2009年05月07日 16:45 [Edit]

軛をChokin! - 書評 - 年収200万円からの貯金生活宣言

ディスカヴァーより献本御礼。

売れている本なので、ついつい書評を後回しにしていたら、今度は著者ご本人から献本が。というわけで「借金」を「貯金化」することに。

もし本書が、ただの「貯金本」だったら、何冊献本されようがスルーすべきなのだが、幸いなことに、本書はそうではない。1,260円の本書は、定期預金一ヶ月ものの現在の金利から逆算すれば、126万円以上貯金してはじめて「元が取れる」ということになるが、本書にはその10倍の「価値」をもたらすと保証できる。

ただし、きちんと読んで実行した上での話、であるが。


本書「年収200万円からの貯金生活宣言」の「真題」は、「いかにして貯金するか」ではない。「今、金につかわれているあなたが、いかにして金をつかう側に回るか」なのである。

書評が遅れたお詫びをかねて、今回は目次はDiscoverのページにまかせ、代わりに貯金力チェックテストを実装してみた。

  1. レシートはもらわないし、中味も気にしない。
  2. 特売品を買おうとお店に行くが、他のものも買っている。
  3. クレディットカードのキャッシングで、貯金を「下ろす」感覚になったことがある。
  4. 誘われたら、お金がなくても付き合う。
  5. バーゲン品は買わないと損だと思う。
  6. クレディットカードが使える場面では、現金は使わず迷わずカード払い。
  7. 100円ショップで大量に買い物してしまう。
  8. 時間は守るつもりだけど、よく遅れる。
  9. 冷蔵庫や玄関は汚い。
  10. 老後と明日。より心配なのは明日のほう。
  11. お金を貯める努力は、恥ずかしいことだと思う。
  12. ケチと節約の違いが分からない。
  13. 夫婦の場合、妻が家計のやりくりをしているのは当然だと思う。
  14. 「何とかなるさ」と思うことが多い。
  15. 風水や水晶、印鑑などのグッズが好きだ。
あなたの貯金力:

いかがだっただろうか。ちなみに以下が私の結果である。

  1. 自営業者でレシートをもらわないというのは、自滅業者である。
  2. それ以前に「特売品を買おう」という発想がない。必要になるまで買わないし、買うときにはためらわない。
  3. クレディットカードのキャッシングは使ったことがない。
  4. そういう状況に陥ったことがない。
  5. 必要のないものはただでもらっても損である。
  6. これはYES。理由は後述
  7. そもそも100円ショップにはあまり行かない。
  8. 自堕落な私が唯一勤勉で及第がとれそうなのが、これ。
  9. 冷蔵庫はちょっと汚いかな。
  10. どっちも心配していない。
  11. お金を貯めぬ浪費力は、恥ずかしいことだと思う。
  12. 下記参照。
  13. 我が家ではやりくりは夫の仕事。
  14. 「何とかするさ」と常に思っている。
  15. 水晶?ああ振動子のことね。

90点。こういうのも何だが、「満点」よりも点数が高いと自負している。また、このチェックリストに100点がないのは、それを見込んでのことだと思われる。

話を貯金だけに限るのであれば、本書はおろか本などいらない。以下の「ラディカル貯金法」だけ実行してしまえばよい。

  1. まず収入の25%を分けておく。
    1. 住宅ローン以外の借金があったら、その25%を全て返済にまわす
    2. なければそれを全て貯金し、貯金したことを忘れる。

これだけだ。別に私の独創ではない。たいていの貯金法は、これの亜種にすぎず、本書の貯金法もそこには含まれる。これすら実行不可能だとしたら、さすがに収入が少なすぎるということだ。しかし本書のタイトルにある通り、そのラインは年収200万円。え?「たった200万じゃ貯金なんてムリ」?そういうあなたのために本書がある。

で、最初の設問である。なぜ126万円すら貯金できないあなたが、1,260円も出して本書を入手するべきなのか。

金というものの軛から、あなたをChokinするためである。

貯金という行為で得られるのは、金だけではない。いや、「それ」に比べた金などものの数ではない。貯金を通して得られるのは、「金銭感覚」という、生まれつき備わっていないに関わらず、現代人にとってもっとも必要とされる感覚であり、そして「金を使う側にまわる」という、自由なのだ。

自由には、「溜め」が必要である。その重要性は、「反貧困」の湯浅誠も力説している。

「反貧困」P. 78
"溜め"とは、溜池の「溜め」である。大きな溜池を持っている地域は、多少雨が少なくても慌てることない。その水は田畑を潤し、作物を育てることができる。逆に溜池が小さければ、少々日照りが続くだけで田畑が干上がり、深刻なダメージを受ける。このような溜池は、外界からの衝撃を吸収してくれるクッション(緩衝剤)の役割を果たすとともに、そこからのエネルギーをくみ出す能力の源泉ともなる。

その「溜め」を社会的に希求しているのが「反貧困」の「真題」であり、私もそれに同意はするのであるが、しかし社会が「溜め」を築くのを待てる人は、皮肉にもすでに人一倍「溜め」を持っている人でもあるのだ。そうでないあなたは、自分で「溜め」るしかない。

そう深刻がることはない。数ある貯金本の中で本書が頭一つ抜けているのは、「楽しんで溜める」ことにあるのだから。そう。貯金というのは、実に楽しく愉しい行為なのだ。上の「ラディカル貯金法」は、それなしに愚直に実行するにはきつすぎる。それをきついと思わない人は、本書を必要としないだろう。

そんな愉しい本書で、ほぼ唯一著者の口調が厳しくなるところがある。

下流の子は下流ではありません。格差も世襲などしません。
「そうとらえて今、努力しているかどうか」なのです。

本書の結びである。Can't agree more.

まずは「溜めて」欲しい。貯金とはただ金を貯めることではない。未来の自分に、より多くの自由を与えることなのだから。

Dan the Penny Saver

追記:クレディットカードの件であるが、私は一回払いしか使ったことがない上、決済は引き落としではなくネット口座からの振込である。そしてなるべく支払いをそちらに集約している。支払い金額の75%はこうしてカードに集約されるので、カード明細を見るだけで家計簿の概要がわかる。クレディット(信用)払いさえしなければ、カードは貯金の強い味方ともなるのだ。

追^2記:図書代は浪費か投資か。私はあえて「浪費」ととらえている。効用を数値化できないというのがその理由なのだが、読書というのは数学に似て、いつどんな風に役立つかわからないが、ひとたび役立つことがわかるととんでもなく役立ってしまう。やはり投資に分類した方がよいのだろうか....


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読了年収200万円からの貯金生活宣言横山 光昭目次あなたはどれぐらいあてはまる? 貯金力チェックテストはじめに1章 使わないお金を増やすことから始める収入アップどんな人でもお金を貯められるゴールデンルール貯金下手こそ貯める仕組みづくりまずは貯める理由をハッキリ
[本]年収200万円からの貯金生活宣言【Bugle Diary】at 2012年09月02日 15:21
404 Blog Not Found:軛をChokin! - 書評 - 年収200万円からの貯金生活宣言
404 Blog Not Found:軛をChokin! - 書評 - 年収200万円からの貯金生活宣言【】at 2012年01月22日 14:15
「とりあえずお金を貯めろ」ミュージシャン、アスリートの言葉に学ぶ仕事魂 http://careerzine.jp/article/detail/817 「とりあえずお金を貯めろ」といの..
スガシカオさんの言葉「とりあえず金を貯めろ」【Stay Hungry, Stay Foolish】at 2009年10月16日 00:34
売れているそうです。この本 「年収200万円からの貯金生活宣言」 そうかぁ。いつの間にか200万っていう金額が 主流になってきたんだねぇ。(笑 本出そうかなぁ?。(爆笑 (そこの傾きかけた出版社さん。オファーお受けします。) 題名 「年収200万からの200万...
200万が主流なの?。(年収200万円からの貯金生活宣言)【200万で家をつくろうと思った】at 2009年05月09日 12:07
この記事へのコメント
貯金は、
近くのみんなが、遊んでいる時に、
自分だけ、
必要に応じて、遊ばない決断ができるかどうかですね。

大学の卒業が決まって、
1)借金して海外旅行に行く。
2)社会人になってからの活動資金のために、2ヶ月、日夜バイトする。


この、どちらを選択するか。とかで、
既に、決まってる感じはするね。


だから今どきは、
当該の本を、
6ヶ月待って、図書館で借りる。

なのでは?
Posted by higekuma3 at 2009年05月08日 03:02
個人的には、
月収20万からのお金持ち講座―覆面部長の「貯める・増やす・儲ける」12カ月プログラム
がお薦め。
Posted by KKMM at 2009年05月07日 20:48
2008年7月30日の記事への提言

彼女は個人の問題ではなく社会構造としてのゆがみを指摘しているのに対し、小飼弾さんは感情で反応しているだけのような気がする。「高偏差値大学の卒業生というのが、その時点では「人が作ったゲームの高得点者」に過ぎないということがある。」という社会構造がおかしいと彼女は言っているのである。日本の教育システムがなぜ作られたゲームで高得点を取ることに価値を置きそれに大半の国民を没頭させるのか、という社会構造の問題である。それは彼女の弾氏への反論を見れば明らかだろう。その趣旨を正確に理解できていない。感情で反論している。大半の読者には受けがいいんだろうけど。実務でバリバリやってきた人が陥りがちな「自身の経験」至上主義。
「頭がどれだけ優秀か、というのは、どれだけのことを自分ごととして頭がとらえられるか、ということ。裏を返せば、それをどれだけ社会ごとという名の他人ごととして頭がとらえるかが、バカの度合いということ。」これは社会問題を議論する以外の状況において非常に大事であると私も思うとあえて言っておくが、社会問題を論じる際、結果自己責任論を押し付けてしまう要因、源泉になっているのだろうと私は思う。皮肉なことに。
たとえば「反貧困」湯浅誠では貧困が自己責任論に回帰されてしまうのは、貧困を生みだす要因を正すことにつながらない、という趣旨のことを述べている。この本でも自己責任論を押し付ける代表格としていつも登場するのは実務家の人たちであった。皮肉なことに自分はどんなにつらい時も奮い立たせてやってきた、という想いがその基礎的条件すら有してなかった人にもできるはずだと自己責任論を押し付けてしまうのである。


Posted by 2008年7月30日の記事への提言 at 2009年05月07日 18:59