2009年07月05日 06:30 [Edit]

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この記事を受けて、

アホかー! - シートン俗物記
どういうつもりで書いているのか判らないけど、マグネシウム還元には、一般に「電解精錬法」が使われる。

私もそう思っていたので、調べてみたら意外な事実が。

結論から先に書くと、もはや「電解精錬法」はマイノリティなんです。


マグネシウムの精錬法は、実は二つあります。

一つは、電気精錬法。

MgCl2 → Mg + Cl2

と、塩化マグネシウム(にがり)を電気分解するのがこの方法で、かつて米国は全世界のマグネシウムの45%をこの方法で作っていました。

ところが、今や米国の生産量のわずか7%。辛うじて一社だけが踏みとどまっている状況です。それに代わって登場したのが、中国。

によると、2008年の金属マグネシウムの全世界生産量80万8000トンのうち、70万トンを中国で生産しています。そして、中国では電気精錬法ではなく、ピジョン法という方法でマグネシウムを精錬しているのです。これは

Si + 2MgO → SiO2 + 2Mg

と、シリコンで酸化マグネシウム(マグネシア)を還元する方法で、実際にはフェロシリコン(鉄とシリコンの合金)とドロマイト(MgCO3; 炭酸マグネシウム)を原材料として用います。

触媒が必要かどうかまではわからなかったのですが、この反応は真空下、1200℃で行われるので、加熱に石炭を使っていてもおかしくありません。実際、経産省が出している資料には、1tのマグネシウム精錬に必要な材料として、フェロシリコン1.15t、ドロマイト11tに加え石炭11tとあります。フェロシリコンは「触媒」ではなく「還元剤」ですが、その点を除けば

世界は、石油文明からマグネシウム文明へ(1) | WIRED VISION
マグネシウム1トンを作るために石炭が10トンも必要になります。

という矢部孝教授のせりふはつじつまがあっています。

なお、両精錬法とも、「元素111の新知識」に乗っています。が、こちらも電気精錬法ひいきな書き方です。

P. 81
海水からの効率的で経済的な塩化マグネシウム抽出法が進歩したので、電解法が有望である。

どちらかというとピジョン法の方がローテクなのですが、純度はむしろこちらの方が高く、必要なエネルギー量はほぼ同じぐらいでも、こちらは割高な電力ではなく、割安な熱でOK。というわけで現時点ではマグネシウムの精錬は、ローテクがハイテクに勝った一例となっているようです。

Dan the Data Miner


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この記事へのコメント
CO2削減の圧力をかけることが、ローテクを負けに導くことになるかもしれません。
Posted by zzz at 2009年07月05日 09:36
大戦中は日本軍がマグネシウムの電気精錬法を発明していてマグネシウムに限っては足りていたんだとか。航空機生産の必需品だから結構重要。技術力で資源を補うっていうのは資源の無い国のやることなんだよなあ。

エネルギー消費がさほど変わらんならCO2削減にもあまりならないような。発電の方法にもよるが。
Posted by grafi at 2009年07月05日 10:58
そのマグネシウムがどう使われているんですか?

葉緑素にはマグネシウムが含まれているのだけれど、中国は、地球温暖化防止に貢献しているんですか?

マグネシウムを含有する錯体や合金やポリマーが新素材になるんですか?

石油ではなく石炭を使うことがそれほど感心すべきことなのですか?
Posted by enneagram at 2009年07月05日 13:30
自分で考えろノータリン
Posted by ↑ at 2009年07月05日 14:02
へ〜そんなことになっているとはついぞ知りませんでした。

でもまあ、電気精錬法は、一番高コストな精錬方法だろうし、他の選択肢が現実的ならそっちに流れるのも自然なのかも。

鉱石として炭酸マグネシウムが豊富に見つかったから現実的になった、ということなんでしょうか?

Posted by sakurada at 2009年07月05日 14:31
はじめまして!
チョコチョコ拝見してましたが、初めてコメント
残します。
なんか難しそうですが、頑張ってくださいね!
Posted by 旅行大好き女 at 2009年07月05日 17:22
見ろ、マグネシウムだ
Posted by 橘 at 2009年07月05日 19:14
マリリンモンロー、ノータリーン
Posted by at 2009年07月05日 23:51
> enneagram 氏

 リンク先のWIRED VISIONによるインタビュー記事を読めば、たかが今の中国のマグネシウム生産がどうのこうのなんて、細かい小さな話はどうでもよくなるから。

 すっげぇワクワクするような話が、以前に見聞きしたよりも一段と現実味を帯びて進行中なんだよ。

 リンク先の記事を読んで、「エネルギーのマグネシウム循環社会」を夢見る人がもっと増えてほしい。
Posted by yasihayasi at 2009年07月06日 09:11