャパシティプランニング/
Posted by monmon at 2009年05月26日 14:08
このタイトルを間違えてるうちはSF好きといっても説得力がないかもですよ。
Posted by AC at 2009年05月08日 16:23
「マーケティングの成功事例=窮鼠猫を噛む」
なんて思い付きと、ゆるやかにリンクしたような気がします。
Posted by 課長007 at 2009年05月05日 17:35
SFネタですか。
Posted by ふうん at 2009年05月03日 13:00
原典は、コーティーはいろいろなやり方の中から「たった一つ」しかない
「冴えたやり方」を選びました、という悲しいお話だったよね。
Posted by あの作品は名作だよね at 2009年05月03日 07:30
「たった一つの」は「冴えた」と「やり方」のどっちにかかっているのか。
Posted by どうでもいいけど at 2009年05月02日 23:27
単に、当たったサービスは多少事前に縄をなっていても泥棒が来すぎて足りなくなるってだけじゃないですか。
逆にいえば、単にLingrは当たらなかっただけ。
Posted by naruse at 2009年05月02日 21:03
「日本人の知らない日本語」で「目上から目下へ使う言葉」とされているのは、
「おつかれさま」ではなく「がんばれ」ですよ。
以下、同書39ページより。

目上→目下「がんばれ」
目下→目上「お疲れの出ませんように」

目上→目下「ご苦労さま」
目下→目上「お疲れさま」
Posted by Nobi at 2009年05月02日 18:44
>いや、「おつかれさま」は「日本人の知らない日本語」によれば目上から目下へ使う言葉とのことなので、「お疲れの出ませんように」と言い直すことにしましょう。

「ごくろうさま」は目上から目下へっての言われたことがありますが、「おつかれさま」については初耳ですね。
Posted by kagahiro at 2009年05月02日 17:27