2009年05月31日 18:30 [Edit]

日本を変えたければ、あなたが変われ - 書評 - 働き方革命

筑摩書房松本様より定期便にて献本御礼。

また、著者ご本人から丁寧なmailをいただいた。にも関わらず紹介が遅れてしまって申し訳ない。

結論から言うと、本書は今まで私が読んだ中で、最も共感しやすかった「ライフハック本」であり、ライフハック・サクセスストーリーである。


本書「働き方革命」は、「「社会を変える」を仕事にする」の著者が、今度は自分を変えてみた物語。

目次 - 筑摩書房 働き方革命  ─あなたが今日から日本を変える方法 / 駒崎 弘樹 著にもDays like thankful monologue
病児保育のNPO法人フローレンス代表 駒崎弘樹のblog: 新書予約受付開始!「『働き方革命』あなたが今日から日本を変える方法」
にもなかったのでAmazonより
序章 なぜこのような本を書かざるを得なくなったのか
第1章 自分は働くことで、誰かを壊している?
第2章 自分のライフビジョンて、何だろう?
第3章 「働き方革命」の起点―仕事のスマート化
第4章 「働き方革命」でたくさんの「働く」を持つ
第5章 「働き方革命」が見せてくれた世界
終章 「働き方」を革命し、日本を変えよう

本書を「最高のライフハック本」たらしめているのは、「限りなく三枚目に近い二枚目」という、著者のキャラ。「すごい人」にはかえって出来ない、「こんな私でも出来たのだから、あなたにも出来るはず」というメッセージを、著者であればすんなりと伝えることが出来るのだ。

404 Blog Not Found:社会人必笑の一冊 - 書評 - 「社会を変える」を仕事にする
これを読むと、なんてかっこいい、二枚目なキャリアだ、と思うが、とんでもない! 起業者自叙伝はオンラインオフラインに溢れかえっているが、著者ほどの三枚目キャラ--少なくとも三枚目であることを包み隠さず綴った自叙伝は空前ではないか。

本書では、これにさらに磨きがかかっている。一カ所だけ引用しよう。飛行機の中で著者がTodoリストを作っている時の描写だ。

P. 70
 隣の席に座っている外国人が僕のPCを見てやしないか確認する。よし、この外国人は『スパイダーマン』に夢中で、僕のことは眼中にないようだ。危ない危ない。
 次は、恋人とのことを書こう。日本で(たぶん)待っている彼女とは...
  • 恋人とあるいは妻と、日々愛情が深まるような関係性を構築している。常に心の恋人であり親友であり、彼女に与えることで自らが充足を得られているということに、心から満足している
  • 恋人あるいは妻も仕事を持ち、また同時に互いの自己実現を支え合えるよう、私は家事や育児にも関与し、それを楽しんでやれる自分に、とても気持ちがよい。

うわ、やっちゃったよ、自分。これは恥ずかしい。これ、日本人でこんなこと言ってるやつ、いないわ。自分が秘かにこんなん思ってたなんて、なんてメンヘルな野郎なのだ。

そういう著者だからこそ、「やっちゃったよ」と恥ずかしがらずにはいられない、「ふつう」の「あなた」にも届く声を持ったのだろう。

同じ「働き方」でも、相手が稲盛和夫だとこうは行かない。こちらも献本御礼。こちらはこちらで、すごくなかった著者がいかに強くなったかを力強く語った良著なのだが、それでも「わたしにも出来る」と感じさせるには、京セラの創業者という経歴がむしろ邪魔をする。「すごい著者だ」という感慨を抱くのが容易であればあるほど、「じゃあおれも」という気持ちはむしろなえてしまうのではないか。

その点、著者の身の丈はちょうどよい。すごくすぎず、すごくなさすぎず。だから三枚目が見事にきまる。これが名前が売れすぎた人だと、「それって演技だよね」と見られずにはいられない。

本書で一つ嬉しいのは、今回は太字強調が一切なかったこと。

404 Blog Not Found:社会人必笑の一冊 - 書評 - 「社会を変える」を仕事にする
一点だけ難点を言うと、重要な語句を大きなフォントにしていること(引用部にもそれを反映させてある)。これは読者に易しいかも知れないが優しくない。最近のTVの過剰字幕もそうだが、これはやりすぎると逆効果だ。これでは折角の著者の文章力を殺しかねない。読者だって「著者はこういうことを言いたかったのだ」ということを自分の目と頭で引き出したいのだ。本書には補助金がかえって病児保育を殺している実態が出てくるが、文字の強調が補助金に相当することがわからなかったのだろうか。

前著の教訓をきちんと活かしているのだ。

強いてケチをつけると、書名だろうか。「働き方革命」ではかえって読者が引いてしまうかもしれない。副題の「あなたが今日から日本を変える方法」を主題に持ってきてもよかったのではないか。

いずれにせよ確かなのは、一握りのスーパーヒーローには日本は救えないということ。マスメディアではあいもかわらずヒーローに見えそうな人を見つけては、「そうではなかった」と落としているが、いいかげんそんなんでうまく行くはずがないことに、日本人は気がつくべきだ。日本を救えるのは、今これを読んでいるあなたしかいないのだということに。

もういいかげん、たたかうあいつを嗤うのはやめようじゃないか。

Dan the Self-Helper


この記事へのトラックバックURL

この記事へのトラックバック
朝7時に出社して、夜中の1時に会社を出る生活。 ほんの数年前まで、僕はこんな生活が当たり前だった。 次々と舞い込む仕事をこなす自分が好きだったし、何もない状態になるのが怖かったのだと思う。 著者の駒崎さんもNPO立ち上げ当時はまさにこんな状態。 いや、ご自身...
【書評】働き方革命【ビジネス書で「知」のトレーニングを! ?? 知磨き倶楽部】at 2009年10月07日 14:01
働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)(2009/05)駒崎 弘樹商品詳細を見る  【 目 次 】  序章 なぜこのような本を殮.
働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 駒崎 弘樹(著)【Makeup Life! メイクアップ・ライフ!】at 2009年09月05日 13:18
TOEFLに限らず、その他の試験や仕事、日常生活においても重要なポイントというものがあります。 そして、試験を対象にした場合、もっとも重要なポイントとなるのが、『採点基準』であることは明白です。 そのポイントを知っているか知らないかで、同じ実力でも結果...
TOEFLを攻略するためのポイント【TOEFL攻略大全】at 2009年06月21日 03:03
「働き方革命」を読んで思ったことなどいろいろと。 働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書) 作者: 駒崎弘樹 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2009/05 メディア: 新書 著者の駒崎氏とはその昔彼がSFCで学生ベンチャーやってる頃*1に交流があり、NPO
[エンジニア][Lifehack]開発エンジニアの「働き方革命」【とあるモバイル系エンジニアの日々】at 2009年06月16日 00:34
ヒーローに見えそうな人を見つけては、「そうではなかった」と落としているが、いいかげんそんなんでうまく行くはずがないことに、日本人は気がつくべきだ。日本を救えるのは、今これを読んでいるあなたしかいないのだということに。http://blog.livedoor.jp/dankogai/archiv...
閾値を超えるまでの勝負【新田ヒカル公式blog 225先物「投資の真理」】at 2009年05月31日 19:38
この記事へのコメント
すばらしい本でした。

>そういう著者だからこそ、「やっちゃったよ」と恥ずかしがらずにはいられない、「ふつう」の「あなた」にも届く声を持ったのだろう。

まったくその通りでした。
僕自身が彼と同世代だからというのもありますが、
共感しやすい文章立てになっていて心に響きます。
語り口調なので、小説のように読み進められました。

ストーリーで共感を呼ぶ。
作り方もしっかり練られていると感じました。

>たたかうあいつを嗤うのはやめようじゃないか。
たたかわないやつら、にはなりたくないですね。
Posted by おっくん at 2009年08月08日 16:43
「反貧困」湯浅誠 岩波新書をamazonで買いましょう
Posted by ららら at 2009年06月03日 21:05
何度かお邪魔しておりますが、その中では今日の記事がベスト1ではないかと。

最後に中島みゆきの「ファイト」を持って来られたあたりなぞ、団塊の方ではないかと推察しておりますが、なかでも私は、呉氏の大ファンでもあり、親交もあります。でもって、その呉氏がかつては、中島みゆき is my best だったそうで。

しかし、いい本を紹介しようと、それを着実に継続されている行動には敬服します。もっともっと、固定訪問者が増え、レスも増えるといいのですが。

閑話休題。某ビジネス雑誌の編集長も言っていましたが、稲盛さんが「俺にもできたんだから」と言うと、聴衆は「あなただからできたんですよ」と思ってしまうとのことです。

文字の強調は三笠書房の編集者の勇み足でしょうから、ちゃんと読める人ならどうでもいいのではと。光文社のペーパーバックが、いちいち英単語を挟んでいて、とても読みにくいのよりはマシですかね。

ただ、個人的には、「日本を変える」という意思は、働くことの動機としてはどうかなと思います。寧ろ、「こういう人を幸せしたい」くらいがまっとうなのではないかと。ひいてはその集合体が、結果的に日本を変えるのだと考えたいですね。

p.s.
 中島みゆきですが、私的には「空と君とのあいだには」がすきです。
Posted by 鷹司堂後 at 2009年06月03日 04:53
読みましたよ。

働きすぎ忙しがりは、変えられないのではなく変えようとしないのだ、という事がよく分かりました。
ただ惜しむらくは、序章において居並ぶ政治家官僚に対し、まずあなた方が変わりなさいと言えなかったのが惜しかったなあと。
変わらなきゃいけないのでしょう?先ず隗より始めるべきです、と。
Posted by WATERMAN at 2009年06月01日 23:17
>あ

同感。


稲森和夫ファンという人はMy news japanの「ここで働け取材班」 京セラのページを読めば180度見方が変わると思う。

宣伝じゃないよ!

Posted by い at 2009年05月31日 23:56
著者のキャラはわかったが、本の具体的な内容がさっぱりわからない
Posted by あ at 2009年05月31日 21:15