2009年09月28日 12:30 [Edit]

マイクロも積もればマクロを改善する - 書評 - マイクロファイナンス

中公新書経由で著者より献本御礼。

新書というマイクロな版型にぴったり収まった、マクロな処方箋。

亀井金融相‎は直ちに本書を読むべきだ。モラトリアムなんて言ってる場合じゃない。


本書「マイクロファイナンス」は、マイクロファイナンスという金融工学が、バングラデッシュのような途上国(developing countries)のみならず、日本のような「到達国」(developed countries)においても有効であることを示した一冊。何に対して有効か?副題の「貧困と闘う「驚異の金融」」とあるとおり、貧困に対して、である。

目次
序章 日本でマイクロファイナンスが普及しない理由
第1章 深刻化する貧困
第2章 マイクロファイナンスとは何か
第3章 先進国のマイクロファイナンス
第4章 日本版ビジネスモデル
第5章 公の限界と民の限界
第6章 共感のある社会
第7章 私たちにできること
終章 マイクロファイナンスの先にあるもの

目次を見てのとおり、本書ではマイクロファイナンスをあくまでも「対貧困兵器」として捉えている。そのためにまず貧困とは何かを、マイクロファイナンスとは何かを示す前に一章裂いて説明している。マイクロファイナンスがわからなくても、本書の第一章をきちんと読むだけで本書の元はとれる。

それでは、「日本でマイクロファイナンスが普及しない理由」、あるいは先進国においてマイクロファイナンスはなじまないと誤解される理由は何だろうか。著者は次のようにまとめている(著者が序章でまとめたものをさらに私が要約した)

  • 世界で二番目にGNPが大きな日本に貧困はないのではないか?
  • マイクロファイナンスは途上国専用なのではないか?
  • 貧困と闘うのは政府の仕事ではないのか?
  • すでに消費者金融があるのだから、マイクロファイナンスは不要なのではないか?
  • 貧困は自業自得の結果ではないのか?

本書はこれらの設問に丁寧に答えた上で、以下のように結んでいる。

  1. 日本には貧困が厳存し、かつ増大している
  2. マイクロファイナンスは開発途上国のみならず欧米先進国でも広く行われ効果を上げている
  3. 貧困は公だけでも民だけでも解決しがたい。マイクロファイナンスは「第三の道」
  4. 貧困は「個人の問題」ではなく「社会の問題」
  5. 私的利益と同時に社会的利益も追求するのがマイクロファイナンスの理念

詳しくは本書をご覧いただくとして、本書の二つのメッセージ、すなわち「マイクロファイナンスは貧困と闘うためにある」、「マイクロファイナンスの有用性は途上国のみならず先進国でも有効である」の二つは、マイクロファイナンスのパイオニアであるムアマド・ユヌス自身が言っていることでもある。

404 Blog Not Found:ムハマド・ユヌス語録
日本でもやらないかって?いいね。定額給付金の12,000円で口座を開設してもらおう

同じ額を投じるのであれば、既存の借り手しか救われないモラトリアムよりも、これからの借り手を救うマイクロファイナンスの方がはるかに有効なことは、ムガクなムラビト = グラミンでもわかる。郵政民営化反対論者の金融相であれば、ゆうちょのマイクロファイナンスプロバイダー化ぐらい思いついてもよさそうなものなのだが....

Dan the Potential Creditor Thereof


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マイクロファイナンス(貧困者向けの小口金融)の代表であるグラミン銀行。 グラミン銀行は、貧困対策の社会事業の例としてずいぶんもてはやされています。 貧困層にお金を貸して、経済的に脱却のチャンスを与えようということです。 この制度...
私はグラミン銀行を支持しない【WEBコンサル会社社長 Aryuのアレなブログ】at 2009年09月29日 10:00
この記事へのコメント
おまいがやれよ
Posted by おい at 2009年09月28日 13:15
こんな報告もありますけどね。
Posted by zzz at 2009年09月28日 19:05
金を貸すことが貧困対策になるという考え方には違和感がありますね。
まずは、働く意欲のある人が働けるようにすること。
事情があって就業できない人にもそれなりの社会のセーフティネットがあること。
ファイナンスは、本当に最後の、一時しのぎの手段だと思いますが。
Posted by 風竜胆 at 2009年09月28日 21:07
返せる見込みのある働く意欲のある人にこそ貸すんだろ
Posted by 名無し募集中。。。 at 2009年09月28日 23:50
グラミン銀行は偉大ですよ。

消費者金融が大事業になっている以上、マイクロファイナンスも有効だと思います。

ところで、金融関連の法制度は、日本では、どう整備すればいいのですか?

結局、具体的な法制度を整備できないのであれば、どんなに優れたアイデアも、社会的有効性を発揮できないと思うのですが。
Posted by enneagram at 2009年09月29日 09:27
グラミン銀行の活動は成果を上げているという点で素晴らしいと
思いますが、いまの日本の貧困問題を解決する手法として有効なんだ、
という話は意外というか、どんな本なのか興味はありますね。

今の日本で貧困に苦しむ人が、金を借りて何かをする、ってあまりい
いイメージがないじゃないですか? 消費者金融にしても結果として
は逆に作用してしまう、骨までしゃぶられてしまうビジネスモデルな
イメージ。

ま、偏見かもしれないけど、出来るだけ借金するな、というのが日本に
おいては正しい処世術だというのは今でも有効だと思うわけです。

という私のイメージからすると、「書評」としてはそのあたりもう少し
伝えて欲しかったとは思いますがね。
Posted by 通りすがり  at 2009年09月29日 12:29
マグロッ!
Posted by ワタリ テチュヤ at 2009年09月29日 16:16
ファイナンスはあくまでも手段の一つ。貧困から抜け出せるかどうかは、本人の努力しだいで、そこはファイナンスが受持つ責任ではない。

自立には最低限の基盤が必要であって、その基盤がない人間が文字通り”自立不可能”な状況になっている。そのような人に対して、資金を融通するというのはただの金貸し以上に効果があると思う(グラミンやBRACが成功しているように)。

マイクロファイナンス以外の貧困対策で、"the big issue"が存在する。
http://www.bigissue.jp/
<仕組み>http://www.bigissue.jp/sell/system.html
Posted by neko at 2009年09月29日 17:01
自立しているいないできるできないのは何も特定の所得層に限らないのでは?
Posted by エリート官僚 at 2009年09月30日 01:37
本の画像がうまく表示されていないようですが。
Posted by はひろ at 2009年10月07日 10:04