2009年08月14日 15:00 [Edit]

The Power of Less - 書評 - 減らす技術

ディスカヴァーより献本御礼。

八月は夏休みということもあって、「お役立ち系」の本の書評は後回しにしてきたが、さすがにこの大物を紹介しないわけにはいかない。ましてや訳本の版元のblogに、私の名前入りで紹介したとあっては。

効果は、保証する。効果が出なかったとしたら、私は著者と同じく体重を20kg減らすと誓ってもいい。しかし、本書に関しては「私もやってみてうまくいったから」といって進める資格は私にはない。

私は「自分で減らした」ことは滅多にないのだから。


本書、「減らす技術」は、全米随一の A-list Blog、"Zen Habits"のブログ本。

目次 - ディスカヴァー社長室blog: 『減らす技術』、減らしていけないものは? ●干場より
はじめに
パート機Ω饗編
さあ、減らすことを始めよう やることを減らすとなぜ成果が上がるのか?
減らす原則1 制限する
減らす原則2 本質に迫ることだけを選ぶ
減らす原則3 シンプルにする
減らす原則4 集中する
減らす原則5 習慣化する
減らす原則6 小さくはじめる
パート供ー汰編
減らすテクニック1 シンプル・ゴール
減らすテクニック2 シンプル・プロジェクト
減らすテクニック3 シンプル・タスク
減らすテクニック4 シンプル時間管理
減らすテクニック5 シンプル・Eメール
減らすテクニック6 シンプル・インターネット
減らすテクニック7 シンプル・ファイリング
減らすテクニック8 シンプル・コミットメント
減らすテクニック9 シンプル・ルーチン
減らすテクニック10 シンプル・デスク
減らすテクニック11 シンプル健康管理
減らし続けるために モチベーションをどう保つか
ディスカヴァー社長室blog: 『減らす技術』、減らしていけないものは? ●干場
しかも、著者は、RSS購読者数10万人の、いわばアメリカの小飼弾(!?)とも言うべき、大物ブロガー。彼のブログ、「Zenhabits」は、2007年世界ブログ総合大賞を受賞している

名前が出てきたところで恐縮だが、この例として小飼弾は適切とは言えない。日本で最も適切なのは、勝間和代だろう。彼女の場合は著作、それもいみじくもディスカヴァーが仕掛けた著作が「先行」してはいるが、目標を明確にし、そこに至るのに必要なことがらを迅速かつ着実に実行するという点で両者には共通点が多い。「断る力」という本もある。これもまた一種の「減らす技術」

また、本書の主題「減らす」に関しても、実は本書以前に出た良書は少なくない。「捨てる技術」はミリオンセラーとなったし、「減らすもの」を「情報」に限定すると、本書より「情報ダイエット仕事術」の方がより具体的で「使える」と思う。そういえばこちらも著者より献本いただいたのだった。紹介とお礼が遅くなって申し訳ない。

にもかかわらず、現時点においての「減らす本」は、本書が第一選択肢だと感じた。理由は三つある。

一つ目は、「減らす」を「もの」のみではなく「こと」まで拡げたこと。一般化という点で「捨てる技術」も「情報ダイエット仕事術」も、本書に一歩譲る。

二つ目は、「何のために減らすのか」という理由が「過剰に由来する苦痛からの開放」から、「本当に得体ものを得るため」というより積極的なものとなったこと。実はこのことはこれまでの「減らす本」の行間にも書かれていたのだが、ここまでそれを全面的に打ち出した本はまだなかった。

そして三つ目は、「減らすことによって得たもの」が具体的かつ定量的に列挙されていること。この点は(本来の)ダイエット本の「何kg減」と何が違うかという感じが一見するが、ダイエット本の場合「何kg減」そのものが目標であるのに対し、本書は「何kg減ったことによって、何を得たか」が書いてあることが違う。本書は「こと」という抽象が対象なので、具象的な効果だけでは不足なのだ。

ところで冒頭で「私は本書の実行者ではない」と書いた。

にも関わらず効果を保証している。なぜそれが出来るか。

「減る効果」であれば、体験しているからだ。

以前何度か書いたとおり、私は一度火事で全財産を焼失している。自力ではなく他力であるが、「減るということが何をもたらすか」を体で知っているのだ。

一言で言えば、著者が実力で達成したことを、私は運で達成したわけだ。

だから、減らすは下手だ。ド下手だ。同じドでも3オクターブ低い。切羽詰まらないと減らさない。本などその代表である。我が家の名物ともなったあの本棚は、いかに私が捨てるのが下手であるかの象徴でもある。

そのかわり、なくなることは怖くない。いざというときに、誰にも出来ない減らし方ができる自信があり、実証もしている。それだけに、私のやり方というのは普遍性が全くない。人様に全く薦められない。

だからこそ、本書を薦める。自力であれ他力であれ、「減らす力」は本当なのだから。

Dan the Overachiever


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本書「減らす技術 The Power of LESS」は、デビット・アレン「はじめてのGTD ストレスフリーの整理術」、勝間和代「断る力」の内容とオーバーラップ
レオ・バボータ「減らす技術 The Power of LESS」【ぽこログ】at 2009年09月16日 16:54
ReviewMarket.NETでは減らす技術 The Power of LESSの良質なレビューを集めています。
ReviewMarket.NET:減らす技術 The Power of LESSレビュー【ReviewMarket.NET:良質なレビューを提供するサイト】at 2009年09月10日 00:40
ReviewMarket.NETではThe Power of Less: The 6 Essential Productivity Principals That Will Change Your Lifeの良質なレビューを集めています。
ReviewMarket.NET:The Power of Less: The 6 Essential Productivity Principals That Will Change Your Lifeレビュー【ReviewMarket.NET:良質なレビューを提供するサイト】at 2009年09月10日 00:40
毎日毎日やることや、やりたいことが多すぎて、1日が24時間以上あればいいのに・・・と思っている人は少なくないだろう。 僕も勿論、その一人。 時間管理術の本なども読んでみたり、『 「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす! 』で朝型生活に移行しながら、やりたいこ...
【書評】減らす技術【書評の可能性】at 2009年08月21日 14:00
この記事へのコメント
地震のときの本には気をつけてください。本棚固定だと本が勢いよく飛び出てきます。本には角があるので侮れません。
Posted by ぐらっ at 2009年08月17日 05:52
> そのかわり、なくなることは怖くない。

怖くなくなればなくならないものがある。
それが不安。

減らす技術で得られないものがある。
それが安心。

> 「本当に得体ものを得るため」

体のダイエットもそうだが、
何を「得体」とするのかを見失って
心のダイエットになりかねない。

こうした本に頼りたくないとする考え方は、
そうした不安からだろう。

本書の「得体」を見失わないように読めばいい。
Posted by edry(えどりぃ) at 2009年08月15日 17:13
小飼弾氏へ
私は、減らし続けることには賛成できません。効率的に自分の仕事をオーガナイズするのであれば納得がいきます。

仕事において減らす技術を身につけるためには、上司への相談・報告・連絡の上で改善してゆかなければならなと思います。

人それぞれ持ち味や個性が違います。話し合いの上仕事をすすめてゆきたいものです。
Posted by mituhataakihiro at 2009年08月15日 05:21
小飼弾氏へ
私は、減らし続けることには賛成できません。効率的に自分の仕事をオーガナイズするのであれば納得がいきます。

仕事において減らす技術を身につけるためには、上司への相談・報告・連絡の上で改善してゆかなければならなと思います。

人それぞれ持ち味や個性が違います。話し合いの上仕事をすすめてゆきたいものです。
Posted by 朝4時起きの男 at 2009年08月15日 05:20
Dear Mr. Dan, (first time comment)

Yes, Zen Habits is one of my two favorite productivity blogs though this one is very much like 'Simplicity movement oriented'. I found
your blog through Ms. Katsuma's blog, which I found out from 'Diamond Online'. Though I respect what Ms.Katsuma doing tremendously, ( I bought bunch of her books from Amazon Japan.) I found your blog most "中身が濃い'. Sorry about my English. I don't have Japanese PC and all I have is text formatter come with Window
XP. I don't have any blogs. However, I took advantage of 'Yahoo group' for sometime. Right now, I have two. One of them is for our
neighborhood parents support group. We now have over 50 families.
It is not a super active online group. At the same time, it helped
us, young parents without any close relatives near-by, through various issues we face as we raise our children. My daughter has a special needs. She has unknown 'speech problem'. Though she is not
cognitively delayed, her speech level is about 2 years behind. (She is 6 now.) Without my friends input on and off-line, we could have been totally lost. Sorry, if I shared more than you wish to know.

From Baltimore, MD
Posted by Yoshiko Hayakawa at 2009年08月14日 23:07
こないだ観たTVタックルに勝間が出演していたけど、ホントにそれでテレビに出ていいの? というぐらいボロボロの有様でした。
『命を擦り減らす技術』ではない事をお祈り申し上げます。
Posted by 下げ人知らず at 2009年08月14日 21:54
この静岡の地震で降ってきた本に埋もれて一人の女性(43歳)が亡くなった。
>就寝中に被災したとみられ、体の上に本が高さ1メートルほども覆いかぶさり、顔も見えない状態だった。
http://bit.ly/4oL8O
Posted by ぐらっ at 2009年08月14日 21:31
財布の中はすぐ減るのに、物を減らすことはなかなか難しい。体重はそれ以上に難しい。
色々ダイエットしなければ・・・
Posted by 風竜胆 at 2009年08月14日 21:10
弾さん! ありがとうございます。
それと勝手に、お名前使ってしまって、ごめんなさい。
でも、やっぱ、日本の大物ブロガーと言えば、弾さんでしょう、ということで…。
ほめていただいて、原と二人で、ほっ、というところ。
Twitterでも、結構、評判になってます。
Posted by 干場弓子 at 2009年08月14日 18:36
効果は保証するが、本を読んだからといって実行できるかどうかは別だ、ということですか。

効果をイヤというほど知っている弾さんですら自らは減らせないと。
Posted by zzz at 2009年08月14日 16:42