2009年08月07日 02:30 [Edit]

書評 - グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業

幻冬舎高部様より献本御礼。

私信:夏野さんへ : ひろゆき@オープンSNS
この本ください。↓

あれ?ひろゆきもらってなかったの?

これじゃ書評を後回しにできないじゃん。

本書と著者を評価できるかどうかは、スコープの大きさで決まる。

「全国」なら、買い。

そして「全世界」なら、売りだ。


本書「グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業」は、iモードの仕掛人の一人とされる著者が語ったウェブ論。本書を評価できるかどうかは、iモードを評価しているか否かにもよる、と言い換えてもいいかも知れない。

目次 - Amazonより。
第1章 日本のウェブビジネスはなぜ儲からないのか
第2章 ウェブビジネスを成功させる鉄則
第3章 ウェブビジネスの未来
第4章 旧来型日本企業への提言

私の評価は、というと、「あの程度で成功だと思っているからだめなんだ」、ということになる。

iモードは、確かに国内では大成功を収めた。しかし海外展開は見事に失敗している。宇多田ヒカルの方がまだ成功したといってよい。それも「イマイチ」どころか見るも無惨な失敗だ。「1兆円を稼いだ男の仕事術」と著者は自賛するけれども、ドコモは海外キャリアへの投資で一兆円以上すっている。

なぜか。

仕掛人たちに、あまりに技術センスがなかったからではないかというのが、目下の私の仮説だ。少なくとも著者にそれがないことは、夏時間への支持からもうかがえる。

技術的側面から見ると、i-Modeはかなり無惨だ。CHTMLにしたところまではよかったが、採用した文字コードはShift_JIS。ここまではまだ許そう。CHTMLにした一番の理由はコンテントプロバイダーの敷居を下げることにあったのだし、往事はまだ Unicode は普及していたとは言えなかったのだから。しかし、Shift_JISの隙間に絵文字を押し込んだのは愚の骨頂だった。責任者を一発殴りたいほどの。

そしてこれは、CHTMLの開発者がHTMLというものをきちんと理解していなかった傍証でもある。タグでやればよかったのである。「それではバイト数が増えてしまう」?その通り。バイト数をそれほど気にするのであれば、CTHMLというよりHTMLベースの規格なんぞ使うべきではない。実際通信量節約のための工夫は、WAPの方が多い。多すぎて開発者が値を上げた。だからCTHMLは成功したのだが、成功が日本で留まってしまったのは、日本国内の事情を優先しすぎたせいだ。

そしてiモード開始から10年。ケータイの、ケータイによる、ケータイのためのWebの存在意義は、「CなしHTMLを、JavaScriptまで実行できる」ケータイの登場により国際的に暴落している。iモードは日本でしか受け入れられず、iPhoneやAndroidは世界で受け入れられた。Appleに袖にされたドコモが選んだのはGoogle。そこに日本のヴェンダーの姿はなかった。

結果だけ見れば、iモードというのは日本のケータイのガラパゴス化に、PDCと同じぐらい貢献したと結せざるをえないではないか。マーケティングセンスの欠如の次は、エンジニアリングセンスの欠如。なぜこうもどちらかに偏ってしまうのだろう。

著者は日本でも希有のマーケティングセンスの持ち主である。「マーケティング脳vsマネジメント脳」の著者たちが日本を取り上げるとしたら、必ず事例として取り上げるだろう。その点に関しては本書の分析に私も異論はない。

しかし、それだけでは世界に通用するものは出来ない。エンジニアリング脳も必要なのだ。任天堂の岩田社長にも、AppleのJobsにもそれがある。彼らは使い手の気持ちだけではなく、作り手の気持ちもつかめるのだ。ひろゆきにも、それがある。2ちゃんねるが日本国外に通用することは、4chanが証明している。ただしひろゆきは日本では「おたずねもの」でもある。むしろ「日本では本来通用しない」人物なのだ。

著者は、日本国内における信用は抜群だ。しかし著者の信用はそこまでだ。

著者を招聘したというのは、ニコニコ動画の「ドメ止まり宣言」なのだろうか。私としては、世界中の人にもっとニコニコしてもらいたいので、そうなって欲しくはないのだが....

Dan the iPhone-Mode


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グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業 (幻冬舎新書)/夏野 剛 ¥798 Amazon.co.jp すいません。グーグルに依存してます。 だって便利なんだもん。 というのは、さておき、 今の、ネットビジネスについて(特に国内)、 考え直すにはいい本なんじ...
バカですみません「グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業」【WEBコンサル会社社長 Aryuのアレなブログ】at 2009年08月09日 11:17
書評 - グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業(404 Blog Not Found) 著者は日本でも希有のマーケティングセンスの持ち主である。「マーケティング脳vsマネジメント脳」の著者たちが日本を取り上げるとしたら、必ず事例として取り上げるだろう。その点に関しては本書....
ニコ動以外に日本のネットに見るべきサービスなんてあるのか?【理系脳毒之助Diary】at 2009年08月07日 11:53
グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業 (幻冬舎新書)著者:夏野 剛販売元:幻冬舎発売日:2009-07クチコミを見る 朝活して原稿書きなおし中。『強い就活』頑張って書きあげる。うむ。 twitter落ちていない?なんか、いろんなブログで話題になっているな。 某ブログで...
グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業【試みの水平線】at 2009年08月07日 05:51
この記事へのコメント
全くもって書評じゃ、ないですね。
途中で完全に脱線してどっかに飛んでいってる感じで

著書でなくて著者に対する感想になってる。うん。いや面白いんですけれど
Posted by      at 2009年08月10日 17:50
PC98を思い出してしまった。

当時はNECのパソコンの終焉が来るとは思ってなかった。
Posted by 耳喰い at 2009年08月09日 01:05
おもわず読んでしまったので、記事としてはなかなか面白いと思う。
でも、これは「書評」では無い。断じて、無い。
というか、まともに書評する気が起こらないような駄本だったから、
自分の意見を書き散らしてお茶を濁してみた、ということなのかな?

この本を買うとしても、私はアフィリエイトを通さずに買います。
Posted by 雷鳥 at 2009年08月08日 11:07
お久しぶりです。

日本は、ヤフー・ジャパンが強い、検索のガラパゴスなのでは?

韓国の検索エンジンなんて、完璧にガラパゴス化しているという話を聞いたことがあります。

「ガラパゴス」と形容しなくても、世界のいろいろな地域で、インターネットの使い方も「種分化」していくのは自然だろうと思います。

i modeも、これはこれで、日本の国情に合っているからまだ見捨てられず、支持されていると受け取れなくもなかろうと思います。

世界に発信しようと無理すると、「ドラえもん」や「おしん」を作っているつもりで、できあがったのは、「スケバン刑事」や「エーベルバッハ少佐」になっている可能性もあるんで、あんまり肩に力を入れず、自然に世界に受け入れてもらえる製品を作り続ければそれでよいのだろうと思います。「アンパンマン」だって、グローバルコンテンツなのですから。
Posted by enneagram at 2009年08月08日 07:10
4chanは2chではなくて、ふたばちゃんねる(2chan)が元だから、例としては適切で無い気がします。
Posted by カリガリ博士 at 2009年08月07日 23:35
iモードをバカにしたところで、世界標準のものを作れるわけではありませんが。
Posted by zzz at 2009年08月07日 18:18
マネしなくて、既存勢力以上のものができたらそりゃ最高だけど、独自のモノを作ってそれを世界で使えないんじゃ、ほんと井の中の蛙で、アフォといってもいい。

そもそも、日本のほとんどの企業は

1.アメリカの真似
2.日本国内向け

このどちらか、もしくは両方しかない。

3.日本発世界向け

これが限りなく欠けている。たぶん、もし世界でやりたいなら、まず日本語で作ってヒットさせて、今度は世界へ、じゃなく最初から世界から入らないと失敗に終わる。真似だ。日本で成功したら、誰かが世界向けにやる。本家がやる前にね。まぁ、日本にそこまで奇抜なアイデアを具現できる企業はほとんどないけど。

P.S.
私見ながら、ニコニコ動画は、日本国内でもその一部のマニアに大ヒットしてるだけで、まだ一般受けまでもできてないと思う。そこへ"世界へ"、というのは・・・いっそのこと、マニア・オタク向け動画サービスとすれば世界でもイケるかも。
もっぱらyoutubeです。
Posted by sis at 2009年08月07日 15:11
あれ、
i-modeって
夏野じゃなくって、
松本とかいうリクルート出身の女じゃなかったっけ?
Posted by higekuma3 at 2009年08月07日 14:06
弾さんは技術者なので技術面を重視するのは
当然かなと思うのですが、海外進出するときの
マーケティングとか、iモードが想定する
ユーザに受ける端末デザインとかの
パッケージングがうまく行っていたのかな?
とか思わないでもないです。

海外ユーザの端末デザインの好みは国内と
ずいぶんちがう様ですし。

あとiモードも含め国内端末は
端末を安く売って、通信費で儲けるスタイルで
伸びて来たのはご存知だと思うのですが、
iモード進出当時、海外のキャリアは
データ通信費をかなり安くしてしまったので、
このモデルが回らなかったという事情もあると思われます。

ネットでiモードの海外進出の失敗に関する話を
見ると技術面の事が語られる事が多いのですが、
文化面とかビジネス面で語られる事が少ない様に思います。
Posted by DDIポケットの研究。 at 2009年08月07日 12:21
長らく国内&海外携帯サイト運営に携わった身としては、書いてあることに一々頷かずにはいられない。。
「書評しましょうよ」ってのは、皆さんおっしゃる通り(笑)

CHTMLとWAPの比較もその通り。
WAPの方がデータ節約の工夫がなされてますよね。auの昔のHDML同様。ややこしいので日本では普及しませんでしたが。

PDCも全くその通り。GSMが普及しなかったために、iPhoneが発売当初日本で使えなかったときは、ガラパゴス在住を痛感しましたし。

まさに「imodeは偶然の産物」さんがおっしゃる通り、特に戦略も何も無く、偶然ヒットした産物だったんだと思います。imodeは。

この状態で、携帯では世界のトップを走ってるって言われても。。
そういう意味では、自分は夏野さんはほとんど評価してないです。
Posted by よねお at 2009年08月07日 10:57
夏野さん達が自覚的に戦略的に携帯の世界にネットを持ち込んだのであれば、それは評価に値する。残念ながら、imodeは単なる携帯上のおまけサービス程度に過ぎなかったのが、偶発的に当たっただけなので、Googleやアマゾン等のグローバルサービスとは全くレベルが違うことを本人が早く自覚すべきだと思います。
最近、世界や日本について大仰なことを語り、調子に乗った発言が目立ちますね。

>著者は、日本国内における信用は抜群だ。しかし著者の信用はそこまでだ。
>著者を招聘したというのは、ニコニコ動画の「ドメ止まり宣言」なのだろうか。
これは全くその通りですね。ドメ、しかもローカルでべたな企業専門として。
Posted by imodeは偶然の産物 at 2009年08月07日 10:14
グーグルに依存した書物をアマゾンでたくさん買ってほしいバカ著者の新書ですか?
Posted by ag at 2009年08月07日 07:20
あ〜、それは言える。
弾さん、書評してください。
Posted by KKMM at 2009年08月07日 05:58
はじめまして。いつも楽しく読んでます。
ド文系の私からしても、書いてあることはいちいちその通りだと思いますが……

………“書”評しましょうよw 一応、どんな内容なのか気になるので。

それと、
> 仕掛人たちに、あまりに技術センスがなかったからではないかというのが、目下の私の仮説だ。
とありますが、なかったのは技術センスというよりも、技術を活かすプラットフォームを作る能力じゃありませんかね?
ちょうどついさっきまで、池田信夫blogで「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」というエントリーを読んでいたのもあって、余計にそう思いましたが。
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/e90fe3c98c9cc36b1a1372968963f853
Posted by Kairi at 2009年08月07日 03:18